エンジンブレーキは使う?使わない?【ライドナレッジ059】(@ピックアップ)

エンジンブレーキは使う?使わない?【ライドナレッジ059】(@ピックアップ)

  • RIDE HI
  • 更新日:2022/06/30
No image

昔流儀=高回転・勢いよく空吹かしシフトダウン・強いエンブレ効果 新しい流儀=低回転まで待ってからシフトダウン・エンブレ効果少ない

No image

MotoGPでは後輪を浮かさず姿勢を安定させながらの調整の連続だ

エンジンブレーキとは、エンジンが高回転時にスロットルを全閉にすると、燃料と空気がアイドリング時の最低限までしか供給されないため、低い回転域まで戻ろうとする際に生じる抵抗を制動効果として利用すること。つまりエンジンブレーキというレバーやペダルは存在しない。キャリアのあるライダーからすれば何をいまさらかも知れないが、エンジンブレーキという用語そのものが使われなくなっているのもお忘れなく。
このスロットルを戻すと速度が下がる効果が、フロントブレーキをかけると生じる前のめり(ノーズダイブ)が怖いキャリアの浅いライダーには、安心できる減速方法としてコーナー手前の減速区間では強い味方となっている。
ただエンジン回転が高くないと制動効果が期待できないため、4速で走っていれば3速や2速までシフトダウンする必要がある。このとき急激にクラッチを繋ぐと、回転差で後輪がスリップしたりするので、ギヤチェンジのためクラッチを切った瞬間にスロットルを少し捻り、エンジン回転を上げて回転差を少なくする「空吹かし(ブリッピングともいう)」のテクニックが要るので、ビギナーにはそこまでのレースのようなエンジンブレーキは苦手とされているのが一般的だろう。

エンジンブレーキは邪魔、コーナーに入ってからの効果的なトラクションを優先する

No image

趣味のスポーツライディングに昔流儀や新しい流儀もないかも知れないが、最新バイクは新しい乗り方を前提に開発されているのは事実

No image

高回転域だとフロントブレーキをかけたままの空吹かしで大きくスロットルを捻る必要がある

No image

低い回転域までシフトダウンを待てば、小さなスロットル開度でスムーズな操作が可能になる

ところが最新のレースシーンでは、このエンジンブレーキ効果を嫌う乗り方が主流だ。シフトダウン直後に減速中の前のめり姿勢で後輪が浮き気味なため、路面状況がきっかけで後輪が跳ねまわるという、手に負えない状態に陥る可能性があるからだ。
この後輪が跳ねるのを防ぐため、エンジンブレーキの強い制動効果をクラッチが滑って弱める仕組みが開発され、市販車でもスーパースポーツではほぼ装備されるようになった。
それでも高回転域と回転が下がってからではエンジンブレーキ効果が変わるため、レースではそもそも高回転域でシフトダウンしないケースが増えてきている。
そこにはコーナーへ入ってからの旋回で、後輪をグリップさせるスロットルを開けてのトラクションを、スリップしにくく路面を掴みやすい爆発間隔の長い低回転域を使いたい事情も絡んでいる。
ストレートで全力加速に徹する状態を除いて、ビッグマシンでのレースは高回転域をあまり使わないということだ。
そうなると、コーナー手前の空吹かしの甲高いサウンドが刻まれる「ウォン、ウォン、ウォン」といった昔からのファンには憧れのシーンも減ってしまった。

新しいリスクも小さくスムーズな走りがお奨め

No image
No image
No image

操作する回転域で、各ギヤの回転差はこれほど大きいのも認識しておきたい

さて皆さんが走るワインディングでは、レースのような限界まで攻める走りは論外としても、昔ながらの甲高いシフトダウンのサウンドを響かせながらコーナーへ進入していくことに良い悪いがないのはいうまでもない。
街中ではなく人里離れた山の中で、せめてエンジンサウンドも楽しみたいと思う気持ちは当然あるだろう。
ただレースと同じで、コーナーへ進入してからの旋回が、高い回転域にあるのは安定しないだけでなくリスクもあるので避けたほうが良い。そうなるとブレーキを主体にエンジンブレーキを期待しない乗り方へと変わっていく。
趣味なのでどう楽しむかは皆さん次第という基本は変わらないが、新しいバイクなら新しい乗り方に技術を注ぎ込んでいるので、その仕組みの素晴らしさを利用しないのはもったいないと思うばかりだ。

- - -

Words:根本 健

Photos:DUCATI,藤原 らんか

RIDE HI編集部 / 根本 健

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加