【対談インタビュー】暁(アルルカン)× 逹瑯(MUCC)、「一番強い右ストレートを出すしかない」

【対談インタビュー】暁(アルルカン)× 逹瑯(MUCC)、「一番強い右ストレートを出すしかない」

  • BARKS
  • 更新日:2023/01/30
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2023年に10周年を迎えるアルルカンが、2月11日、恵比寿LIQUIDROOMにて<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>を開催する。この2マンライブの相手として迎えるのは、25周年を迎えたMUCC。ともに親交があり、過去にも同じステージ立つ経験があった両者だが、このタイミングでぶつかり合うことになった。

BARKSではライブ開催前に、ボーカリスト同士、ギタリスト同士の対談を実施。この2マンライブをきっかけにして、改めてお互いについて語ってもらった。バンドを始めた当時の思い、転機となったタイミングなども語られ、アルルカンからは敬愛するMUCCへの愛、MUCCからはライバルとしても頭角を現してきた後輩アルルカンへの想いを感じることができるインタビューとなった。まずはボーカリスト同士、暁(アルルカン)と逹瑯(MUCC)の対談をお届けしよう。

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◆   ◆   ◆

■どうしても一緒にやりたいです!っていうのがほんと素直な気持ち(暁)

──アルルカンとMUCCは以前から親交のある関係性ですが、このたび今年で10周年を迎えるアルルカンが<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>と題したライヴを行い、そこでMUCCをあらためて迎え撃つとことになりました。そもそも、この企画は何時どのようにして持ち上がったものだったのでしょうか。

暁:実を言うと、お誘い自体はけっこう前からしてたんです。お互いのスケジュールだとか、いろいろな時期もうかがいながら、このところは主にうちの奈緒から話をさせてもらっていたんですよ。

──奈緒さんは、近年だと逹瑯さんのソロプロジェクトにも参加されていますものね。

逹瑯:うん、奈緒からも話は聞いてました。っていうか、それより右手のその包帯はどうしたん?!

暁:あ、ちょっと折りました(苦笑)

逹瑯:いつ!?

暁:年末の<V系って知ってる?>の翌日っすね。ちょっとドジっちゃって。

逹瑯:じゃあ、年明けのライヴとかはどうしてたの?

暁:この間は包帯を取ってやりました。

逹瑯:そっかー、やるねぇ!

暁:2月までにはくっついていると良いんですけど(笑)

逹瑯:ほんとだね。じゃあ、さっきの<餓者髑髏>をやることになった経緯についての話の続きをどうぞ(笑)。

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──あらためてお願いいたします。

暁:やっぱり、先輩と一緒にやるのってものすごく気合いが入るじゃないですか。追い込まれた時に実力がめちゃくちゃ出るみたいな。なんか、今こそああいう特殊なポテンシャルの自分に用があるというか、それをあらためてモノにしたくて。ずっと可愛がって来ていただいてるだけに、今のアルルカンはここまでやります!っていうところを直接ライヴの場で見て欲しいな、という気持ちもありました。もっと凄いシンプルに言うと、とにかくここまでにいろんな感情とか状況が積み重なってきた中で、どうしても一緒にやりたいです!っていうのがほんと素直な気持ちなんですよ。

逹瑯:その気持ちはなんかわかるな。2マンってそういうもんだよね。やりたくない人とはやらんし(笑)。

──つまり、MUCC側としてもこれはウェルカムなお話だったわけですか。

逹瑯:メンバーみんな仲良いし、全然いいんじゃない?っていう感じでしたよ。ただ、タイミング的な面で2023年はお互いバチバチに忙しいっていうのがわかってたから、あとは日程さえ合えばっていうところだけでした。

──確かに、MUCCは昨年から25周年にまつわるあれこれが続いているところですし、アルルカンも10周年なわけで、ともにスケジュールは目白押しとなっていますね。なお、アルルカンとMUCCと言えば昨年末の<V系って知ってる?>でも共演されていました。あれは最早対バンライヴの領域を超えたものではありましたけれど、ここで少しあの日のことを振り返っていただいてみてもよろしいでしょうか。

逹瑯:いや、あれは対バンだなんだっていうよりも“SORA(DEZERT)の日”だったから。SORAが頑張った日だったんで、自分らはそこにどう花を添えてくか?っていう感覚だったんで。個人的には、横の対バンについてどうこうっていうのはなかったかな。

暁:僕もそこは逹瑯さんと同じくで、呼んでもらったSORAの期待に応えたいとか、今の世代としてやるべきことをやらなきゃという使命感が主にありましたね。そして、先輩たちに対するリスペクトと自分の野心をどっちもあの場でちゃんと表明することが自分のやるべきことだと思ってたし、それがSORAに対しての礼儀。って感じて、普段のイベントとか2マンをやる時とはやっぱりスタンスが違いました。

──ちなみに、あの<V系って知ってる?>では“ムック Respect Session”で暁さんが「絶望」を歌うという場面もありましたね。

暁:お邪魔させていただきました。

──あれ以前にも、暁さんがオフィシャルな場でムックまたはMUCCの楽曲を歌われたことはあったのでしょうか?

暁:前に1回だけ、MUCCのツアー(2021年に開催された<MUCC TOUR 202X 惡-The brightness world>)の新潟公演にゲストヴォーカルとして呼んでいただいた時、「目眩」と「蘭鋳」を歌わせていただいたことがありました。

逹瑯:そうだったわー。

──その際は逹瑯さんとのツインヴォーカル体制だったかと思いますが、先日の「絶望」に関しては来夢(キズ)さんとのツインヴォーカル体制でしたよね。武道館にて、あのような“ムック Respect Session”を体験してみて、どのように感じられました?

暁:来夢とふたりだったのもあって、あのセッションに関してはもう純粋に楽しんじゃいましたね。しかも、ちょうど「絶望」が始まった途端にプロンプター(歌詞字幕の表示機器)が映らなくなっちゃったから、来夢と一緒に思わず笑っちゃって(笑)。

逹瑯:テンパってたもんね。あれは大変だろうなって思いながら観てた(笑)。

暁:あのハプニングがあって、逆に凄い楽しくなっちゃいましたね。面白かったです。

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──逹瑯さんからしてみると、暁さんや来夢さんといった後輩たちが自分のバンドの曲を歌っている姿はどう映りました?

逹瑯:うちらが過去にやってきたようなことを、暁とか来夢の世代にやってもらうようになって来たんだなって感じたし、そこが凄く面白かったです。で、カバーしてもらう側の立場になってみたときに嬉しい気持ち半分、もう半分は悔しいというかヤキモチじゃないですけど、なんかちょっと複雑な心境にもなりましたね。自分のバンドのカバーセッションなんだけど、でも「俺もやりたいのになー」って(笑)。

──もっとも、あの日の逹瑯さんはMUCCとしてのパフォーマンスだけでなく“BUCK-TICK Respect Session”でも活躍されていたではないですか。

逹瑯:でも、あれはそれこそうちらが過去にやってきた先輩たちのカバー、っていう意味では今までどおりと言えば今までだったでしょ。その点、このあいだの武道館だと千秋(DEZERT)がやった“蜉蝣 Respect Session”もそうだったけど、今までだったらあの日あの場にいたガラ(メリー)とか俺が歌ってたはずのところを、うちらの世代は敢えて手を出さずに次の下の世代の子たちが歌ったっていうのが良かったなと思ってて。

──確かに、後輩陣が先輩バンドたちの曲を大切に演奏していく様からは“受け継がれていくもの”を感じさせてもらえました。

逹瑯:もちろん、“蜉蝣 Respect Session”の時はkazu(ex.蜉蝣~the god and death stars / gibkiy gibkiy gibkiy)くんも参加してくれてたけどね。アルルカンの暁、キズの来夢、DEZERTの千秋っていううちらの下の世代のヴォーカリストたちが、ああいうかたちで俺らの世代の曲を歌ってくれたっていうことの意味は大きい気がする。

◆インタビュー(2)へ

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■ステージでは対等な立場としてぶつからせてもらう、という気持ちも込めました

──そうした中、2月に開催される<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>ではアルルカンとMUCCが良い意味で互いに容赦のないぶつかりあいを繰り広げてくれるのではないかと期待しているのですが、ここに<餓者髑髏>というタイトルが冠されているところも重要なポイントなのではありませんか。

暁:僕がアルルカンを始めてから初めてMUCCのライヴを観た時に、ステージのバックドロップのデザインがとにかく厳つかったんですよ。

逹瑯:あぁ、まさに餓者髑髏の絵柄を使ってた時のことか。

暁:そうなんです。あれを観て「凄いな…!」って思ったのがまずはひとつ。そして、アルバムで言うと僕が最初に聴いたのは『極彩』(2006年発表)だったんですけど、心の闇を音や歌詞から痛いくらい感じさせてくれるこのバンド、このイメージを視覚化するだったら、もうこれ以上ないじゃんってなって、僕の中ではもう髑髏で決まっちゃって。

逹瑯:へぇー、そうだったんだ。

暁:だけど、MUCCの世界が闇だけかというとそういうわけではなくて、たとえば『極彩』も闇と光を行き来してるような作品だったじゃないですか。しかも、ライヴはもっと強い。ほんとにデカくて強くて得体のしれない妖怪みたいな、暴れ回る餓者髑髏というのが僕の中でのMUCCという存在だったんですよ。そういう偉大な先輩に対するリスペクトの意味で今回の2マンには「餓者髑髏」というタイトルをつけさせてもらいました。裏テーマとしては髑髏は服を着ない、つまり互いに裸のまんま。ステージでは対等な立場としてぶつからせてもらう、という気持ちもここに込めました。

──なるほど。ちなみに、MUCCは餓者髑髏デザインのバックドロップをかなり長年使っていたように記憶しておりますが、もともとはどのような切っ掛けで餓者髑髏に着目することとなったのですか?

逹瑯:あれはね、洋服屋さんやってるSKULLSHITの大滝(哲也)さんと仲良くって、せっかくだから「骸骨を使ったカッコいいロゴを作ってもらおう!」という話になり、そのままポンって投げてお任せで出来上がってきたものだったんですよ。別にこっちから細かくモチーフの指定をしたとかではなく、MUCCに対する印象をデザイン化してもらったらああなったっていうことでした。インパクトあるし、ライヴの後半であのバックドロップがバーン!って下から揚がってきたら絶対カッコいいよねっていうことで、しばらく使ってましたね。

──ワンマンはもちろんなのですが、対バンの時にあの餓者髑髏から発せられる威圧感は異様なほどに強かった印象があります。その餓者髑髏の言葉を今ここでライヴのタイトルに冠してくれたアルルカンの真摯な姿勢からは、深い愛と闘志を感じますね。

暁:そこがわかってもらえると嬉しいですね。さっき、年末の<V系って知ってる?>でやったセッションの時に世代間の継承があったっていう話が出てたじゃないですか。そういう“流れ”の中に自分たちが居るっていうのが、なんか自分ではあんまり自覚出来ていないというか、ヴィジュアル系はとても好きなんだけど、その中に自分が組み込まれてる感覚がどうもちょっと薄いところがあるんですよ。

逹瑯:それはどういう意味で? 疎外感があるってこと?

暁:なんなんですかね? ライヴハウスに行って、フロアでアタマ振って、物販買って、みたいなことをした経験がないからかもしれません。MUCCを観たのもアルルカンを始めてからだったし、ライヴに通ってたキッズとしての原体験がないんですよ。音源ばっかり聴いてたというか、それも別にディグりまくってたわけでもないんで、なんとなく自分は馴染めてない感があるんですよね。

逹瑯:俺もそうだったよ。

暁:えっ! そうなんですか?!

逹瑯:俺もライヴって自分がバンドを始める前に観に行ったのなんて、SOPHIAだけだったもん。それも学園祭。ライヴハウスなんて行ったことなかったよ。そのあと、高校2年の時の文化祭で初めてコピーバンドやって、バンド楽しい!ってなったのはそこからだったからね。たまたまその時のメンバーにSATOちがいて、そこらへん界隈にちょこちょこ顔を出すようになって、そのうち「イベントやるからバンド組んで出る?」みたいな流れから、何回かコピーバンドやったっていう感じだったのね。だから、好きなバンドを観に地元のライヴハウスに通ってとか、茨城に誰々が来るから観に行こうぜ!なんていうのは全然したことなかった。ライヴハウスに出入りするようになったのは、俺も仲間内とバンドを始めて演者側になってからだったよ。おそらく、そこは暁と同じような感じだったんじゃないかな。

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──両者にそのような共通点があったとは、やや意外です。

暁:ただ、MUCCは始まるのがわりと早かった方でしたよね? 俺、バンドを始めたのが20代に入ってからだったんですよ。そこも自分的にはちょっとズレてるよなぁ……という気持ちがあって。あと、MUCCについても『極彩』の時に出会ってはいたけど、その頃のMUCCが自分に大きい影響を与えてくれました、というよりは今まさに現在進行形なかたちでリスペクトしていると言った方が正しくて。ライヴをしている今の姿とか、アドバイスを直接いただいたりとか、MUCCの活動をリアルタイムに見て受ける刺激だったりとか、過去よりも現在の活動に強い刺激を受けているところが凄く大きいんです。

逹瑯:まぁ、そのへんの経緯とかはそれぞれみんな違くてみんなイイんじゃない?

──逹瑯さんの場合、コピバンからスタートしてやがてムックとして動き出すようになった中で、ご自身の中のバンドというものに対する本気スイッチがオンになったのはいかなる瞬間だったのでしょうか。今さらですがうかがってみたいです。

逹瑯:これで自分は生きていくんだ、って明確に意識したの高校卒業くらいのタイミングだったんじゃないですかね。高3の最初からムックが始まって、1年やって、みんな卒業前に進路どうするんだ?ってなるじゃないですか。東京に行くんだっていうヤツもいれば、バンドやってても解散するっていうヤツもいっぱいいたし、バンド続けるっていうヤツもいたけど、ムックはミヤが東京に出る、SATOちも東京出る、俺は専門学校があったから東京は行かないけど、楽しかったら「ムックは続ける」ことにしましたからね。その時点で、将来の選択をひとつしたっていうことだったんだと思いますよ。

──暁くんの場合は、昨年発表されたシングル表題曲「PICTURES」の中でもポエトリーリーディングを通して表明していたように、まずはギタリスト・奈緒さんとの出会いが音楽を始めるうえではとても大きかったわけですよね?

暁:そうですね。奈緒と出会った時はそれぞれ大阪と名古屋だったんで、どうしようか?みたいなことにはなりましたけど、結局そこから東京に出てきてっていうのが僕としては大きかったです。自分が大阪から出てくとは全く予想してなかったんで。

逹瑯:そんなに好きなん?大阪が。

暁:いて困ることなかったですからね。

逹瑯:でっかい街だもんなぁ。

暁:おそらく、今思うとあの頃の自分はあんまりいろんなものに対する興味がなかったんでしょうね。なんにも困ってなかった。息苦しいけど理由もわかんない。だけど、そこからいろいろ加点されていって、興味も拡がって、大阪を出て行くことになって。あれはほんとに大きな出来事やったなとあらためて感じます。

逹瑯:今は何に興味があんの?

暁:今ですか? 逹瑯さんに対しての興味がけっこう大きいかな(笑)。なんか、僕からすると逹瑯さんって飄々としたイメージがあるんですね。あと、黒魔術師みたいなイメージもあるんだけど、このあいだガラさんと話してた時に「昔の逹瑯はとにかく想いを叫んでた。今もそういうところはあるけど、途中から歌を歌う人にシフトしたと思う」っていう話をしてて、ガラさんのその話に凄く興味を持ちました。多分、ガラさんの言う“とにかく想いを叫んでた”時代って俺が逹瑯さんのことを知る前のことですよね?

逹瑯:だろうね。結局、自分の歌がヘタクソなのは凄く自覚してたし理解してたから、技術面とか歌の上手さで勝負出来ないんだったらエモーショナルに叩きつけるっていう方向に特化しよう、っていう意識がある時期までは強かったわけ。そこだけは誰にも負けられない、ってソッチに全振りしてたの。だけど、その一本勝負だけではだんだんどうにもならなくなって来て、いろんな感情を表現したり、いろんな場面を歌うには絶対的な歌唱力やたくさんの引き出しが自分の中に必要だ、っていうことに気付いてさ。ひとつずつ課題をクリアしていって、その時々で必要な表現方法を少しずつ身に着けていくうちに、気が付いたら「ちゃんと歌うって凄く大事なことなんだな。やっぱりそこって目を背けちゃいけないよね」って考えるようになってた自分がいたんだよ。

──インディーズ時代の楽曲や、それこそ昨年終盤に開催されていた<MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~是空・朽木の灯~>で久しぶりに演奏されていた『是空』および『朽木の灯』の楽曲たちは、まだギリギリ“想いを叫んでいた”頃の範疇に入っていたように思います。

逹瑯:うん、アルバムでいうと『朽木の灯』を出した当時もまだ「俺より歌が上手い人は山ほどいるかもしんないけど、俺は“刺さる”歌を歌える人になりたい。そこだけは誰にも負けない!」って思ってたし、逆に言えばそこで勝負して負けたら自分には何もなくなっちゃうくらいの危機感は持ってましたよ。

──だとすると、逹瑯さんが「“刺さる”歌の一本勝負だけではどうにもならない」と感じた最初の節目はいかなるタイミングだったのです?

逹瑯:デカかったのはメジャーレーベルとの仕事でしょうね。歌だけじゃなく、歌詞にしても、そこで視点が変わったところは多々あります。

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──その際に葛藤を感じるようなことはありませんでした?

逹瑯:あるにはあったけど、そこはMUCCというバンドの性質を考えるとそうすべきだろうなってなることが多かったと思いますよ。MUCCの場合、何よりもピラミッドの頂上にあるのは曲ですからね。この曲はこういう風に演奏していって、こういう雰囲気でやった方がカッコよくなると思うから、それを出来るようにしてね!っていうのが基本としてあるんですよ。だから、それを曲作りごとに重ねていくたびにちょこちょこ引き出しが増えていくわけです。そして、レコーディングまでになんとかカタチにはするんだけど、そこからツアーでやっていった時にはさらに曲に対しての理解が深まって「そういうことだったのか」って自分の中でシンクロしていって馴染んだり、みたいなことも出てくるわけで。だったら歌をもっとこうしよう、ってなるんですよ。要はずっとその繰り返しでした。今もそれが続いてるとも言えるしね。

──個人的には、メジャーレーベルにおいてMUCCが最も劇的に変化したのは2004年のアルバム『朽木の灯』から2005年のアルバム『鵬翼』にかけての時期だったようにも思いますけれど。

逹瑯:『鵬翼』に関しては、俺もあの当時「すげぇ柔らかい歌モノのアルバムが出来たな」って感じてましたよ。ところが、今になって聴くと全然あれも暗いしね。

暁:あははは(笑)。

──その後、2006年4月に出た日欧同時発売特別アルバム『6』と、同年末に出た暁さんにとっての出会いのアルバム『極彩』あたりからは、完全に今のMUCCに直結する流れが生まれていたように感じられますよ。あのあたりで曲調の幅がより拡がりましたよね。

逹瑯:おかげであの頃もほんと大変だった(笑)。

◆インタビュー(3)へ

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■アルルカンのメンバーが感じたかった感情を
■しっかりと与えてあげられるようなステージが出来たら(逹瑯)

──さて。一方のアルルカンも今年10周年ということで、年明けには<Anthology~10th Anniversary Special Night~vol.1>の2デイズで『puzzle』『PARANOIA』『ラズルダズル』『真っ赤な嘘』といった過去音源たちに焦点を当てたライヴを開催されていましたが、あのコンセプチュアルなライヴを通してあらためて何か気付かれたことはありましたか。

暁:アルルカンには「今もうこれライヴで出来ないな」みたいな昔の曲ってあんまりないし、普段から新旧問わずセットリストに組み込む派なんで、そこまで大きな発見とかはなかったです。その分、あらためてやってみてしっくり来たかな。アルルカンとしての遍歴はあるし、自分たちでも変化は感じるけど、そこに違和感はなかったです。それに、自分らとしては10周年っていうのはお祭りだから、まずはお客さんたちを楽しませたいっていう気持ちが先にあったし、そこでああいうライヴをやってみんなが喜んでくれたっていうのが嬉しかったですよ。

──それは大変素晴らしいことですね。

暁:ありがとうございます。昔のことを知ってる人たちは当時の懐かしさもありつつで楽しんでくれてたみたいだし、僕に角が生えてない時から知ってくれた人たちからすると、こんな時があったんだ!って面白がってもらえたみたいだし。みんながハッピーだった、っていうのが凄く良かったです。

──MUCCは今年これから<MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~鵬翼・極彩~><MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~志恩・球体~><MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~カルマ・シャングリラ~>と3本のTimelessシリーズツアーが11月まで続いていくことになるそうですが、昨年の第1段<MUCC 25th Anniversary TOUR 「Timeless」~是空・朽木の灯~>を経てみて、何か実感されたことはありましたでしょうか。

逹瑯:うちもね、お客さんたちが楽しそう。それは凄いやってて感じる。

──逹瑯さん御本人は?

逹瑯:お客さんたちが楽しそうってことは、こっちも楽しいですよ。っていうのは、たとえば『是空』なんてもう20年前の音源なわけだから、さっき暁が言ってたみたいにその当時リアルタイムで聴いてくれてた人たちと、当時を知らない人たちだとライヴの楽しみ方もちょっと変わってくるわけでしょ。だって、20年前ライヴに来てた人たちの中にはゴリゴリに病んでて「MUCCの音楽に助けられてます」とか「将来のことなんて考えられません」みたいな、自分の人生は真っ暗だって思い込んでた人たちもけっこう多くて。あれだけ多感な時期を過ごしてたその人たちが今や家庭を築いてたり、今は幸せみたいな感じで笑顔を見せながらライヴに来てくれてるわけですよ。で、当然そこはある意味で歌ってる自分も一緒だからよくわかるんだよね。あの頃、悲痛な感じで音楽に救いを求めてすがりついてた自分たちのことを、今の自分だったら「大丈夫だよ」って抱きしめてあげることが出来るというか。明らかに昔とは違う表情で楽しそうにしてるみんなの空気感が、フロアに漂ってるのがいいなって思います。

──それと同時に、当時を知らない方たちも当時に近いライヴを追体験することは出来るわけで、Timelessシリーズは本当に貴重な場ですね。

逹瑯:渦中にいた当時は、もがくように闇の中で渦巻いてる感情のみにまかせて歌ってたから、それと今の空気感は絶対的に違うんだよね。だから、Timelessツアーでやってることって“再現ライヴ”ではないんですよ。だけど、それだけに凄く自分にとっても心地よくて。あの当時は自分にとってリアルでしかなかったものを、そのまま再現するだけとか、演じるというかたちで嘘をつきながら歌うとかでもなくて、今は今の感情でここまでに育ってきた曲として歌いそれを楽しむことが出来る、っていうのがほんとにイイんだよね。包み込むような感覚で激しい曲をやれたっていうのが凄く良かった。

──逹瑯さんは今しがた「今は今の感情で」という言葉を発されましたけれど、暁くんは昨今「世界の終わりと夜明け前」に端を発するかたちで、その後の「MONSTER」あるいは「PICTURES」で“今の感情”を赤裸々に歌う、ということを以前にも増して激化させて来ていらっしゃいます。これは傍からみていると相当に勇気の要ることなのではないかと思うのですが、ご自身でもその意識は強くお持ちですか。

暁:強みだと思ってやってますね。それがないと先がない。振り返ってみると、過去にやってきたことも根本的にはずっと今の感情を歌うことだったし、歌詞を書いたり歌うことで向き合うことになる現実とか辛さとか喜びとか、それが結果的に聴き手にも強く刺さりますから。このところ新曲を作っていても、それはとても必要なところだなって感じてます。ただし、受け手側が余白を感じられるようなものもここからはちょっと作っていきたいなと思っている自分もいるんですよね。「PICTURES」でひとつやり切ったところはあるので。

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──「PICTURES」の先を行くあらたな一歩が、4月5日に出るという現在制作中のアルバム『δυσ-τόπος ~Dystopia~』の中に刻み込まれていくわけですね。

暁:はい、そうなっていくと思います。

逹瑯:まぁでもさ、暁は昔から変わらず悩み続けてるよね。そこもずーっと変わってないんじゃない?

暁:そうですね(苦笑)。

逹瑯:ひとつ悩みが解決したとしても、すぐまた次の悩みを抱えちゃうでしょ。暁は考えることが好きなんだろうね。「PICTURES」みたいなかたちで悩みを曲として昇華させてもいるし、それが暁のスタイルなんだろうな。だけど、さっきの「受け手側が余白を感じられるようなものにも挑戦していきたい」っていうのも凄く良いと思うね。余白がある歌とか曲って、聴いた側が自分のものとして受け取ることができるじゃない?

暁:いやー。そうなんです、それはほんとそうなんですよ。

逹瑯:聴いた人のものになるような曲がいろいろある中に、ああいう「PICTURES」みたいなプライベートで核のしっかりしたものが入ってくると、さらに際立って感じられるんじゃないかなとは思うな。そこのバランスとか対比が生まれていくと、アルルカンの音楽はもっと良いものになっていく気がする。

暁:ありがとうございます! 忘れたくないんで胸に刻み込みます…!

──ではここで、再び話題を<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>の件に戻しましょう。2マンということはそこそこの曲数を双方が提示出来るはずですが、そこに向けた戦略はもうなにかしら立てていらっしゃいます?

逹瑯:ちょうど昨日、ミヤさんから「曲順これで行きます」っていう連絡が来たんですけどね。知りたい? 先に全部教えようか(笑)。

暁:あははは、それはさすがにちょっと(笑)。

──正攻法なのか、意外な展開なのか、でいうとどちら寄りです?

逹瑯:とりあえず、MUCCってこういう感じのバンドだよねっていうのを知ってもらうには凄く良いセトリになってるんじゃないかな。わりと幅広いと思うよ。

──対するアルルカンは?

暁:まだ組んでないんですよ。といっても、一番強い右ストレートを出すしかないですよね。それしかないと思います。

逹瑯:右ストレート? それを思いっきり出すんだったら、アルルカンだったら祥平が一番強そうだな(笑)。

──リーチが最も長そうではありますね。

暁:物理ですか(笑)。

──右ストレート加減で言えば、武道館での<V系って知ってる?>でアルルカンが見せた1番手としての剛腕ぶりは実に見事でした。まだ昼間だったしょっぱなに、いきなりの強烈かつ鬼気迫るステージングで居合わせた人々を半ば唖然とさせていましたものね。

暁:武道館で昼間から超個人的な歌「PICTURES」で始める、というのはちょっと気持ち良かったです(笑)。

逹瑯:あれは良いトップバッターだったねぇ。しかも、ああいう曲でハッとしてくれるようなお客さんっていうのは長く寄り添ってくれる可能性が高いんじゃない?

暁:きっとそうですよね。僕もそう思います。

──ライヴでの「PICTURES」が凄いのは毎回2コーラス目の内容が変わるところで、あの尺に言葉をきっちりおさめてくるところにも何時も感心しておりますよ。

暁:いやそれが、ハミ出ちゃったりしてることもけっこうあるんです。言いたかったのに言えなかったことが出てくることもめっちゃあるし、何時も頭の中で「これは言えた」「これも言いたい」ってグシャグシャになってるから毎回大変ですよ(苦笑)。

逹瑯:あれって即興なの?

暁:ある程度はあらかじめ決めとかないと僕は言葉が出て来なくなっちゃうんで、大体の流れは決めておいてあとはポイントごとに勢いで行ったりしてます。急遽足したり、決めててもその場で出て来ない時はそのまま言えないで終わることもあるし。最終的にはその時によりますね。

──そういえば、アルルカンは年明けの<Anthology~10th Anniversary Special Night~vol.1>で遂に声出し解禁ライヴをされたそうですね。MUCCは2月に入ってから川崎と大阪で<[MUCC 25thAnniversary Special Liveムック試験導入公演その5.暴れて、感じて、声出しOK。『咆哮』>を開催することになっていますが、ひとあし先に声出しライヴを久々に体感された暁さんはどのようなことを感じられましたか。

暁:なんでしょうね。あれはもう、この約3年やってきたライヴとは別物でしたね。僕はコロナ禍になってからライブ再開までめちゃくちゃ気を使ってたし、納得しないとステージにも立てないな、というところからのスタートだったので。長い時間をかけて、プロセス踏んで、ようやく次に進みましょう、って感じで自分としては筋を通して来たうえでやっと出来たライヴでもあったから、みんなの声を聴けた時はやっぱめちゃくちゃ嬉しかったです。シンプルに、お客さんたちの声が聴こえてくるって“もう1回ほんとの意味で会えた”感じがしましたね。気持ちが凄く充たされました。みんなもきっと、素直に「ライヴってこれだ」って感じたんじゃないですかね。アルルカンのライブは双方向で。僕は結局メッセージを叫ばずには居られないし、ファンもそのエネルギーに触れて吐き出したり受け取りにライブに来てる。バラバラなんですけどこれがたまたま共鳴した時に、ああこれがアルルカンのライブだ、って思い出せたんで、このところライヴに来てなかったっていう人たちにも、ぜひこの感覚はまた感じに来て欲しいなって思います。まだ怖いとか不安だっていう人がいるのはわかるんですけど、そこをクリアすることが出来るなら、戻ってきたアルルカンのライブってのを感じに来て欲しいなと思いました。

逹瑯:俺らはこれからだから、どんな空気になるのかな?っていうのを楽しみにしてるとこですけどね。でもどうなんだろ? 声出しもそうなんだけど、今までだって若干の笑い声とか予想外な展開になった時の歓声みたいなものは微妙に出てたじゃない?

──意図せず漏れる感嘆の声、笑い声は確かに多少ありましたね。

逹瑯:だから、声に関してはここから自然と出てくるようになる気がしてるけど、そこより難しいのがモッシュ・ダイヴだよね。

暁:うん、そこ問題ですよねぇ。

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──ヴィジュアル系のみならず、各ジャンルともそこなしにここからも制約に縛られたままライヴ活動を継続し続けていくのは厳しいところがあると思います。少なくとも、このあいだの大盛況だったワールドカップや各国で再開しているフェスの様子を見る限り、日本のこのガチガチな状況の方がよほど不自然に感じられますし。

逹瑯:今のところモッシュ・ダイヴに関してはOKかOKじゃないか、っていう話そのものを聞いたことがないんでね。もともとライヴハウスでだって暗黙の了解で行われてきたものだから、今日から解禁ですというのもどうなんだっぺな?というのがあるというか。大体、もしいきなりダイヴとか始めても自分たちが思っている以上に驚くほど体力落ちてるケースもありそうだからね。

──まだまだ一筋縄ではいかないところが多いかもしれませんが、幸い今度の<10th Anniversary 2man「餓者髑髏」>も各所協議の結果なんと声出しはOKとなったそうなので、ここは参加する方々全員で出来る限りの楽しみ方をしていきたいものです。

逹瑯:フルキャパで発声は25%なんだっけ?

暁:謎ルールではありますけど、楽しんでいきましょう(笑)。

──最後に、逹瑯さんから当日に向けたアルルカンへのメッセージをお願いいたします。

逹瑯:ここはもう、誘ってくれてありがとう!という気持ちでね。アルルカンのメンバーが感じたかった感情を、しっかりと与えてあげられるようなステージが出来たら良いなと思ってますよ。

──すなわち、ありがとうという気持ちで思い切りブッ叩きに行くということですね。

逹瑯:うん(笑)

──暁さんはどう立ち向かわれますか。

暁:MUCCが凄いのは当たり前なんで、アルルカンはアルルカンを貫いていきます。高い壁にぶつかっていくことで見えてくるものが必ずあるし、その自分に用があるんで! 全部ひっくるめてもらえるもんは全部もらいにいきます!!骨折してますけど全体重乗っけた右ストレート打ちに行くんで!

逹瑯:今日から毎日、骨のために煮干しと牛乳な(笑)。

取材・文◎杉江由紀

<アルルカン Presents 10th Anniversary 2man「餓者髑髏」 at 恵比寿LIQUIDROOM>

・日程/会場
2023年2月11日(土)恵比寿LIQUIDROOM

・出演者
アルルカン / MUCC

・開場/開演
開場17:30 / 開演18:00

・チケット料金
前売¥6,800(税込/D別)
当日¥7,300(税込/D別)

・チケット
【A】イープラスプレオーダー先行
受付期間:1月16日(月)12:00~1月28日(土)23:59
入金期間:1月31日(火)13:00〜2月2日(木)21:00
※枚数制限:お一人様4枚まで
https://eplus.jp/arlequin/

【B】一般発売
2月3日(金)10:00~
※枚数制限:お一人様4枚まで
https://eplus.jp/arlequin/

・その他
本公演は総演奏時間の約25%程度までの声出し可能とします。

・お問い合わせ
NEXTROAD 03-5114-7444(平日14:00~18:00)
http://nextroad-p.com/

アルルカン ライブ・ツアー情報

<Anthology~10th Anniversary Special Night~vol.2>
3月11日(土) 、12日(日) 新宿BLAZE
Day1:【1部】Anthology -Utopia-【2部】Anthology -影法師-
Day2:【1部】Anthology -ANIMA-【2部】Anthology -secret-

<10th Anniversary Tour「escape from dystopia」>
4月8日(土) 渋谷CLUB QUATTRO
4月19日(水) 神戸 太陽と虎
4月20日(木) 神戸 太陽と虎
4月22日(土) 京都MUSE
5月3日(水祝) 金沢AZ
5月4日(木祝) 長野CLUB JUNK BOX
5月6日(土) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
5月20日(土) 仙台darwin
5月21日(日) 仙台darwin
5月28日(日) 名古屋Electric Lady Land
6月3日(土) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
6月4日(日) HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
6月10日(土) 柏PALOOZA
6月11日(日) 柏PALOOZA
6月17日(土) HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
6月21日(水) 岡山IMAGE
6月22日(木) 広島SECOUND CRUTCH
6月24日(土) 福岡BEAT STATION
6月25日(日) 福岡BEAT STATION
7月1日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
7月2日(日) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
7月8日(土) 札幌SPiCE
7月9日(日) 札幌SPiCE
7月22日(土) 大阪BIG CAT

MUCC リリース情報

■映像作品「新世界映像全集 高画質盤」(Blu-ray)
2022年2月22日(水)発売
価格:3,960円(税込)
収録曲
01.星に願いを
02. R&R darling
03. COLOR
04. Paralysis
05. 零
06. GONER /WORLD
07. 空-ku-(Mixed by Miya)

■NEW MINI ALBUM「新世界 別巻」
2022年12月21日(水)発売
【特別書籍特装盤】 MSHN-169/170 13,000円(税込)※受付終了
【初回限定盤】 MSHN-171/172 3,960円(税込)
【通常盤】 MSHN-173 2,530円(税込)

収録曲
01.空 -ku- (Mixed by Miya)
02.猿轡
03.I wanna kiss
04.別世界
05. HOTEL LeMMON TREE
06.SLAVE
07.終の行方
08.猿轡(Original Karaoke)
09.I wanna kiss(Original Karaoke)
10.別世界(Original Karaoke)
11. HOTEL LeMMON TREE(Original Karaoke)
12.SLAVE(Original Karaoke)
13.終の行方(Original Karaoke)

・特別書籍特装盤、初回限定盤、共通収録
Documentary of 『MUCC TOUR 2022「新世界」〜Beginning of the 25th Anniversary〜』
新世界ツアーの密着映像にメンバーインタビューを交えたドキュメント映像

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