「癖になっている」「“絵”を合わせる」「プラスアルファ!」長谷部監督の言葉で紐解くアビスパ好調の要因

「癖になっている」「“絵”を合わせる」「プラスアルファ!」長谷部監督の言葉で紐解くアビスパ好調の要因

  • サッカーダイジェストWeb
  • 更新日:2021/09/15
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前節の鹿島戦は3-0で完勝を収め、3連勝を達成した福岡。攻守両面で安定した戦いを見せている。写真:徳原隆元

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妥協なき指導を続ける長谷部監督。チームの成長に手応えを感じつつ「まだまだ」と満足はしていない。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

アビスパ福岡は8月25日に行なわれたJ1リーグ第26節の川崎フロンターレ戦で、今季公式戦で無敗を続けていた相手に1-0のスコアで初黒星をつける。試合後、長谷部茂利監督は次のように語っている。

「誰もが今日はアビスパ福岡が負けると思っていたと思います。今日のようなサプライズというか、皆さんに喜びを届けることが我々の使命。今季の最後まで今日の勝利はつながっていくと思います」

首位チームに大金星を挙げた福岡は、続く徳島ヴォルティス戦では今季の最多得点となる3ゴールを奪取して完封し、直近の鹿島アントラーズ戦でも同じく3-0で勝利し、3連勝を飾った。

指揮官の言葉どおり、川崎戦の勝利をその後の戦いにつなげることができている。とりわけ鹿島戦のパフォーマンスは出色だった。チャンスを確実にモノにする決定力はもちろん、守備面の充実ぶりも際立っていた。

特筆すべきは、相手に自由と考える時間を与えない高強度のディフェンス。チーム全体で素早く攻守を切り替え、前線の選手も精力的にプレスバックを繰り返す。

「少なくとも、強度を保つというか、出していかないと太刀打ちできない。それは鹿島だけではなく、J1で戦っていくうえで、最低でもこれぐらいの強度を出していかないと自分たちは戦えないぞというところで、選手にはいつも問いただしています。

それを持ってピッチに入っていこうと常に言っていて、選手たちはもう癖になってきていて、だいぶその強度が試合を通してプレー全般で出せている。まだまだだと思いますが、ボールを奪いに行くとか、球際の局面に特化すれば、まあまあ出せていると思います」
そう評価している指揮官は、高いインテンシティを支える走力については次のように見ている。

「戻ることも、横に移動することも、出ていくこともいとわずやりましょうと選手にはオーダーしています。走力とか出足のところで相手以上にやらないと、まず戦いにならないよ、と。

そういう癖がついていると当然、ボールがないところでも走り始めます。自陣に帰る、ゴール前のカバーに入る、逆にチャンスでは“俺のところにボールを寄こせ”というようなフリーランニングですね。横の関係を保つためにスライドするとかもチーム戦術の中にある。全部やらないといけませんから」

アグレッシブなプレーが高い次元で常態化されているなかで、守備に関しては高い位置から奪いに行くのか、いったんステイして網にかけるのか、その使い分けも整理されている印象だ。

「自分たちで“絵”を合わせることを大事にしています。ファーストディフェンスという単語がありますけど、ボールをひとりで取りに行くのではなくて、11人で役割を持ってボールを取りに行こう、守備をしようということを選手にはいつも問いかけているので。

それがうまくいって、メリハリがついてボールを取れているのは良いこと。それができていない時は強度は低いし、ひとりでボールを取りに行けば取れないし、崩されるし、無駄になる。そういう言い方をしながら、チームを作っています」
チームとしての完成度はかなり高まってきているのではないか。長谷部監督は即座に首を横に振る。「守備が上手で、リーグで確固たる結果を出しているチームは、やっぱり隙がない。個人でも、グループでもそう。それがチームになって、11人で隙がない。それを考えたら、まだまだ隙はあるので」と話す。

一切の隙を見せないように――長谷部監督の妥協を許さないスタンスが垣間見えたのが、鹿島戦の終了間際だ。

3点リードで迎えた90+3分。右サイドから攻め込まれるシチュエーションで、ベンチ前の左サイドで自陣に戻っていく重廣卓也に声を張り上げる。

「シゲ! プラスアルファ! プラスアルファ!」

このシーンでは、相手のクロスをCBのドウグラス・グローリがはじき返し、そのこぼれ球を、ペナルティアーク付近で重廣がヘッドでクリアして事なきを得る。

「早く戻れ!」でもなければ「相手をフリーにするな!」でもない。長谷部監督が求めたのは“プラスアルファ”だ。

「選手には、そのポジションでの役割があります。それは選手も分かっているし、それをやろうとするんですけども、それだけではゲームの中で足りない時がある」

左サイドハーフで途中出場した重廣が、「どちらかと言えば、ボランチに近いスペース」でピンチの芽を摘む。件の声掛けについて、長谷部監督は「自分のスペース、プラスアルファで、もうひとつ領域を超えるというか。仕事はひとつやって、もうひとつできないかなと、そういうコーチングです」と説明してくれた。
“プラスアルファ”は「いつも言っている、普通のこと」だという。「自分のやるべき仕事、プラスアルファで、味方を助けたり、スペースを埋めたり、ボールを動かしたり。そういうのが必要だし、そういうスポーツだと思う」という考えだ。

自らが目指すサッカーは着実に浸透し、ピッチ上で表現され、成果も出ている。それでも長谷部監督は「もう少し高めないとまずい」「もっともっとできるんじゃないか」「上位という意味では難しい」と現状に満足はしていない。

今季のリーグ戦での目標は「50ポイント以上、順位は10位以上」。現在、28試合を終えた時点での成績は12勝6分10敗、勝点42で8位につけている。

残り10試合で、ノルマ達成だけでなく、貪欲に高みを目指す長谷部アビスパがどこまで上り詰められるか注目したい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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