新VAIO Zのパフォーマンスにかける情熱バトル(開発者インタビュー)

新VAIO Zのパフォーマンスにかける情熱バトル(開発者インタビュー)

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  • 更新日:2021/06/11
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新しいVAIO Zの目玉は4面カーボンボディだけではない。ゲーミングノート向けのCore i7-11375Hプロセッサーを「薄軽モバイル機」に搭載したこともVAIOの技術力の高さを示した。ただ、VAIOの説明は「これまでVAIO TruePerformance(VTP)などで培ってきた技術を基にしており、想定の範囲内だった」と控えめだ。実際はどうだったのか。開発に携わった3人にお話を伺った。

冷却ファンの数は6基、10基の可能性もあった?

――まずは、これまでの皆さんのVAIOへの関わりからお伺いします。

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▲PC事業本部エンジニアリング統括部デバイスエンジニアリンググループ プロジェクトリーダー課 プロジェクトリーダーの古川 恵一氏

古川 恵一氏(以下古川) 「私自身はもともと液晶ディスプレイ関係の設計を担当してきました。LEDバックライトを初搭載した『type T(TXシリーズ)』など、さまざまな製品に関わりましたが、『type S(SZシリーズ)』から本格的に設計に携わり、2015年の『VAIO Z』では液晶ディスプレイをイチから開発しました。今回のZについては、PL(プロジェクトリーダー)課の課長からある日突然呼ばれて『VAIO Zをやってみないか』と持ち掛けられ、2つ返事で『やらせてください』と答えたのが、エンジニアリンググループのPLを始めたきっかけです」

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写真右が同グループ システム設計課 エレクトリカル プロジェクトリーダーの板倉 功周氏。左が同グループ システム設計課 チーフサーマルエンジニアの久富 寛氏

板倉 功周氏(以下板倉) 「私は、2011年のZシリーズから本格的に携わっています。当時Power Media Dockとの接続インターフェースを担当していました。2013年の『VAIO Duo 13』では電源を担当しており、ソニーからVAIO株式会社になって以降も、Sシリーズの電源や充電制御を担当しています。新しいVAIO Zでは電気設計のPLを担当しました」

久富 寛氏(以下久富) 「VAIOシリーズには2007年11月より携わり、2008年発売のモデルから熱設計を担当してきました。『type C』シリーズや『type A(AW)、Fシリーズ(FW)、Sシリーズ(Sシリーズ15、Sシリーズ13)』シリーズなどです。VAIO株式会社になってからも、熱設計1本でやってきています」

――新しいVAIO Zをスタートさせた当初は、どういうスペックで行こうと考えていたのでしょう。

板倉 「すべてのプロジェクトが始まる前に、私と古川で話をしました。2019年5月ごろです。SシリーズでVTPをやり、(Tiger Lakeの中でもTDPが12~28Wと高い)UP3の採用を検討していたので、それをベースにしてぶっ飛ばそうと考えていました。

合わせて冷却方法の検討も始め、私と久富で『いままでにない効率的な冷却システムを後方排気で組めるのではないか』『ファンを4基にしたらもっと効率的に冷やせるのでは?』といった話をしていました。ただ、ファンを4基にすると電力も面積も必要になるため、結局は2基で落ち着きましたが。これが同年の夏ごろの話になります」

――想像していた以上に早いタイミングでスタートを切られたのですね。

古川 「プロジェクトとしては始まっていないけれど、検討だけは始まっていた段階ですね。現行製品の次のジェネレーションとして、世代交代=新しい風を入れようというところから始まっています。その中の1つとして、VAIO Zを足がかりに後継モデルを創っていこうとしたのが最初の構想ですね」

――CPUをどうするかという検討はいろいろしていたようですが、ファンを4基積むというところまで検討していたのは面白いですね。素人考えでは、大きいファンを1つのほうが静音性も上がって効率が良さそうだと思ってしまいますが。

久富 「デスクトップPCのような軸流ファンでは、1つのファンを大きくしたほうが静かになります。しかし、ノートPCに積んでいる遠心ファンの場合は、そうではないんです。社内でも『大きいファンのほうがいいのでは』という話が出るのですが、新しいVAIO ZではTDPが35Wに増えました。Sシリーズは15Wなので、ざっくり2倍の風が必要です。2倍の風を外に出そうとすると、シンプルにファンを2つ積むほうが効率がいいんです。軸流ファンであれば、面積が2倍のファンを積むだけで済みますが、大きな遠心ファン1つで済ませようとすると、排気口のサイズがだいたい2倍、ファンのサイズでは4倍となり、光学ディスクドライブと同じぐらいのサイズになってしまいます。

1つのファンで2倍の回転速度にするという解決策もあるのですが、そうすると騒音値が20~30dBAは上がってしまいます。一方、ファンを2つに増やす場合は+3dBA程度で済みます。ファンを1.4倍の面積にして、回転数を1.4倍にするといったバランスを取ることもできますが、それでも7dBA程度は増えてしまいます。

ノートPCは中身が詰まっているため、空気抵抗も大きくなります。そこで遠心ファンを使うのですが、大きいファンを使うよりは、小さいファンをたくさん並べたほうが効率はいいんですね。新しいプロジェクトがスタートすると私はいつも、『6個積んだら』『10個積んだら』という提案をするのですが、結局は今回も常識的な2個に落ち着きました」

――もしファンを4基にしたら、現行サイズよりも小さいものにできたのですか?

久富 「そうですね。排気口のサイズが少し大きくなるかもしれませんが、面積的にはそうなりますね」

ターボブーストで許容されている電力なら壊れないんじゃない? がVTPの出発点

――VAIO株式会社になって、SシリーズにVTPという技術が採用されました。もともとは過去のVAIO Z向けに開発した技術を発展させたという話を聞いた記憶があります。

板倉 「社内的には、誰が言ったんだ!? という話もあるのですが(笑)。Skylakeのころだったと思います。ターボブーストで動作しても、いまほどの電力上昇はなく、数%程度の倍率でした。それならTDPを上昇させなくても、ターボブースト区間で許容されている電力であれば部品は壊れないだろうと考え、先代のVAIO Zで取り入れました。

当時の私は電源を担当していて、熱設計の担当とどちらが先にギブアップするかという『チキンレース』をしていたのですが(笑)、最終的にどちらもギブアップせずに完成しました。そこで培った思想や私自身の経験をKaby Lakeを搭載するSシリーズでも応用しました。CPUのTDPは15Wでしたが、20W以上で動かしたらどうかという形で、着手したのがVTPになります」

久富 「板倉が言うように昔から35Wの熱設計はやっています。先代のVAIO ZでもTDP 28WのCPUをTDP 35Wにアップしていますし、もっと遡れば、標準電圧版と呼ばれるCPUを積んでいたこともありました。ただ、今だから言いますが、標準電圧版でも実は35W出すことはないのです。というのもTDPとはCPUが100℃のときの負荷を指すためです。設計上は100℃ギリギリの温度で使うことはなかなかなく、70~80℃で使うことになります。70~80℃に冷却するとリーク電流が減るため負荷を掛けてもCPUの実力は29W前後ぐらいしか出ていなかったというわけです。VAIOの設計条件として標準電圧版で本当に35Wまで出たのはSandyBridgeからで、低電圧版でも35Wまで出たのはHaswell Uプロセッサーからですね。

先代のVAIO ZはCPUのTDPが28Wで上限35W。実際35Wで動作するのですが、それはグラフィックスとCPUを同時にぶつけた場合の話です。CPUだけではやはり35Wには届きませんし、94℃程度で使っていても35Wまで行くことはめったになく、だいたい33~34Wでした。

板倉が言ったように35Wを超えたのはKaby Lake Rの4コアになってからですね。PL2(短期的な最大消費電力)が44Wになって、通常使用時でも35W以上が出るケースもあって、その超えた分が、どれだけ高く長く続くかでパフォーマンスが決まってくるようになったのが、Kaby Lake世代で導入した最初のVTPなのです。

PL2で40W、50Wを出す状態をできるだけ高く長く踏ん張らせるために、CPUのそばにあるヒートパイプをどれぐらい太くすればいいかを検討してきました。新しいVAIO ZではTDPが35Wに上がり、PL2も64Wになりました。64Wの状態を維持するために、VTPのノウハウを活かしたというのが熱設計的な視点でのチャレンジになります」

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VTPの基本的な考え方。ターボブーストで最大パフォーマンスを発揮する時間をできるだけ長くし、持続可能パフォーマンスも通常より高く推移できるようにしている

内部構造のスペース争いが勃発

――後方排気のほか底面に穴を開けたり、冷却でさまざまな検討されたそうですが、そのとき努力されたところはありますか?

久富 「試作に入ってからの大きな試行錯誤は底面の穴ぐらいですね。ただ、シミュレーションはかなり回しました。試作に入る前に数百回実施しています。排気の方向を変えたり、空気の流れがどうなのかをみたり、ファンの上の寸法が0.1ミリ単位で狭めたらどうなるか、ファンを大きくしたらどうか……などです。シミュレーションを一晩まわして、最適な値を出し、その結果をもとに筐体内の空間をどう確保するか、メカ設計の担当者とバトルしました。

――スペースの奪い合いってことですね。

久富 「そうですね。ファンはあと0.5mm分厚いものを置きたいとずっと言っていたんですが(笑)」

――コンマ何mm単位の争いなんですね!

久富 「0.5mmはかなり大きいですよ。ファンの厚さはいま6mmなので。0.5mm違うと10%も変わりますから」

板倉 「新しいVAIO Zでは、キーボードのストロークを深くしました。でも本体の厚さは変えずにむしろ薄くします……と。つまり、その分のしわ寄せが筐体の内部にくるわけですね。結果、コンマ何mmの争いが始まります。ただ、ボトム部分がカーボンファイバーになったことで、樹脂に比べてコンマ数ミリ薄くなったことが救いにはなっています」

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キーボードも全面改良され、ストロークが深くなった

――キーボードのストロークを深くしたいと聞いたときはショックでしたか?

板倉 「ショックということはないですよ。ストロークを深くしたいという声は聞いていて、その判断自体は正しいので。ただ、筐体厚を上げず、物理的に深くなるものを、内部構造を犠牲にしてやるのはどういうこととなるじゃないですか。もやもやはしました(笑)」

久富 「私は半分メカ設計のところにいて、最初の設計を出すまでは自分でCADも描いているのです。そのとき、メカに干渉するように描いていて提出していました(笑)。お前が避けろと。流石にそこまで干渉できないから、削っていったのですが(笑)」

板倉 「結局このサイズでやるんですよね、ということになりますよね(笑)」

――吸排気に関しては、結局後方吸気でサイドから排気で決着が付いたんですね。

久富 「試作はしていなかったのですが、想定より良かったと思っています」

板倉 「ファンの性能が予定より良かったので助かりましたね」

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空気の流れをシミュレーション。底面からも吸気した場合は、CPUの冷却的には適しているが、後方からあまり空気が入らない結果に

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後方からのみ吸気にすると、後方から効率よく吸気され筐体内の空間にも広がっていることがわかる

――ファンを制作した日本電産には、どのようにお願いしたんですか?

久富 「これぐらいのパフォーマンスがほしいと注文しました。正直、要求を満たすことはできないと思っていたのですが、期待以上のものができたという感じです(笑)」

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日本電産が制作したVAIO Zに搭載されているファン

――排熱口の形状が独特だと思ったのですが、形状によって排気性能や騒音面で差が出たりはするんですか?

久富 「いや、それはないですね。排気性能で変わるのは、開口率がいちばんですね。ただ、形状によっては渦ができてしまいインピーダンスが高くなって、ファンも多めに回ってしまうので、悪影響が出ないように確認はしています」

H35搭載決定も余裕だったエンジニアリングチーム

――当初搭載予定のCPUから急遽H35シリーズになったと思うのですが、それで苦労したということはありますか?

板倉 「正直あまりないですね(笑)。もともとUP3でぶっ飛ばそうと考えていたので、TDP自体は28Wであっても、ターボブーストの区間は64Wという数値が出ていたのです。いかにターボブースト中の電力を長持ちせるかを考えていました。そのため、UP3であろうとなかろうと、その区間を長くすればパフォーマンスを出せると久富と話をしていたのです。H35になってTDPが35Wになっても、その思想が崩れるわけではありません。取り組みの延長線上にあったので、苦労はしませんでした」

――もともと目指すところが高かったから余裕だったと。

古川 「そうですね。もともと35Wで設計していて、UP3を使って28Wだけど35Wまで使いますという話をインテルにはしていました。その話をしていく中で、実はH35というものがあると最後に出てきたんです。評価してみると、ピタッとハマったのがH35でした」

――以前、インテルからH35があると聞いたときに、インテル側はモバイルPCには無理だとVAIO側に伝えたと伺っていたんですが。

古川 「もともとHシリーズはゲーミングや大きめの筐体に大きめのサーマルユニットを積む前提で作られたCPUという位置づけでした。VAIOのようなモバイルPCに搭載するなんて想定もしていなかったと思います。『それでもご所望ですか?』と言われたので『ご所望します!』と答えたということです。

インテルとの打ち合わせの中で、VAIOの思想は定期的に、熱意をもって伝えていましたので、それがなければ、逆にこういう話も出てこなかったのかもしれません」

――カーボン素材になったことで金属とは違う熱対策が必要になる部分はありましたか?

久富 「一番大きいのは重量ですね。PL2をできるだけ長く高くするには、サーマルユニットの重量がどうしても重くなってしまいますし、実際重くなっています。カーボンボディになったおかげで、その重さを吸収してくれました」

――アルミのような金属筐体のほうが、ボディそのものから熱が発散して冷却しやすいのではと考えてしまうのですが、そんなこともないのですか?

久富 「筐体は人が触るため、結局、部品の熱をダイレクトに筐体に逃がすことができないんです。ただ、設計時は筐体からだいたい10Wぶんの熱が出ることを期待しています。素材でみた場合アルミとカーボンファイバーでそれほど違いが出るとは思っていません。熱伝導率の特性からすると、カーボンファイバーは樹脂よりは金属に近い特性で、横方向の熱伝導率が高い点がメリットなのです。アルミ筐体とは違いますが、ホットスポットができにくく、金属筐体とほぼ同じ特性で設計しています」

――ホットスポットの話が出ましたが、設計する上で触る部分に熱が伝わらないようにするポリシーはありますか?

古川 「もちろん、『何℃以上にはならないこと』という社内規定があるので、それをクリアする必要があります。もうひとつは、お客様が使っていて不快にならないことです。たとえばパームレストの部分が熱いと、タイピング時に手汗をかいてしまうので、そこをヒートスポットにはしないといった配慮はありますね」

――冷却効果を高めるために、バックプレートを挟み込んだという話もありましたが。

久富 「バックプレートを使うこと自体は、そんなに特殊なことではありません。昔のパソコンはみんなバックプレートを使っていました。ただ、薄くするためにバックプレートを使わなくなっていったのです。しかし、TDP35WでPL2=64W実現するためには、熱抵抗を減らす必要があり、できるだけガッチリCPUに受熱版を当てるために復活させたんです。通常より大きな力で当てるためには、バックプレートが不可欠でした」

――ヒートパイプの形状や素材はモデルによって違いますが、何か理由があるのですか?

久富 「フィンがアルミか銅かという微妙な違いはあるのですが、シミュレーション的にはそこまでの差は出ません。ただ、リアルでやると、35Wでずっと流すときは、それほど差は出ないのですが、電力をダイナミックに上げた際にフィンの部分で熱を持っていってくれるため、PL2区間で違いがでてきます。そのためPL2を活かしたいときは銅を使い、それほどでもないときはアルミを使っています。

あと、重量的な差を考慮してアルミと銅とを使い分けているという意味合いもあります。Core i5モデルは重量を軽くすることのプライオリティが高いので、アルミを使用します」

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上がVAIO Zのハイパフォーマンスモデル向けヒートパイプ、下がアルミ素材を使ったヒートパイプ

――5Gモジュールも搭載可能になり、そこへもヒートシンクが必要となりました。

板倉 「検討を初めた段階では、まだ5Gモジュールが世の中にはありませんでした。その後VAIO Zに初搭載させようとなったとき、『5Gは熱い』と脅かされました。この熱によって性能が下がってはいけないということで、5Gモジュール用にもヒートパイプを搭載する判断をしました。とはいっても、全モデルで5Gモジュールを搭載するわけではないので、ヒートパイプを取外しできる仕組みを取り入れ、できるだけ軽くできるようにしました」

久富 「5Gモジュールを搭載でき、CPUもいいものが載っているのに、せっかくの性能をフルに出せないのは寂しいじゃないですか。VAIO Zを買った方は、数年間は使い続けると思いますし、誰よりも早く5Gモジュールを搭載したマシンを買ったのに全然速度が出なかったら、すごく悲しくなくなると思います。そこでフルに性能を出せる設計を目指しました」

――内部構造のなかで一番軽量化が大変だった部分はどこでしょう?

板倉 「常日頃考えていることなので、逆に『どこかがよくわからない』というのが正直なところです。基板の小型化もやりますし、バッテリーまわりの線材の太さ、たとえば、ここは信号線だから細くするなど、微々たるものですけどチリツモです。そういったところは、これまでもやってきたことなので、すぐに思い浮かばないですね」

古川 「もはやライフワークです(笑)」

VAIO Zに携わるというモチベーションとは

――みなさん、VAIO Zを造ることをモチベーションにして、これまで取り組んできたと言われていますが。

古川 「私自身はZに携わってきたので、VAIO株式会社になってからは、早くVAIO Zをやりたいと思っていました。まさかPLになるとは思っていませんでしたが、お客様からの希望の声も聞いておりましたので、なんらかの形でVAIO Zというものを造りたいなというモチベーションは大きく持っていました」

久富 「私はむしろZだからどうのこうのではなく、むしろほかのSシリーズでもギリギリまで攻めていると思っています。社内で35Wの製品を始めるぞと言ったときに、過去に35Wの製品があったから、このくらいのヒートパイプで、同じぐらいのファンを付ければいいかな、といったところからスタートします。でも『今回は64Wまであって、それを10~15分ぐらいまで引っ張りたいから、これぐらいのヒートパイプが必要なんだ!』ということを入れ込めたのは大きかったですね。これは、Zじゃないとなかなか実現できなかったでしょうし、大きなギャンブルでもありました」

板倉 「いま、久富が饒舌に語っていますが、内部ではそういった熱い思いをなかなか語ってくれなくて(笑)。熱い思いを語ってくれないからメカ屋さんと喧嘩するという(笑)、折り合いがつかないことがよくあります。特に今回については、久富と裏で先行して密にやり取りしていた部分があったので、やっぱりヒートパイプの構成は、ぼくが中心になって話をして、古川にインプットして、マネージャー陣にも今回こういうものが必要なんですというところを回せたのがよかったと思っています。

VAIO Zに関わりたいかということですが、これまでもZやDuoなどの配線やバッテリーなどをやらせていただいてきて、そういったところからすると正直あまり関わり合いたくないんですね(笑)。Sシリーズを含め、パフォーマンスを出すために何が必要なのか、ということはこれまでの経験から分かっているのでやりきれる自信はもちろんありました。しかし、やるべきことが分かっているからこそ,大変な部分も理解しているので、今後やりたいかと聞かれたら、まずはしんどいので嫌ですと答えます。(笑)」

古川 「昨今の業界の状況もありますが、なかなか大量に開発費を投資できる機種というのが、少なくなってきています。そんな中で、今回のZに関しては、結構お金をかけさせていただいたと思っています。ネクストジェネレーションとして、今回造った技術やノウハウを後継機種に持っていくための先行投資だと思っています。今回のキーボードだったり3Dカーボンだったり、そういったノウハウをためていかないと、なかなか進化しづらいですよね。だからヒートパイプもしかり、挑戦させてくれた機種だと思っています」

――今回は、若い人材を積極的に採用してZを造っていると伺ったのですが、それも挑戦の1つだと。

古川 「そうだと思います。電気PL、メカPL、ソフトPL、全員新人ですね」

板倉 「これまでも、担当としてやっていた部分ではあるのですが、リーダーとしては初めての経験でした」

古川 「もちろん、いままで経験のある方々にやっていただいたほうが、キレイにまとまると思います。でも、後輩にやらせていかないと、育たないという想いがあったんだと思っています」

板倉 「あとベテランだけだと、ある意味尖ったものが造れるのかという懸念もあります。やはり新しい視点というか、上司を恐れずに物を申すみたいなところがあったのではと思っています。たとえば、PCIe Gen4はCPUのバスにつながっていて、従来のPCHを介するのとは違っていたため、Gen4対応にすることは意志でありチャレンジであり、私のような若い開発者たちだったからこそ、挑戦できたと思っています」

――今回のVAIO Zに対する思いは?

古川 「現時点で、最高のコンピューティング体験を実現できる機種だと自負しています。長く使っていただくことを前提で、Webで情報を見ていただき、店頭などで手にとっていただいて、性能を考慮いただければご納得いただけると確信しています。自信作です」

板倉 「M1チップ搭載のMacが登場して、その性能に驚かされる部分もありますが、Windowsモバイルマシンとしては、最高峰だと思っています。次のボーナスでぜひご検討ください」

■関連サイト

VAIO

VAIO Z 製品情報

(提供:VAIO)

飯島範久 編集●ASCII.jp編集部

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