緊急事態「首都圏限定」5日で破綻 「福岡では先手」前日決断

緊急事態「首都圏限定」5日で破綻 「福岡では先手」前日決断

  • 西日本新聞
  • 更新日:2021/01/14
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緊急事態宣言の対象地域が、首都圏から計11都府県に拡大。経済への打撃を最小限にとどめようと、地域や業種を絞り「限定的、集中的」な宣言とする菅義偉首相の戦略は13日、早くも頓挫した。今回、知事からの発出要請がない福岡県を宣言対象に加えることで「政府主導」の新型コロナ対策をアピールしたが、感染拡大に歯止めをかけられなければ政権は窮地に立たされる。

東京など1都3県の宣言が発効して、わずか5日。一般的に悪手とされる戦力の逐次投入を想起させるような、なし崩し的な対象地域拡大となった。

当初、政府は近畿3府県のみを追加する方針だった。前日の12日になって福岡県を駆け込みで加えたのは、首相の強い意向が働いたからとされる。政府関係者は、その心の内をこう解説する。うまくしてやられた東京都と同じ轍(てつ)を踏みたくなかった-。

東京都の感染者が年末年始に急増したのは、専門家が求めた飲食店の午後8時までの営業時間短縮を、小池百合子知事がためらったのが一因との指摘がある。小池氏は1月2日になって、隣接3県知事を誘い政府に宣言発出を要請。世論はこの構図を「知事は積極的なのに、首相が宣言に消極的」というふうに受け取り、逆風が強まった。だから、今回は「福岡で先手を打つことで、『知事の要請を後追いしている』との批判を避ける狙いがあった」(政府関係者)のだという。

4都県への宣言発出を受けた7日の記者会見で、対象地域の拡大を「そうした状況にない」と否定していた首相。前言を翻す結果となった13日夜の会見は、「先週の段階では、(大阪府などについて)専門家も『よく原因を分析すべきである』との評価だった」と釈明した。

だが「後手」「朝令暮改」といった批判は収まらない。首相はこの日、中国や韓国などとの間で例外的に認めているビジネス関係者の往来の一時停止も公表したが、これも野党側だけでなく、自民党内からも押し込まれた末に決めたものだった。

首相が対策を「小出し」にしてきていることで、国民が「今回は昨年の宣言ほど真剣に要請を守らなくてよい」と考え、行動変容に結び付いていないとの声もある。

首相周辺によると、1週間で2度目となる異例の会見にはこうした誤解を解く狙いもあったが、自民関係者は「小手先の対応を続けていては、収まるものも収まらない」。政権の行方を危ぶんだ。 (東京支社取材班)

西日本新聞

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