iPhone 13 のデュアルeSIMに期待大、2スロット目に維持費0円の povo 2.0 もアリ?(石野純也)

iPhone 13 のデュアルeSIMに期待大、2スロット目に維持費0円の povo 2.0 もアリ?(石野純也)

  • Engadget
  • 更新日:2021/09/15
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アップルが15日未明に開催したスペシャルイベントで、iPhone 13シリーズやiPad mini、第9世代のiPad、Apple Watch Series 7が発表されました。筆者が注目したのは、やはりiPhone 13シリーズ。中でも、発表会では完全スルーだった「デュアルeSIM」は、同端末ならではのおもしろい機能だと感じました。

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▲iPhone 13シリーズが発表された。筆者が注目したのは、デュアルeSIMという機能

iPhoneとeSIMの歴史を振り返ると、アップルは18年に発売された「iPhone XS」からeSIMへの対応を開始しています。当時はeSIMと言っても、採用している端末は少なく、利用できるキャリアも限定的でした。日本では、大手3キャリアが未対応。18年には楽天モバイルもまだ新規参入を果たしておらず、フルMVNOとして積極的にeSIMを展開しているIIJですら未提供という状況でした。iPhone XS発売当時は、先行してeSIMを開始した海外キャリアやローミング専業キャリアのプロファイルを書き込んでいたことを覚えています。

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▲eSIMを初搭載したiPhone XS発表時には、この機能やDSDSが大々的に紹介された。写真は当時のスペシャルイベント

アップルは、以降のモデルにeSIMを採用し続けるのと同時に、Apple SIMを採用していたiPadシリーズにもeSIMを拡大していきました。eSIM対応端末とキャリアのeSIMサービスはまさに鶏と玉子の関係ですが、iPhoneという強力な端末が対応したこともあり、eSIMをサポートするキャリアは徐々に増えていきます。先に挙げたIIJは19年にβ版としてサービスを開始。楽天モバイルも、翌20年の無料サポータープログラム期間中に「Rakuten Mini」を発売するのと同時に、eSIMの展開をスタートさせました。大手3キャリアの対応は、その1年後という形になります。

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▲その後、eSIM対応は進んでいき、現時点ではMNO4キャリアの全ブランドでeSIMが利用できるようになった

eSIMは、自宅などで気軽に契約から乗り換えまでができるという特徴があり、一般的には参入から日が浅かったり、契約者数が少なかったりするキャリアにとって有利に働くと言われています。逆に、既存契約者の多いキャリアにはユーザーが流出するリスクが増すことになるため、対応は慎重になりがちです。日本のキャリアも、ほぼ契約者数順に対応していった状況で、一般論が見事に当てはまっていることが分かります。

新モデル投入ごとにeSIM対応モデルを増やしていったアップルですが、基本的には物理SIMとのDSDS(デュアルSIM/デュアルスタンバイ)の使い方が想定されており、2回線を同時に使用しようとすると、どちらか一方は物理SIMにする必要がありました。eSIM側には複数のプロファイルをインストールでき、切り替えながら使える仕様になっていますが、同時利用できるのは1つに限られていたというわけです。

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▲現行のiPhoneでも複数のeSIMプロファイルをインストールできるが、同時利用できるのは1回線まで。DSDSは、物理SIMとeSIMの組み合わせのみになる

これに対し、iPhone 13シリーズは仕様を見る限り、物理SIMとeSIM、もしくはeSIM同士のDSDSに対応するようです。メリットは、物理SIMを1枚も入れることなくDSDSが利用できる点。特に、総務省の後押しもあって一気にeSIM対応が進んだ日本において、活躍の機会が多くなりそうな機能と言えます。メインで使うキャリアのSIMカードをeSIM化してもDSDSが利用できるため、頻繁に入れ替えるような使い方をしていなければ、主回線、副回線ともにeSIM化してしまうといったこともできそうです。

例えば、メイン回線をドコモの「ギガホ プレミア」にしつつ、エリアの補完用としてサブにKDDIの「povo 2.0」をセットしておいてもいいでしょう。低料金でエリアもそれなりに求めるのであれば、楽天モバイルとpovo 2.0やLINEMOという組み合わせもありえそうです。現在はコロナ禍で海外渡航に大きな制限がかかっているため、あまり現実的な事例とは言えないかもしれませんが、副回線として海外ローミング専用キャリアのeSIMをセットして、ローミングで普段の電話番号にかかってきた電話を受けつつ、データ通信料を節約するといったことも可能です。

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▲維持費が0円で、副回線として便利そうなpovo 2.0

このような使い方の幅が広がるのが、デュアルeSIMのメリットと言えるかもしれません。これまで物理SIMが1枚とeSIMが1プロファイルという組み合わせに限定されていましたが、その制約がなくなるというわけです。上記の例のような使い方が可能になるため、低料金を打ち出しているサブブランドやオンライン専用プラン/ブランドは、iPhone 13シリーズの“2スロット目”を取りに行くといったシナリオも考えられます。

振り返ってみると、KDDIのpovo 2.0はそんな使い方にマッチしています。トッピングで必要なときだけデータ容量を追加することができるからです。タイミング的にも、iPhone 13シリーズやデュアルeSIMの登場を見越しての料金改定だったのかもしれません。MNO4キャリアの全ブランドとIIJがそろってeSIMのサービスを提供し、iPhone 13シリーズがデュアルeSIMに対応したことで、eSIMを取り巻く環境がさらにおもしろいものになりました。

カメラやディスプレイなど、ほかにも見どころは多々ありますが、デュアルeSIMこそが、他社に先駆けいち早く主要モデルのeSIM対応を進めたiPhoneならではの新機能と言えるかもしれません。今回は物理SIMスロットが残りましたが、もしかしたらアップルは、スロットレスなiPhoneを目指している可能性もあり、デュアルeSIMはその布石とも捉えることができます。スペシャルイベントでは完全にスルーされてしまったデュアルeSIMですが、日本の状況ともマッチしているだけに、どのように受け入られるのか注目しています。

5分でわかるiPhone 13シリーズまとめ。iPad mini(第6世代)やApple Watch Series 7も発表

石野純也 (Junya Ishino)

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