【Cycle*2022 UCI世界選手権大会 女子エリート ロードレース:プレビュー】日本の與那嶺恵利も参戦!世界一の称号を巡る、速くて強い女性たちのサバイバル戦

【Cycle*2022 UCI世界選手権大会 女子エリート ロードレース:プレビュー】日本の與那嶺恵利も参戦!世界一の称号を巡る、速くて強い女性たちのサバイバル戦

  • J SPORTS|コラム(サイクル ロードレース)
  • 更新日:2022/09/23

今年ついに史上初めて、女性選手たちが年間3大ツールを戦った。来春には5大モニュメントの、4つ目の女性版が登場するかもしれない(ミラノ〜サンレモ)。女子自転車界は急速にレベルと知名度を上げている。すなわちアルカンシェルで1年間走ることの重要性は、格段に増した。世界一の称号を巡る、速くて強い女性たちの戦いは、ますます熾烈になっていく。

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女子のエリート&U23のチャンピオンを決める、全長164.3kmのレース。まず特筆すべきは、2022シーズン最長で、なにより世界選&五輪史上最長の戦いであること。

そんな体力の限界に挑むサバイバル戦は、オーストラリアのヘレンズバラから走り出す。まずは春の東海岸を眺めながら、平坦基調の道を南下。今大会の主舞台であるウロンゴンへと急ぐ。27.7km地点でフィニッシュラインを一旦通過した後は、2種類の周回コースが用意された。

まずは34.2kmの「マウント・ケイラ・ループ」を1周回。ロードマップ上では「赤」で描かれた大きな輪の上では、文字通りケイラ山を通過する。登坂距離8.7km、平均勾配5%、最大15%の本格的な上りで、序盤には1kmに渡って10%超の激勾配区間もあり。クライマーたちが一斉にペースを上げるだろうか。ただし山頂からフィニッシュまでは、いまだ124kmと遠い。

この山を下り終えた先で、いよいよ2種類目の周回「ウロンゴン・ループ」に取り掛かる。マップ上では「緑」の市街地周回は、個人タイムトライアルで使用されたものとほぼ同じ。つまり無数のカーブが繰り返される極めてテクニカルなコースへと、この日は最大150人程度の集団で飛び込んでいく。

しかもタイムトライアルスペシャリストたちを苦しめたのがアウスレー山(約900m、約5%)だけだったのだとしたら、ロードレースの全長17.1kmのサーキットには、もう1つの上り坂、プレザント山が待ち構える。

mount pleasant、日本語に訳せば、楽しい山……とでもなるのだろうか。たしかに、この全長1.1kmの短坂は、きっとパンチャーたちにとっては愉快な場所だ。平均勾配は7.7%、最大勾配は14%にまで跳ね上がる。なによりアウスレーの山頂から駆け下りたら、すぐにプレザントの上りに取り掛からねばならない。ダブル登坂セットを、女子選手たちは全部で6回繰り返す。

一方で周回の最終盤は、スプリンターの追い上げ可能な下りと直線のスピードコース。個人TT時に思わぬ逆転劇を演出した海辺のストレートラインが、ロードレースでも、思わぬ波乱を作り出すかもしれない。

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この難解な周回コースで主導権を争うのは、おそらくオランダとイタリアだ。過去10大会で優勝6回を誇るオレンジ軍団は、今年も世界最強のルーラー・クライマー=アネミエク・ファンフルーテン、若きパンチャー・クライマー=デミ・フォレリング、女王パンチャー・スプリンター=マリアンヌ・フォスと、あらゆる展開で勝てる切り札を揃えている。

オランダにとって唯一にして最大の不安は、年間3大ツール全制覇のファンフルーテンが、本番3日前のチームタイムトライアルで落車の犠牲となったこと。スタート直後に前輪タイヤが破裂し、地面に激しく転がり落ちた上に、右肘を骨折した。幸いにも手術の必要はなく、39歳の大ベテランは、翌日の公式トレーニングでは自転車に乗って難なく4周回の下見をこなしたそうだが……。

2019年大会で100km以上の脅威の独走で世界女王に上り詰めたファンフルーテンの、もしもの場合は、オランダ次期エースの呼び声高い25歳フォレリングが大役を引き受けるのかもしれない。もちろん五輪金2つ、シクロクロス世界選8勝、トラック世界選2勝……の35歳フォスが、史上2位タイとなる自信4度目のロード世界女王に君臨する可能性も大いにある。

一方のイタリアは、現役世界チャンピオンのエリーザ・バルサモ&ルーベ覇者エリーザ・ロンゴボルギーニがタッグを組む。前者の若きスプリンターはマドリードで集団フィニッシュをさらいとったばかり、後者のオールラウンダーは今ブエルタ総合2位と、いずれも仕上がりは上々。いずれもトレック・セガフレード所属で、息のあったチームワークも武器になる。

オランダやイタリアと並び、ベルギーも最大枠7人を送り込む。ただし複数の切り札を有する両国と違って……ワウトとレムコの間で揺れる男子とも違って……ベルギー女子代表はロッタ・コペッキーを唯一絶対のエースに掲げる。トラックでは世界チャンピオンに2度上り詰めた経験のある26歳は、この春、ファンフルーテンの攻撃に耐えられる脚を証明した。しかもストラーデ・ビアンケもツール・デ・フランドルも、その女王を一騎打ちスプリントで打ち破った。厳しい展開を切り抜けつつ、最後はスプリントに持ち込む。これぞコペッキーの黄金パターンだ。

また個人TTで銀メダルを勝ち取った地元グレース・ブラウン(オーストラリア)は、春先のワンデークラシック表彰台常連でもある。8月以降3勝3表彰台と好調のピークを活かして、、ロードレースでも大きな快挙を成し遂げたい。ハッピーなアイコン、セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク)にとっては山成分が足りないかもしれないが、兄はモビスター所属、夫はUAE所属……というエマセシル・ノルスゴー(デンマーク)のスプリント力を警戒視する声は高い。東京五輪で脅威の逃げ切り勝利を決めたアナ・キーゼンホファー(オーストリア)や、男女あわせてキューバ唯一のプロ選手で、自らの俊足だけで6枠+パンアメリカ選手権優勝本人枠=7枠をもぎ取ったアルレニス・シエラ(キューバ)も大いに注目される。

日本からは與那嶺恵利がオーストラリアへ上陸。8月上旬にピレネーが舞台のステージレースで総合2位に食い込み、続くブエルタは総合19位と好調さを持続。単騎参戦ながら上位に食い込む走りが期待される。

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世界選手権男子エリートロードレース展望|第6回 別府史之のetape par etape

文:宮本あさか

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