彼にあわせて「アウトドア好き」と嘘をつく女。キャンプ場で不機嫌な女に男がとった行動

彼にあわせて「アウトドア好き」と嘘をつく女。キャンプ場で不機嫌な女に男がとった行動

  • 東京カレンダー
  • 更新日:2021/10/20

ようやく付き合えた彼から、別れを切り出されてしまった女たち。

「私は別れたくないのに、どうして…?」

彼氏に夢中になる女のなかには、自らの行動で関係を壊してしまう“恋愛クラッシャー”が存在する。

では彼女たちの何が原因で、この恋はクラッシュしてしまったのだろうか?

▶前回:「喜んでほしかっただけなのに…」キレイ好きの女が彼氏のために頑張りすぎたコトとは?

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今回の悩める女子:千葉由香里(27歳・秘書)

― えー、ムリムリ!虫だらけ…。

彼氏の愛車であるランドクルーザーの助手席から降りた途端、無数の小さな虫が由香里の顔を目がけて飛んできて、いきなり気持ちがなえてしまった。

東京から約3時間。千葉県の南端にあるこのキャンプ場は見渡す限り、緑の草木と土しかない。

ここは“手ぶらでOK”のキャンプ場なのだが、折りたたまれた後部座席には彼こだわりのキャンプグッズがたくさん積み込まれている。

「由香里専用に持ってきた」という、座ると全身がすっぽりと包み込まれそうな大きな椅子。それと、クーラーボックスや見慣れないクッキング用品のセット、ブランケット、ランタン…。

それらを助手席からチラリと見た瞬間、いったいどんな山奥に連れていかれるのか、早くも嫌な予感がしていた。

「由香里とキャンプに行けるなんて、楽しみで張り切っちゃったよ!」

「あ、うん。ありがとう!すごく本格的な感じだね」

ふと自分の足元に視線を落とすと、街中でも履けるだろうと思って購入したお気に入りのUGGの厚底スニーカーが、すでに土で汚れている。

― まだ駐車場から受付まで歩いただけなのになあ。

私は、ウキウキと軽い足取りで進む彼氏の背中に向かって「早く帰りたい」と心の中でつぶやいた。

まったく楽しめないデートで、由香里がしてしまったこととは?

IT関連会社に勤める廉とは、付き合い始めて4ヶ月。

出会いは、勤め先のオフィスの近くにあるタイ料理店。あろうことか、テイクアウトしたランチボックスを私が取り違えてしまったのだ。

「すみません!それ、多分僕のやつです」

振り向くと、水色のシャツが似合うラガーマン風のがっちりした男性が小走りで近づいてくる。

「え、うそ!?ごめんなさい!」

「はい、これどうぞ」

さわやかな笑顔で彼が手渡したのは、タイ風焼きそばパッタイのセット。私がオーダーしたものと同じだった。

「あれ?これって私たち同じものを頼んでました?」

「本当だ!このお店のパッタイ、美味しいですよね。これなら交換しなくても大丈夫ですね」

妙な打ち解け方だったが、それからもランチタイムに時折顔を合わせる彼とは、好きな食べ物の話で盛り上がるようになった。

彼の行きつけだという西麻布のスペインバルに誘われると、オーダーする料理の好みがドンピシャ。それをきっかけに距離が近づくと、すぐに交際が始まったのだった。

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「由香里とは食べ物だけじゃなくて、ほかにも好きなものが似ていて嬉しいよ!」

廉に屈託のない顔でそう言われると、胸がチクリと痛む。彼の言う「ほかにも」は、アウトドアのことだからだ。

仕事の疲れが吹き飛ぶからと、休日は自然が多い場所で過ごすことが多いらしい。対する私は、アウトドアは好きではない。虫も土も、汚れるのも苦手。

だが、付き合う直前に「彼女とはアウトドアデートがしたい」という彼に合わせてとっさに嘘をついてしまったのだ。

― アウトドアデートって言っても、年に何回もするものじゃないでしょ。

そんな軽い気持ちだった。それに、初めてのアウトドアデートで連れて行ってもらったグランピングは、思っていたよりも楽しかった。

施設は新しく、ベッドも浴室もきれい。夜になると、キラキラ光る電飾が幻想的で、女子が好きな“映え”要素が盛りだくさんだ。さらには、食事やスイーツも充実しているときた。

― 最近のアウトドアってこんな感じなんだ。私でもイケるかも!まあ、普通のデートのほうがいいけど。

そう思って翌月のキャンプデートの誘いにも、軽い気持ちでOKした。しかし、そこには想像をはるかに超えた自然の風景が広がっていたのだった。

「着いたよ!先に受付をしてから、いろいろ準備しよう」

「う、うん…」

新しい靴を汚さないように、彼のうしろをソッと歩く。

「テントはもう設営してくれてるっていうから、僕たちはバーベキューの準備をしようか!」

「…そうだね」

スタッフからバーベキューコンロや食材を受け取ると、軍手をはめて運ぶ。肉と野菜がぎっしり入ったクーラーボックスは重く、指がちぎれそうだ。

それなのに、私の様子を気遣うでもなく先を歩く彼に、少しイラッとしてしまった。

― 思っていたのと違わない…?私、放置され気味だし。

食事の準備を終える頃には、顔や髪はすすけ昨日の夜にやってもらった上品なネイルも輝きがなくなっていた。作業に集中する彼と、テンションが下がった私との間に会話はほとんどない。

熱くなった体とにじむ汗。そこに集まってきた蚊に刺されまくると、ポロリと本音がこぼれた。

ついに由香里の我慢が爆発してしまう…

「私、もう…やだ」

私専用の大きな椅子を広げ、そこに座らせると彼はこう言った。

「どうしたの?ちょっと元気ないなって思ってたんだけど、体調悪い?」

「…ううん、そうじゃなくて…」

「もしかして、楽しくない?」

言葉に詰まると、彼がそう促した。

「ごめん…。私、アウトドアが好きっていうのは嘘なの」

私のひざに手を置いてしゃがむ彼。目を合わせると、落ち込んだ顔が飛び込んできた。

― でも、打ち明けるなら今しかないよね。

「本当は、ずっと前からアウトドアデートじゃないほうがいいって思ってた」

「それなら、何でもっと早く言ってくれなかったの?」

そのあとは「ごめん」と言って気まずい空気のまま、焦げた焼き肉を少しだけ食べた。

食事のあと、テントからコテージへと予約を変更してもらい、シャワーを浴びる。汗や肌のべたつきから解放されてすっきりすると、途端に一生懸命準備してくれた彼に申し訳ない気持ちが湧いてきた。

声をかけて、謝ろうと思った。けれど、彼の後ろ姿があまりにも落胆していて、つい黙ってしまったのだった。

翌日。予定よりも早くキャンプ場をあとにし、自宅まで送ってもらうと、すぐあとに彼からLINEが届いた。

『LINEで伝えることじゃないと思うんだけど、正直かなりショックだった。考えを整理したいから、少し時間をください』

『本当にごめんなさい。また連絡くれるの待ってます』

あれから2週間たつが、廉からの連絡はまだない。

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築地廉(29歳・IT関連勤務)が考えていたこと

ランチボックスの取り違いという、ひょんなことで出会った由香里とは食の好みがとにかく合う。

何度か食事に誘ってみると、まるで打ち合わせでもしたかのようにオーダーする料理が同じで盛り上がった。

そして、もうひとつ。僕のライフスタイルに欠かせないアウトドアが好きだというところも、すごく好印象だった。

― こんなに感覚の合う人を逃してはいけないよな。

そう思い僕から告白をして、由香里との付き合いがスタートしたのだ。

2人のはじめてのアウトドアデートは、グランピングだった。どこかはやりもの感があって、僕は行かないような施設だけど、手始めに彼女を誘ったらとても喜んでくれた。

だから、次は本格的なキャンプに彼女を誘ったのだった。

ところが、彼女はキャンプ場に着いてから元気がないように見えた。具合でも悪いのかと心配になった僕は、彼女を早く休ませてあげようと、いつもよりスピードを上げて食事の準備をしたのだが…。

「私、もう…やだ」

と、泣きそうな声が聞こえてきて、椅子に慌てて座らせたのだった。

そのあとのことは、控えめに言ってもむかついた。

アウトドアが好きじゃないなら、最初からそう言ってくれればよかった。もしかしたら、それでも由香里と付き合いたいと思ったかもしれないし、彼女が楽しめる別のデートプランを考えることだってできたかもしれない。

それに「本当は、ずっと前からアウトドアデートじゃないほうがいいって思ってた」という言葉は、グサリと刺さった。

― 無理に楽しいフリをしていたのか…。

張り切って、あれこれとキャンプグッズを準備したり、自家製のタレに漬け込んだ自慢のタンドリーチキンを用意したりした自分がバカみたいだ。

せっかくの焼き肉も、彼女はほんの少しかじっただけ。

この調子なら、きっとテントでは休まらないだろうからとコテージの予約を取り直したのに、シャワーを浴びたあとの彼女は黙ったままだ。いくらアウトドアが苦手だとしても、不機嫌そうに見える態度はないだろう。

こうしてムカムカした気持ちのまま一夜を過ごした翌日、予定より早く彼女を家に送り届けた。このときには、もうすっかり彼女に悪い印象を抱いてしまっていた。

これからの付き合いについて考えたいといったLINEを送り、2週間ほど沈黙している。

嘘をつかれたことも嫌だったけれど、そのあと何のフォローもないことに人の気持ちを考えられない子なのだなと、心底がっかりしてしまったのだ。

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