祥瑞(しょんずい)オーナー勝山晋作さんが語る、人が集う魅力ある場所

祥瑞(しょんずい)オーナー勝山晋作さんが語る、人が集う魅力ある場所

  • 料理王国
  • 更新日:2022/01/15

バル的なる場所は、空気感が命だよ!

六本木にワインバー「祥瑞(しょんずい)」を開業して18年。少しずつ変化しながらも、変わらずワイン好きが集まる場所が「祥瑞」だ。
人は勝山さんのことを“ワインバーブームの仕掛け人”とか、“自然派ワインの立役者”と呼ぶが、ご本人は「仕掛けたつもりはない」といたって自然体である。勝山さんに「祥瑞」の歴史を語ってもらいながら、人が集う魅力ある場所=バル的なる場所がどうやってできるかを聞いてみた。

―― 最近「祥瑞」が変わったという話をよく聞きます。
勝山 壁の色が変わった(笑)! スタッフ皆で赤く塗りました。前から来ていたお客さんでびっくりする人もいるかもね。変えようとして変えたというより出会いです。シェフの茂野眞(しげのまこと)くんは、彼がパリにいる頃から知っていて、僕が90年代当時新鮮に感じたビストロ「レガラード」やワインバーのこともよく知っている。そこに坪田泰弘君のサービス。いい店ができそうだと、彼らの自由にやってもらっています。でもあくまで「祥瑞」だから、ビストロにしようっていうのでもない。

―― 「祥瑞」という店名はそもそもどうしてつけたんですか?
勝山 日本語にしたかったというのと、何屋だかがわからないほうがよかった。僕は器が好きで、「祥瑞」は景徳鎮の染付だけれど、それ以上の意味はないです。開業時は居酒屋にしようと思って、「十四代」や「森伊蔵」も置いていましたが、売れないの。ワインを飲むお客さんやソムリエのお歴々、そんなお客さんばかりになってきちゃって、ワインバーと呼ばれるようになってしまった(笑)。

―― でも、90年代はワインバーの先駆けとして紹介されていました。
勝山 そうそう。当時雑誌でワイン特集が流行り出した。でもうちはボルドーやブルゴーニュのグランヴァンは置かなかった。そういう酒は、ほかで飲めばいいから、アウトサイダーなローカルワインを出してきた。

―― 自然派ワインを置いたのもブームを意識してのことではなかった?
勝山 15年前から、ほかの酒と区別せずに置いていましたね。フランスの南のほうのいい酒、ワン・ノブ・ゼムでしかない。

―― なのに立役者にされてしまった。

自然派ブームに見る ワインの飲み方、飲む人の変化

勝山 僕は意識的にやったつもりはない。でも今ブームみたいになっちゃって、自然派ワインの支持者には、ワインが好きというより心地いい感性が合うから飲んでいる若い人たちも多い。これは時代を感じます。彼らは頂上のワインには興味がない。逆にいえばワインが日常的になり、今までお勉強してから飲んでいた人とは違った入り方をしている。

―― 自然派ワインバーと称する店も増えました。
勝山 多いねえ。でも、ちゃんとした世界観でやっているかどうかで歴然とした差があると思うよ。今人気の「uguisu」や「アヒルストア」には、いい空気感がある。空気感って僕は絶対コピーできないものだと思うわけ。だからさっき言った「レガラード」も、大好きだけどまねできないってわかっている。今回いうところのバル的なる場所っていうのは、要は空気感のある場所だよね。そこにしかない空気感がある。

空気感は、作るのではなく できるもの

―― そういう店には、見えないけれど、お客さんを選ぶフィルターがあるように思うのですが。
勝山 やっぱりそれは、店の人間とお客さんと両方の関係で、独特の雰囲気を生むわけだから。誰も彼もっていうより、そこに来たい人だけが集まるようになってくるよね。「祥瑞」に通りがかりの人は来ません。僕は常習性のある店でなければだめだと思っているんだけれど、それは気張って今日はここの店に行こうって準備するのではなくて、あれあれ来ちゃった、足が向いちゃった、みたいなこ
となんだよね。

――18年間で「祥瑞」の変わらない部分は、どこですか?
勝山 それはお客さんが喜ぶ酒を出すこと。ここだけは変えません。

No image

Shinsaku Katsuyama

●1955年和歌山県生まれ。六本木「祥瑞」、銀座「グレープ・ガンボ」オーナー。「ナショナル麻布マーケット」でワインの仕入れを10年以上経験後、93年に「祥瑞」をオープン。ソムリエや飲食業界の間で瞬く間に評判に。有名な酒ではなく、つねにいい酒を発掘し、伝え続けている。

祥瑞
東京都港区六本木7-10-2
SIMIZUビル2F
☎03-3405-7478
●18:00 ~翌1:00LO
●日、祝休
●スタークタルタル2000円、自家製アンドゥイエットのグリエ2500円、ワインはグラス1000円前後~。

柴田香織・文/構成 中庭愉生・写真

本記事は雑誌料理王国197号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は197号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

料理王国

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加