(セ・リーグ、阪神6-2巨人=七回裏終了降雨コールド、1回戦、阪神1勝、6日、甲子園)球場に響く雨音を「よっしゃー!」という雄たけびがかき消した。先発の西勇が降雨コールドにより、7回4安打2失点で完投。甲子園初戦となった伝統の一戦で今季初白星を手にし、お立ち台で笑顔がはじけた。
「週の頭で相手もすごくいい投手ばかりがくる。雨のゲームをものにできて、ゲームを作ることできてよかった」
降りしきる雨でマウンドがぬかるみ、足元が不安定な状態。投球の合間に何度も乾いた土がまかれ、整備が入るほどの悪条件だったが、打者との勝負に集中した。
三回までは完全投球。最初のピンチは四回だ。1死から重信に右前打。続く坂本に四球を与えて一、二塁とされたが、4番・岡本和を遊飛、亀井には外角低めのスライダーで見逃し三振! 危機を脱するとグラウンドで感情をむき出しにした。
6-0の五回に香月に2ランを浴びたが、その後は踏ん張った。「(投手)1人で(試合が)終わったのは相当でかいと思う」と振り返れば、矢野監督も「雨で集中しにくいところだったけど、(西)勇輝らしく丁寧に丁寧に投げてくれた。いろいろ引き出しがあるからこそ」と称賛した。
昨季8勝16敗など、チームが13年連続で勝ち越せていない巨人戦だが、西勇は違う。昨季は5試合に登板し、3勝1敗、防御率1・77。3年ぶりに巨人とのシーズン初戦を制し、エースは「負ける雰囲気もない。いい流れ」と、好調なチーム状態に声を弾ませた。
「丁寧に丁寧に1試合1試合を投げるだけ。とにかくチームのいい状態を保ちながら、自分たちが投げる試合で、ものにできたら」
頼もしすぎるGキラーが、首位の虎をさらに上昇気流に乗せていく。(織原祥平)

悪条件でも、さすがの投球。西勇が7回2失点完投で今季初勝利だ(撮影・宮沢宗士郎)