「国の名前で戦う時代ではない」 記者が聞いたジーコさんの言葉

「国の名前で戦う時代ではない」 記者が聞いたジーコさんの言葉

  • 北日本新聞
  • 更新日:2022/11/25
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報道陣の質問に答えるジーコさん=5月10日、オリバースポーツフィールド射水

カタールで熱戦が続くサッカーワールドカップ(W杯)。日本は1次リーグ初戦で、優勝4度の強豪ドイツを2-1で破り、世界を驚かせた。勝利の瞬間に思い出されたのは、元日本代表監督のジーコさんが射水市を訪れた際に語った言葉。「もはや国の名前でサッカーをする時代ではないのだ」

ジーコさんは「サッカーの神様」とも称される、元ブラジル代表の名選手。現役時代の活躍は言うに及ばず、県民にとっては元日本代表FW柳沢敦さん(射水市出身)との師弟関係も有名だ。そんなジーコさんが10月に射水市でサッカー教室をスタートさせた。

5月、ジーコさんが練習会場を視察に訪れると聞き、足を運んだ。囲み取材で報道陣から教室開催の経緯や目的、柳沢さんへの思いなどへの質問が飛び交う中、聞いてみた。

「カタールW杯で日本はドイツやスペインと同じ組に入りました。日本は1次リーグを突破できると思いますか。突破するためには何が必要と思いますか」

取材の本題に直接関係のない質問をするのはルール違反であることは分かっていたが、ジーコさんと直接話をする機会などそうあるものではない。「教室とは関係ない話で恐縮ですが…」と前置きして、一か八か聞いてみた。

ジーコさんは即座に力強く答えてくれた。「もはや国の名前でサッカーをする時代ではないのだ。前回のロシア大会で韓国がドイツを破った試合を思い出してほしい。強豪国が必ず勝つとは限らない。大切なのは気合を入れて練習し、しっかりとした準備をして試合に臨むことだ」

短いやりとりだったが、強く印象に残った。「ドイツに勝てる」という確信までは持てなかったが、「いい勝負ができるのでは」という希望を抱くことができた。そして半年後の11月23日、ジーコさんの言葉の正しさを証明するかのように、日本代表はドイツを真っ向勝負の末、ものの見事に2-1で破った。

思えば、日本が初出場を果たした1998年のフランス大会。日本代表への活躍への期待とともに盛んに言われたのは、「アジア予選でたびたび日本の前に立ちふさがってきた韓国ですら、まだ1勝もできていない大会」ということだ。実際、同大会での日本は3戦全敗。世界の壁の高さを痛感するとともに、「日本がW杯で勝利を手にする日は本当に来るのだろうか」と絶望にも似た思いを抱いたのを覚えている。ましてやドイツなどの強豪国に勝てるとは当時は思いもよらなかった。

「国の名前でサッカーをする時代ではない」。今後も日本が世界の強豪をなぎ倒す試合があるかもしれない。ひょっとすればジーコさんの母国ブラジルを倒して、ワールドカップを手にする日も…? それが今大会であれば言うことはないのだが。

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