社説:五輪談合疑惑 利権の「闇」、全容解明を

  • 京都新聞
  • 更新日:2022/11/25

巨額の公費を投じたスポーツの祭典を舞台に、新たな疑惑が浮かび上がった。

大規模な贈収賄事件の捜査が一段落した東京五輪・パラリンピックを巡り、今度は大会関連業務の入札を巡る談合疑惑である。

東京地検特捜部が、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで公正取引委員会と連携して捜査を進めている。五輪の利権に巣くった「闇」の全容解明を求めたい。

疑惑が持たれているのは、大会本番前の2018~21年に行われたテスト大会の計画立案に関する業務委託の入札だ。本大会の競技場を実際に使って運営や警備などの課題を洗い出すため、18年に大会組織委員会が発注した。

技術や価格に基づく総合評価方式で、26件の入札に対し、広告大手の電通など9社と一つの共同事業体が落札。1件当たり約6千万~数百万円だった。

独禁法には、違反行為に関与した企業が公取委に自主申告した場合、課徴金の減免を受けたり、刑事告発の対象から外れたりする制度(リーニエンシー)がある。これを踏まえ、落札企業の一つで、五輪汚職で当時の経営トップらが贈賄罪で起訴された広告大手旧アサツーディ・ケイ(ADK)側が違反を公取委へ申し出たという。

テスト大会の契約自体は総額5億円余りだが、注目すべきは落札業者がそのまま本大会の競技場運営についても随意契約を締結していた点であろう。

契約総額は数百億円に上るとみられ、不適切な契約で事業費が膨らみ、五輪経費に跳ね返った可能性がある。厳しい視線が向けられて当然であろう。

組織委には広告会社などからの出向者も多く、テスト大会にも関わっていた。仮に業者間の受注調整などに関与していたなら、利益相反が疑われ、「官製談合」にもなりかねない。

捜査の展開次第では、五輪の在り方がさらに問われるのは必至と言えよう。

東京五輪は、一連の汚職事件に加え、大会招致を巡る疑惑や事業費の膨張、人権問題での不祥事など「負の側面」が目立った。困難な状況下でも最善を尽くしたアスリートたちが気の毒でならない。

異様な状況を生み、放置した組織委の機能不全が背景にあるのは明らかだ。なぜこれほど不透明な利権がはびこったのか、徹底的な検証が欠かせない。このままでは冬季五輪の札幌招致にも懸念や異論が相次ぐに違いない。

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