8年前の27歳女性死亡事件、検事が遺族への説明で初めて使った『正当防衛』 「なぜ最初に言わなかった」憤る母親

8年前の27歳女性死亡事件、検事が遺族への説明で初めて使った『正当防衛』 「なぜ最初に言わなかった」憤る母親

  • 神戸新聞NEXT
  • 更新日:2023/01/26

2015年12月に兵庫県芦屋市で当時27歳の女性が死亡し、傷害容疑(傷害致死容疑に切り替え)で逮捕された元交際相手の男性が不起訴処分とされた事件で、神戸地検尼崎支部は25日、女性の母親(71)からの再捜査要請に応じないと明らかにした。

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有友尚子さん(遺族提供)

同支部は「遺族の意向を確認していないので理由は明らかにできない」としている。

■「娘に報告もできない」

死亡した有友尚子さんの母・裕子さんは25日、代理人弁護士とともに検事から説明を受けたといい、申し入れが認められなかったことに悔しさをにじませた。取材に語った主な内容は以下の通り。

「納得がいかない。被害者は死亡してしまえば何も言えない。『疑わしきは罰せず』というけれど、この国の司法は被害者の味方じゃないのでしょうか」

「検事は(交際相手が)娘を殴ったことや、その際に娘が外傷性くも膜下出血を発症して死亡したことについて今回、『因果関係や医師の診断書に違和感はない』とし、その上で(交際相手の)『正当防衛』という言葉を初めて使った」

「例えば、娘が殴りかかったのを(交際相手が)振り払いがてらに小突いた、という可能性がなかったとは言い切れない。つまり、正当防衛だった可能性があるから再捜査はできないという説明だった」

「これまで検察は、娘の死因を『事件前から脳動脈りゅうがなかったとは言い切れない』と主張してきた。だから私は、診断書やCT画像を手に医師を回り、(交際相手が)殴ったことで外傷性くも膜下出血を発症した可能性があるという意見書を民事訴訟で提出した。その意見書が大阪高裁で認められたからこそ今回、再捜査を申し入れた」

「もし正当防衛になるというなら、なぜ(交際相手を)最初に不起訴にした時に言わなかったのか。再捜査要請を退けるために考えてきたようにしか思えないし、一体何がどうなっているのか分からない」

「これでは娘に報告もできない。娘の無念を晴らすためにも、これからも戦い続けたい」

【事件の経緯】

事件は15年12月28日午前1時前に起きた。尚子さんは、元交際相手の男性とタクシーで口論となり、JR芦屋駅北側で下車。同駅交番前で顔面付近を殴打されて倒れ、心肺停止の状態で搬送された。16年1月10日に亡くなり、死因は外傷性くも膜下出血などとされた。

男性は逮捕されたが、神戸地検尼崎支部は16年4月11日付で不起訴とした。母親の裕子さんは検察官から、1回殴られただけで倒れた点などを挙げて「事件前から尚子さんに脳動脈瘤(りゅう)がなかったとは言い切れない」と説明されたといい、検察審査会へも申し立てたが、同会は不起訴相当と議決した。

裕子さんらは18年10月、男性に損害賠償を求めて提訴した。一審の神戸地裁尼崎支部は殴打と死亡の因果関係を認めなかったが、控訴審では、殴打で首が急激に回転し動脈に亀裂が生じることで、外傷性くも膜下出血に至った可能性を述べた医師の意見書を裕子さん側が提出。大阪高裁は意見書などを基に、「死亡は殴打行為を原因と認めるのが相当」として賠償を命じ、判決が確定した。

検察への再捜査は、この民事訴訟の判決などを踏まえて昨年7月に申し入れていた。

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