宇垣美里が語る“誹謗中傷”との向き合い方「“有名税”と肯定していいのは当人だけだと思う」

宇垣美里が語る“誹謗中傷”との向き合い方「“有名税”と肯定していいのは当人だけだと思う」

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  • 更新日:2022/11/25

フリーアナウンサーとして活躍する宇垣美里さん。最新エッセイ『風をたべる2』(集英社)では、青春時代の思い出から、本音で語った“思い”など、赤裸々に綴られています。そんな宇垣さんに全3回にわたってインタビュー。コロナ禍を経て変化したことなど、彼女の“今”に迫りました。

▼これまでのインタビューはこちら▼

【vol.1】宇垣美里がエッセイで“ダメな部分”もさらけ出す理由

【vol.2】宇垣美里「いろんなことに諦めがつくようになった」コロナ禍を経て変わったところ

“有名税”と肯定していいのは当人だけだと思う

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――本書で、〈強い人は耐えられるだけ耐えなければならないのだろうか。恵まれていたら投石にもほほえみ返さなければならないのか。どうして? いつ、それが致命傷になるかなんて誰にもわからないのに〉という文章が刺さりました。宇垣さんご自身が強くて、耐えられるだけ耐えてきた人だからこそだろうな、とも。その文章を書いたのは、SNS上の誹謗中傷で亡くなってしまった方のニュースを見たのがきっかけなんです。私のまわりでも、人前に立つ仕事をしていて、ダメージを受けている方は少なくなくて。亡くなってしまった方の気持ちがわかる、わかってしまう自分に気がついてしまい、そのことに傷ついている……という。どうしたってあれこれ言われてしまうことは、この職業についたからにはある程度織り込み済みなんですけど、それを有名税だと肯定していいのは当人だけであって、他の人が言っていいことではないと個人的には思っているんです。でも世間的には、受け流して当たり前と言うか……そういうこれまでの状況は、人前に出る仕事をしている人たちにとって、やっぱり厳しすぎたよな、と。――あの章での宇垣さんの怒りの表明は、ものすごく突き刺さりました。最近、有名な方でも、「つらい」と口に出すことが増えましたよね。BTSがつらかった時期のことを告白したり、『スパイダーマン』で知られるトム・ホランドがメンタルを守るためにSNSを辞めたり、あのリゾですらカウンセリングに通っていたことを公表した。言ってもいいんだ、という流れができたことはとても素晴らしいことだけど、そんなことも言えないくらい私たちは表に出る人たちを、人として扱っていなかったんだということに気づかされもしました。だから、見られる側でもあり、見る側でもある自分の気持ちを、ちゃんと書いておきたかったんです。

中傷されても受け止め方を変えていくしかない

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――さっきの文章の直前に〈いつしか人を軽蔑することを覚えた。ぐっと傷つかなくなった。でも私は、他人を哀れむような人間にはなりたくなかった。〉とありますよね。あれも、胸に刻もうと思いました。まあ、そうは言っても「言われる」ことからは逃れられないわけで、受け止め方を変えていくしかないんですよね。本当に嫌いだったら姿を目に入れるのもいやだろうし、どうでもよければ無視するだろうから、何か言ってくるということはなんだかんだで私のことを好きなんだなと思ったり、もしくは「なんて暇な人なんだろう」って思うようにしたり。そんなふうに他者を低く見ることでやりすごす対処法は、人としてよくないと自覚しながらも、そうしなければ生きてこられなかった自分もいて、そのジレンマを書いてみました。恋愛でもよくある話ですけど「男ってほんと馬鹿だよね」で受け止めて話を終わらせてしまうの、めちゃくちゃダルくないですか?――わかります(笑)。「男なんて掌で転がしておけばいいのよ」とか、いやいやどっちも人間だろ、みたいな気持ちになってしまうんですよね。もちろんその人たちも私と同じように、そうすることでしか生きてこられなかったんだと思うので、責める気はまったくないんですが、下の世代には絶対引き継ぎたくない。ときどき、本を読んでくれた若い女の子から「言ってもいいんだと思った」みたいなことを言われると、ああよかった、とホッとします。そこでもお姉ちゃんマインドが発揮されるのかな。ラジオを聴いて会いに来てくださる男性をはじめ、誰の言葉も区別なく嬉しいんですけどね。

心に残っている枡田絵理奈さんからの言葉

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――宇垣さん自身が鼓舞されたというか、影響を受けた先輩はいますか?仕事に限っていうと、アナウンサーの先輩である枡田絵理奈さんの影響は受けています。「この仕事(アナウンサー)は、100準備をしても、1も出せるかわからない。でも、100を出す準備しないと1も出ないんだよ」、「私たちの仕事はテレビに出ることじゃなく、その現場をいかに回すかだから、別に映ってなくてもいいんだよ。その収録が滞りなく、みんなが気持ちいい状態で進めることができたら、それが一番なんだからね」とか、たくさん指導していただいて。今でも、仕事でお会いする人に関連するものは、現場で生かされなくても全部チェックしておこう、という気持ちで臨んでいるのは、絵理奈さんの言葉があるからですね。――プロの仕事ですね。当たり前のことなんですけどね。あと、絵理奈さんは本当にいい人で、いつもニコニコしているんですけど、会話のなかで「それは違う」って思った時には「笑わない」という選択ができる方なんです。「笑って流す」ということをしない。微笑んでいても肯定はしない、みたいなふるまいをものすごくお上手にされる方なので、私もそうありたいとずっと思っています。私はすぐ「は? なにがおもろいん?」って顔にでちゃうので……。――それはそれで、素敵なことですし、そうありたい人もたくさんいると思います。だといいんですけど(笑)。学生のころから、たとえば部活でちょっとおかしいなと感じることがあれば、先輩たちがその流れを変えてくれたし、その背中を見て私たちも、下の世代を守るために行動することができました。自分とは無関係のコミュニティだったとしても、年上の人たちが楽しそうに生きている姿を見るだけで、歳をとるのってめちゃくちゃ楽しそうだな、とわくわくしたし、私もまた、下の世代にとってそういう大人になれたらな、と思っています。エッセイを読んでいただければわかるとおり、だいぶ、だめだめな人間なんですけどね。――めちゃくちゃカッコいいですし、読んだらみんな宇垣さんのこと好きになると思います。ありがとうございます(笑)。良くも悪くも、私はおおざっぱで、細かいことを気にしない性格ですし、こういうお仕事をさせていただくことで、他の人よりは発信する場を得られているので、これからも私なりに、伝えたいと思うことを伝えていきたいですね。

【プロフィール】

宇垣美里

1991年4月16日生まれ。兵庫県出身。2019年3月にTBSを退社、4月よりオスカープロモーションに所属。現在はフリーアナウンサーとして、テレビ、ラジオ、雑誌、CM出演のほか、女優業や執筆活動も行うなど幅広く活躍中。

【インフォメーション】

『風をたべる 2』(集英社刊)

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【衣装】ワンピース ¥60500、ベスト ¥36300/ドール(フミエタナカ) チョーカー ¥16500/ノムグ その他/参考商品【お問い合わせ先】ドール 03-4361-8240ノムグ info@nomg.jp撮影/樗木新(willcreative) スタイリスト/小川未久 ヘア&メイク/岡田知子(TRON) 取材・文/立花もも 構成/岩崎 幸

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