結束バンド、ファンと分かち合った『ぼっち・ざ・ろっく!』愛 キャスト4人の成長も見えたライブイベント

結束バンド、ファンと分かち合った『ぼっち・ざ・ろっく!』愛 キャスト4人の成長も見えたライブイベント

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  • 更新日:2023/05/26
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『結束バンドLIVE-恒星-』

テレビアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の劇中バンド・結束バンドが5月21日、Zepp Haneda (TOKYO)にてライブイベント『結束バンドLIVE-恒星-』を開催した。開演前から会場は熱気に包まれており、今か今かと待ち望む空気で充満していた。

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開演するとまず4人の演奏陣がステージに登場し、ヘヴィなサウンドを響き渡らせた。圧倒的な爆音を前に会場中が緊張感に包まれる。そこにアニメで喜多郁代役の長谷川育美が姿を現すと大歓声が起きた。1曲目は「ひとりぼっち東京」。疾走感あふれる演奏によって序盤からすでにアクセルは全開。そこから「ギターと孤独と蒼い惑星」「ラブソングが歌えない」と立て続けに披露した。正確無比なドラミング、エモーショナルなギターの速弾きなど、バックの演奏陣は抜群の安定感を発揮する。そして、そのなかでも長谷川のボーカルはまったく掻き消されることがない。とりわけ秀逸だったのが「ラブソングが歌えない」の最後のフレーズ〈ああ嫌だ 嫌だ 嫌だ〉の歌い方だ。この箇所での彼女の感情を吐き出すような表現には、観客の多くが心を揺さぶられたに違いない。

歌い終えると長谷川は「あらためまして結束バンドです!」と挨拶し、会場から熱い声援が送られた。続いてKANA-BOONの谷口鮪が書き下ろしたアニメエンディングテーマ「Distortion!!」と、続いて「ひみつ基地」を歌唱。ポップロック調で陽気なテイストのあるこれらの曲では、照明もカラフルになり空気が明るくなったのを感じた。

次の「カラカラ」のイントロで山田リョウ役の水野朔が登場した。tricot/ジェニーハイの中嶋イッキュウが書き下ろしたアグレッシブなサウンドと水野の透き通る歌唱とのギャップが面白い。歌い終えた水野は「(長谷川)育美さんが歌ってる時も舞台袖で見させていただいたんですけど、もう気持ちはそっち側です。バンド最高!」と彼女自身もファン目線で興奮していると明かす。その後、さきほどまで歌っていた長谷川と2人でトークして観客を楽しませ、ほどなくしてバトンタッチ。再び長谷川が歌い出した。

ここで披露したのは「あのバンド」。シンガーソングライター/作曲家の草野華余子が書いたこの曲は、荒々しいギターの演奏と伸びのよいメロディアスなボーカルが魅力。イントロでは演奏陣に順にスポットライトが当たっていく演出もあり、バンドメンバーたち一人ひとりも輝いていた。一転してどこか切なさのある「小さな海」を爽やかに歌い上げると、次に伊地知虹夏役の鈴代紗弓がステージに現れた。歌ったのはthe peggiesの北澤ゆうほが作詞作曲した「なにが悪い」。鈴代はこれまでの2人とも異なる、可愛いらしいボーカル表現で観客を魅了。ステージを縦横無尽に動きながら、会場の空気を染めていった。

歌い終えると、鈴代はコール&レスポンスを開始。「ぼっち・ざ・ろっく」や「結束バンド」「BTR」など、イベントにまつわる言葉をリズムに乗せて掛け合い、観客を楽しませた。長谷川が再度登場し、ここで新曲「青い春と西の空」を披露。同曲はギターの繊細な旋律や青春感のあるメロディに胸がくすぐられる一曲。長谷川はこの曲について「聴いてて切なさを感じるような青春を感じさせるような曲」と話し「ついにこの曲を届けられたんですね」とライブで披露できたことを喜んだ。

ライブは終盤。ラストスパートは「忘れてやらない」「星座になれたら」「フラッシュバッカー」と流れるように歌い上げ、会場の熱気が頂点に達したところで本編は終了。オーディエンスは全員拳を突き上げており、大歓声のなか一旦幕が閉じた。

アンコールで登場したのは、後藤ひとり役を務める青山吉能。青山はなんとギターを持ってあらわれ、会場がどよめく。披露したのはASIAN KUNG-FU GENERATIONのカバー曲「転がる岩、君に朝が降る」。青山の演奏はどこか慣れない様子も感じさせつつ、それでも真剣に弾く姿が印象的。ギターソロを弾きながら指先を見つめるその真剣な眼差しは、『ぼっち・ざ・ろっく!』という作品、ひいては音楽への愛の深さが存分に感じ取れるものだった。

パフォーマンス後、青山は「見て、やばいんだけど」と緊張のあまり大きく震える手を観客に向ける。この日のために一生懸命に練習してきたことがうかがえた。また「この作品に出会えて音楽の楽しさとかギターを弾く楽しさを知れた」「音楽って尊いんだなって」と語り、作品への感謝を伝えた。その後、SAKANAMONの藤森元生が作詞作曲した「光の中へ」と、アニメのオープニング主題歌「青春コンプレックス」を長谷川が歌い、終演。鳴り止まない拍手のなかでメンバーたちはステージを後にした。

結束バンドがファンとともに作品愛を分かち合ったこの日。力強い演奏と、それに負けじと盛り上がるオーディエンスの熱量の高さが印象的だった。そのなかでも、青山が楽器に挑戦して音楽の楽しさを再確認するなど、キャストたちの成長も見どころの一つとなっている。アニメ作品の魅力、ロックバンドの魅力、そして演者の魅力。このイベントでしか味わえない、多くの魅力が詰め込まれた貴重な一夜であった。
(文=荻原梓)

荻原梓

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