“自滅”する清水、泥沼6連敗 ポゼッションへの過剰な意識がサッカーを窮屈にしている

“自滅”する清水、泥沼6連敗 ポゼッションへの過剰な意識がサッカーを窮屈にしている

  • Football ZONE web
  • 更新日:2020/09/15
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悔しそうな表情を浮かべる清水MF中村慶太【写真:Getty Images】

【J番記者コラム】鹿島に1-2で敗戦、自陣でのボールロストから守備が崩壊

清水エスパルスがホームに鹿島アントラーズを迎えた12日のJ1リーグ第16節、先制点は鹿島のMFファン・アラーノ、MFレオ・シルバとつながれFWエヴェラウドに決められたものだった。奇しくもこの日の一戦は「ブラジルデー」で、清水に在籍した全ブラジル人選手の顔を配置した「ブラジルTシャツ」を来場者全員にプレゼントするなど、様々なブラジルにちなんだイベントを開催したが、活躍したのは鹿島のブラジル人選手という皮肉な結果となってしまった。

清水はこの試合に1-2で敗れたことで、多くの報道で「泥沼の6連敗」と表現されている。今季のリーグ開幕から5連敗を喫し、その後に5試合負けなし(2勝3分)で立ち直ったかと思われたが、その後に再び勝利から見放されてしまっている。

この6連敗中の失点数は「20」。そのすべての試合で複数失点をしているが、そのうち5分以内に連続失点している試合が4試合もある。失点後に息を吹き返す前に再び失点をして、逆に息の根を止められてしまう試合が続いている。勝利から遠のいているために失点することで疑心暗鬼となり、気持ちの切り替えができていない。今回の鹿島戦でも、前半29分に自陣でボールロストしてエヴェラウドにゴールを許し、その3分後にも自陣のスローインからのボールを奪われ、FW土居聖真に追加点を決められた。

ただ、試合の立ち上がりは小気味良いパス回しを見せ、今シーズン初先発となったMF河井陽介のスルーパスなどでチャンスも作れていた。しかし、前半24分の「飲水タイム」を挟んでからは状況が一変。それまで前線から厳しいプレスを仕掛けていなかった鹿島が、清水のサイドバック裏を狙ってボールを入れ、相手のボールホルダーへの圧力を強めていった。このプレッシャーから清水は立て続けにピンチを迎え、連続失点を喫した。

この2失点は、清水が自陣でボールをつなごうとしたところを狙われている。「ビルドアップ」「ポゼッション」を意識し過ぎるあまりに、今は窮屈なサッカーになってしまっているのではないだろうか。まさに「自滅」という印象であり、選手たちに求められるのは危機管理意識と判断力だと感じる。

今シーズンの清水のサッカーは「超攻撃的サッカー」と表現されることが多いが、シュート数はここまでの16試合で162本、被シュート数は207本。シュート数でも内容でも相手を圧倒した試合は少ない。90分間のすべてでボールを握り、攻撃をし続けることが理想だが、現実的には不可能であり、選手たちが日々口にしている「良い守備から良い攻撃」を実践しなければ勝利には近づけない。

鈴木の初アシストとティーラシンの15試合ぶりゴールが一筋の光明

ただ、そのなかでも後半34分、6試合ぶりに先発した18歳のMF鈴木唯人のパスから、怪我のために調整も含めて3試合ベンチ外となっていたFWティーラシン・デーンダーが、FC東京との開幕戦以来15試合ぶりにゴールを決めた。

「周りに刺激を与えられるようなプレーをしようと意識していた」と鈴木は試合後に語ったが、これまではその持ち味であるボールキープからドリブル突破を仕掛けて、強引ともとられるシュートを放っていた。鹿島戦でもその持ち味を発揮していたが、このシーンでは選択肢がいくつかあったなかで、ボックス内のティーラシンへノールックパスを冷静に入れて初アシストを決めた。鈴木本人にとっても大きなアシストとなったが、「若い自分たちがもっと鼓舞すること」というコメントは、チームにとっても大きな刺激になるだろう。

また、ティーラシンもここまで13試合446分の出場で6本目となるシュートで2ゴール目を決めたが、本来は3トップの真ん中を担う役割で今シーズンに獲得した選手。ここまで長きにわたり、その役割を果たしてきたFW鄭大世がこの夏にアルビレックス新潟へ期限付き移籍したため、現在はFWカルリーニョス・ジュニオがそれをこなしているが、鹿島戦で決して簡単ではないシュートを決めたことでティーラシンの調子が戻れば、攻撃のバリエーションはさらに増えてくるはず。この得点が、良いキッカケになることを期待したい。

クラブワーストの連敗は7試合。1996年の記録だが、当時は「延長Vゴール方式」だったため90分での連敗と考えると、現在の6連敗がクラブワースト記録となる。次節の横浜F・マリノス戦はまさに正念場となるが、今回の連敗スタートとなった相手(第11節/3-4)から勝利することで、厚く重苦しい雲が晴れ、高く険しい山頂がおぼろげにも見えてくるのではないかと思っている。

最後にJリーグ新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインの改定に伴い、手拍子が解禁されて初のホームゲーム開催となったが、「たかが手拍子」と侮るなかれ、スタジアムの雰囲気は大きく変わった。清水の調子が上がらないのは、あの熱いサポーターの応援がないことが原因かどうかは分からないが、1日も早くコロナ禍以前のスタジアムに戻ることを願っている。(Sの極み・下舘浩久 / Hirohisa Shimodate)

下舘浩久

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