
インビクタス・ゲームで拍手するヘンリー王子(右、ロイター)
ドイツ・デュッセルドルフで16日に終了した「インビクタス・ゲーム」閉会式のスピーチで、王室から軍服の着用を禁じられているヘンリー王子が王室批判を展開していた。英紙ミラーが18日に伝えた。
ヘンリー王子は約10分間、群衆を前にスピーチを行ったが、感情が高まったのか、一時は声を詰まらせた。さらにはその中で、全員が元軍人である競技者たちに対し、軍人であった誇りを感じるために「制服(軍服)に頼る」必要はない、そして「制服なしでは損をする」と考えるべきではないとき然とした口調で語った。
明らかに王室を意識したこの言葉は、2020年にヘンリー王子とメーガン妃が王室を離脱した際、軍服の着用を禁止され、軍関係の仕事を断念せざるを得なくなった背景がある。それだけに自身に向けた言葉のようにも聞こえた。
ヘンリー王子は5月のチャールズ国王の戴冠式ではモーニングスーツを着用。昨年9月のエリザベス女王の国葬でも、軍服の着用を求める声があったにもかかわらず、王子は最愛の祖母のためにスーツを着ていた。しかしウェストミンスターホールでエリザベス女王の棺の周囲で通夜を営む際のみ、約2年半ぶりに軍服の着用を許されている。
だがエリザベス女王を象徴する最も大事な「ER」のイニシャルバッジは着用を許されず、その後、王子は「打ちのめされた」と語っていたという。当時、王子の友人は「彼は悲嘆に暮れていた。愛する祖母のイニシャルを外さなければなかったのは、明らかに(王室による)意図的なものだと思われる」と証言している。
閉会式のスピーチでも「これまでのことを踏まえて、ユニフォームに頼る必要はないし、ユニフォームなしで迷うことはないということを思い出してもらいたいと思います」と負傷軍人たちを激励している。成功に終わった「インヴィクタス・ゲーム」だが、軍服についての王室の方針に対するヘンリー王子の〝怨念〟だけは消えなかったようだ。
東スポWEB