眞子さまと小室圭さんの結婚問題が今後の議論の行方にも影響? 女性宮家創設の是非

眞子さまと小室圭さんの結婚問題が今後の議論の行方にも影響? 女性宮家創設の是非

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  • 更新日:2021/04/07
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笑顔がまぶしい眞子さま(c)朝日新聞社

安定的な皇位継承策などを検討する政府の有識者会議が先日、ようやくスタートした。女性・女系天皇や女性宮家創設の是非などについて議論する。小泉政権時代から断続的に検討されてきた課題だが、着地点に影響を与えそうなのは、眞子さまの結婚問題だ。象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科准教授(歴史学)の河西秀哉さんに論点を聞いた。

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――政府の有識者会議が3月に設けられました。女性宮家の創設等は、2017年に天皇退位の特例法を制定した際、付帯決議に記された課題です。法施行後速やかに検討することを政府に求めていました。

河西さん(以下敬称略):公には、代替わりの一連の行事が終わるのを待って設置したということになっていますが、政府の本音としては「仕方なく」ではないでしょうか。付帯決議に記された以上、何もしなければと不作為と言われかねません。

安倍晋三前首相は、この問題を触りたくないのは明らかでした。皇位継承は男系男子に限定すべきだという保守の支持層を刺激することになりますから。また、悠仁さまがいますので、当面の間は後継ぎの心配はないので、先延ばしにできたのです。

対して菅義偉首相は、この問題に特に思い入れはないように見えます。

――主な論点の一つ、皇位継承についてご意見をうかがいます。これまでどおり、父方に天皇の血を引く男系男子による継承は限界にきているように思えます。現時点での皇位継承者は秋篠宮さま、秋篠宮家の長男の悠仁さま、上皇陛下の弟の常陸宮さまの3人です。しかし、仮に男系男子に限らないとすれば、女性天皇ならばいいのか、女系天皇も認めるのか。そこでも意見は分かれます。

河西:いまの制度では将来、悠仁さまと結婚される方は「男子を産まなければいけない」という相当なプレッシャーにさらされることになります。それで男子が産まれるとは限りませんし、そもそも必ず子どもを授かるとも限りません。男系男子に限るというのは、安定的な皇位継承のあり方とはいえないのではないでしょうか。

いわゆる「帝王学」は父親から教育される側面があるので、ひとまず女性天皇は認めるという意見もあるでしょう。父方に天皇の血筋を引くならば女性でも天皇になれるという案です。仮に現在の皇室に当てはめれば、愛子さまが将来天皇になる可能性があります。

しかし、女性天皇から産まれた子どもは女系になります。女系を認めないとなれば、愛子さまが天皇となっても、その子どもは皇位継承者になりません。しかし、それでは結局、悠仁さまのお子さんしか将来的に天皇になれないことになります。皇位継承の安定化にはつながらないわけです。

私個人の意見としては、女性天皇も女系天皇も容認する時期にきていると思っています。男女問わず、先に生まれた子どもが引き継ぐほうが、事態は複雑になりません。

――英国王室のパターンですね。エリザベス女王は二人姉妹の長女です。

河西:英国はもともと女帝(女王)が認められていましたが、21世紀には入るまで後継ぎの決め方は男子優先でした。王女が後を継ぐのは王子がいないとき。それが現在は、性別を問わず長子を優先すると王位継承ルールが改正されています。やはり、継承は「生まれた順番」というのが時代の流れだと思います。

――とはいえ、保守層の反発は必至でしょう。伝統を守るという視点から、ルールを途中で変えることへの疑問もあります。

河西:皇位継承を男性男子に限ると定めたのは明治時代の旧皇室典範です。江戸時代以前には、歴史上、女性天皇が何人か存在し、飛鳥時代の推古天皇が、初の女性天皇とされています。また、一般に中大兄皇子として知られる天智天皇は、父親も母親も天皇でした。つまり、男系でもあり、女性でもある「双系」です。

このように、歴史を紐解くと、必ずしも男系男子に限定されていたわけではないのがわかります。

もう一つ、近代の天皇制と現在の天皇制は、憲法によってその性格が変わった点も議論のポイントになるのではないでしょうか。日本国憲法第一章、第一条には「天皇は、日本国の象徴」と定められています。つまり、現在の日本という国のかたちを示す存在なのです。今の社会のあるべき姿を示すのならば、現代において女性天皇や女系天皇も容認されてしかるべきだと思います。

――皇族数の減少も課題です。公務の負担を軽減するために、女性宮家の創設や、一般人となってからも「皇女」の呼称を贈って公務を継続してもらう案、旧宮家の皇籍復帰などが検討される予定です。

河西:旧宮家の皇籍復帰はなかなか厳しいと思います。すでに一般の国民として生活している人が、明日から急に皇族に、そして皇位継承者になれるでしょうか。皇族として育てられ、常に皇族として国民の視線にさらされ、その役割を果たすべく努めてきた方と、一般社会で生活してきた人とはやはり意識や立ち振る舞いが違います。

復帰の可否についての線引きも難しいですね。旧宮家の中で手を上げた人を皇族とするのでしょうか。手を上げない人も出てくるかと思います。そうなると、手を上げさせてその「地位を利用しよう」という人が今後出てくる可能性も否定できません。もし、皇籍復帰してから、皇族にふさわしいと思えない言動が明らかになれば、皇室は傷つくことになるでしょう。

――女性皇族が結婚後も公務を続けられるようになる女性宮家の創設や、「皇女」の称号を贈る案(公務を委嘱する案)については、何も問題はありませんか。野田政権時代の2012年には、女性宮家創設と公務を委嘱する案を併記するかたちで「論点整理」が公表されました。いずれの案も対象を「内親王」に限定しています。

河西:私は、女性天皇・女系天皇を認めると同時に、女性宮家の創設が問題の解決策として適していると思いますが、現実的には皇室典範の改正が不要な委嘱案が落としどころになるのかもしれません。

ただ、女性宮家を創設せず公務を委嘱する案も難しい課題がついてまわります。この案では、結局、皇位継承の安定化にはつながりません。皇族は減っていく一方です。また、女性皇族は結婚を機に皇籍を離れて一般の国民となるわけですから、結婚後は職業選択の自由がある。「この仕事に就きなさい」と強制をするようなことが、国の制度として許されるのでしょうか。

また、仮に眞子さまの場合を考えてみましょう。お相手の小室圭さんはニューヨーク州の弁護士資格取得を目指しているので、もし、このままお2人が結婚すれば海外で生活する可能性もある。海外で暮らしながら、公務を遂行するのは難しい。皇族が担ってきた公務を委嘱し、結婚後も続けてもらうには、国内で生活しなければならないのです。となると、居住の自由も奪うことになります。

このように実は、どの案にもそれなりのハードルがあるのです。

――内親王の眞子さまをそれぞれの案にあてはめて考える国民は多いと思います。眞子さまの結婚問題が国民の関心事になっていることも、今後の議論に影響しますか。

河西:眞子さまがこのまま小室圭さんと結婚することに対して、それなりの数の国民が心配している状況を鑑みれば、有識者会議の議論にも影響を与えるでしょう。言葉に出すことはないかもしれませんが、頭の中にはこの問題があると思います。

野田政権下で、女性宮家の創設が検討されたとき、国民は「女性宮家を創る」とことに対して具体的なイメージができていなかったと思います。当時、眞子さまは20歳。もちろん小室さんの存在について国民は知りませんでした。

それが、眞子さまの結婚問題で、女性皇族の夫となる人について、一つの具体像を与えることになりました。そして、お2人の結婚に反対している国民は、女性宮家の是非を考えるときに「皇室の一員として認めたくはない人が女性皇族の相手だったら……」と想像するようになってしまったのです。

――天皇退位について議論された有識者会議(天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議)とは異なり、差し迫った状況にはなく、課題解決のゴールもさまざまなパターンがあります。菅政権下で、どこまで進むのでしょうか。

菅政権ではまとめきるのは相当に難しいでしょう。選挙を間近に控えているけれども、そもそも短期間で答えを出せる問題ではないうえに、政権は支持率が低迷し、コロナ禍で課題が山積している状態です。有識者会議も、うまくいけば女性天皇・女系天皇、女性宮家の問題に何らかの道筋を付けられるかもしれませんが、着地点を見いだすところまではいかず、現在の論点を整理して国民に示すというのが現実的な役割になると思います。

とはいえ、早く手を打っておかないといけない問題です。皇室の将来を考えれば危機的な状況であることには変わりはないのですから。

(まとめ/AERAdot.編集部 鎌田倫子)

鎌田倫子

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