『大病院占拠』表裏一体の関係だった青鬼と三郎 鬼が集まるきっかけを作った和泉の秘密

『大病院占拠』表裏一体の関係だった青鬼と三郎 鬼が集まるきっかけを作った和泉の秘密

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  • 更新日:2023/03/19
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『大病院占拠』©︎日本テレビ

1時間で発症し致死率100%のハイドラウイルスを、自分自身と解放した長門(筒井真理子)に打った青鬼(菊池風磨)は、「百鬼夜行ちゃんねる」を通して視聴者にある投票を呼びかける。愛する人の命と1億2000万人の命、どちらを救う“正義”が正しいのか。その頃、指揮本部では青鬼と赤鬼(忍成修吾)、黒鬼(ベッキー)の素性が判明。そしてSIS隊員と合流した三郎(櫻井翔)は、地下のボイラー室で鬼たちの制圧=“鬼退治”に向けて動き出すのである。

参考:櫻井翔、菊池風磨ら、『大病院占拠』クランクアップ 「“生きてる”って感じがしました」

3月18日に放送された『大病院占拠』(日本テレビ系)は最終話。前回までの時点で、占拠された界星堂病院にまつわる“罪”が暴かれるとともに、鬼たちが集まったきっかけとなった“P2計画”の実態が判明。さらに警察内部や人質にいた鬼たちの仲間の存在も明らかになったとなれば、残されている大きな謎は、前回のエピソードで青鬼が語っていた、三郎が彼を鬼にしたという因縁。そして、和泉(ソニン)に関する3年前の事件が何かというところだ。

青鬼と赤鬼と黒鬼、そしてP2計画のせいであまりにも不幸なかたちで犠牲となり、挙句の果てに遺体が地下4階の研究施設に冷凍保存されていた山城琴音(上西星来)。幼少期に里親に預けられた4人が、きょうだいのような特別な関係を築いてきたことが示される回想。さらにSIS隊員に向かっていくさまと交差するように見せられる、鬼たちそれぞれが“愛する人”たちに宛てたビデオメッセージ。最終話の前半は、もっぱら鬼たちのドラマ性が前面に押し出されていく。

青鬼=大和耕一が病院占拠を企てたのは、里親であった“親父”のため。この“親父”こそ、第1話の冒頭で描かれたガソリンスタンドの立てこもり事件の犯人の男であり、その時の被害者はホテルオシマの元支配人。なんと琴音の一件について聞き出そうとしていたという。さらにその現場を動画に撮影していた(第1話で手元だけのカットが登場している)のが因幡(明日海りお)であり、また一方で、和泉の夫が3年前のプレミアム・パナケイア号で感染して亡くなり、和泉が長門にワクチン開発を進言していた。つまりドラマが始まった時点から、ほとんどの登場人物がひとつの線でつながっていたというわけだ。

もっともそうなると、鬼たちのなかで唯一P2計画と直接関係のないところで愛する人を失った緑鬼=周防(村上淳)が浮いてしまうわけだが、病院の隠蔽体質を暴くための役割であったのだろう。それならば1人だけ早々に素性が判明したことも頷ける。なんにせよ、鬼たちの計画の前提にあったのは“犠牲を出さないこと”。たしかに振り返ってみれば、24時間の一連のなかで命を落としたのはSAT隊員に撃たれた茶鬼(大水洋介)ただ一人であった。

それは愛する人を失い、命の尊さを知っている彼らなりの復讐のかたちであり、彼らなりの正義というわけだろう。一方で、青鬼を直接撃たなかったこと、ガソリンスタンドでの一件を反復させるように研究施設に火を放つ青鬼を助け出すこと、そして「誰も死なせない。お前は生きるんだ」の言葉。鬼たちの正義に自らの正義をもって対峙した三郎。それによって、正義と正義のぶつかり合いであったとしても三郎の正義が正しいことが証明されるのである。三郎が正義を貫いたのは現在進行形で守るべき愛する人がいるからに他ならない。そう考えると、愛する人のために自らの正義を貫く。相対する立場に置かれていたとはいえ、青鬼と三郎は、やはり表裏一体の関係であったといえるだろう。(久保田和馬)

久保田和馬

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