【サッカー】巨人・高梨ともコラボの「多摩川ク梨コ」に見たJ1川崎の真骨頂 面白さと地域社会性が共存するイベント開催

【サッカー】巨人・高梨ともコラボの「多摩川ク梨コ」に見たJ1川崎の真骨頂 面白さと地域社会性が共存するイベント開催

  • デイリースポーツ online
  • 更新日:2023/09/28
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15日のイベント「多摩川ク梨コ」で配布された巨人・高梨とのコラボステッカー

J1川崎が、またも“川崎らしさ”全開のイベントを展開した。15日にホーム等々力で行われたFC東京との「多摩川クラシコ」。その中で多摩川流域で栽培される多摩川梨を広めるための“多摩川ク梨コ”を開催。来場者を全力で楽しませる仕掛けが見られた。

一番の目玉はプロ野球の巨人・高梨雄平投手と異色コラボした「チキンオーバーライス」の販売。自身のYouTubeチャンネル「たかなしきっちん」で料理の腕を披露する高梨考案の逸品が食べられる企画だった。

仕掛け人はプロモーション部の天野春果部長。名前に“梨”があるから…というだけではない。「高梨投手は(社会人野球)ENEOS時代には川崎に住んでいた。そういうゆかりもあったので」と、しっかり地元に縁のある人選をしている。

天野氏が直接本人にオファーを出し「巨人にダメって言われるかなと思ったけど、まさかのOKでした」と球団側の了承も取り付けた。そして一般的な選手プロデュース企画とは内容も一線を画す。

「ビックリしました。僕が考案したレシピでやると言われたので。でも、面白いなと」と振り返る高梨。コラボメニューのレシピ考案から全権委任という、料理系YouTuberの顔を持つ高梨にしかできない企画だ。

そして、梨だからとスイーツには逃げずに「メシものにしたいと思った」と梨のピューレから作るソースを用いたチキンオーバーライスを着想。天野氏の企画力に高梨が発想力で応えた一品は、ファンからも好評を得た。

ただ、最も川崎らしさを感じたのは、イベント広場の一角で活動していた川崎市立川中島小学校の4年生による「長十郎梨広め隊」のブース。地元名産ながら今はほとんど作られていない品種「長十郎梨」について子どもたちがチラシを配り、歴史を語り、復活へのPR活動を行った。

同校では15年ほど前から校内で長十郎梨を栽培。ようやく数年前から実の収穫ができるようになった。4年生の担任教員・平山友理恵さんは「生徒が実際に食べて、おいしいし復活させたい、スーパーでも売ってほしいという取り組みをしています」と説明した。

そこにクラブがイベント内のブースでPRする機会を設けた。子どもたちの姿に、多くのサポーターが足を止めていた。平山さんも「自分たちが調べたことを伝えて知ってもらう経験に、子どもたちが価値を感じてくれる。こういうイベントは励みになる」と話す。

面白さで注目を集め、大切なものを周知させる。川崎のイベントの真骨頂だ。天野氏は「僕が大事にしてるのはやっぱり地域性と社会性。そこにどう面白さを加えるか。これをハーモニーとして全体をコーディネートするのがフロンターレ流です」と力を込めた。

今季は両チームともにリーグ中位に苦しむ中で「多摩川クラシコ」のチケットは完売。それはクラブが積み重ねた理念ある活動が、地域やファン・サポーターから高い支持を得ている一つの証だろう。(デイリースポーツ・中田康博)

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