650億赤字でニコンが一眼レフ国内生産終了。老舗企業はなぜ躓いたのか

650億赤字でニコンが一眼レフ国内生産終了。老舗企業はなぜ躓いたのか

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  • 更新日:2021/04/07
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スマホのカメラが高性能になり、カメラ好きにはミラーレス一眼が支持されるようになって、一眼レフカメラの売れ行きは下がる一方です。そんな中、キャノンとともにカメラの世界をリードしてきた老舗のニコンが、一眼レフ本体の国内生産を切り上げると発表しました。今回のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』では、著者でジャーナリストの内田誠さんが朝日新聞に掲載された「ニコン」と「一眼レフ」に関する記事を紹介。一眼レフへの自信とこだわりにより、時流に乗り遅れた老舗の悲哀を伝えています。

ニコンが一眼レフ本体の国内生産切り上げ。新聞はニコンと一眼レフをどう報じてきたか

きょうは《朝日》からです。ニコンが一眼レフ本体の国内生産を切り上げるとの報道がありました。試しに「ニコン」と「一眼レフ」で検索すると、サイト内の5年間の記事の中から45件が見つかりました。これらを対象にします(そのうち8件については、見出しも抄録も出てくるのですが、記事そのものは「既に公開期限が過ぎている」というようなことで見ることができなかった。差し引き37件が対象に)。まずは6面記事の見出しと【セブンNEWS】第5項目の再掲から。

ニコン一眼レフ 国内生産終了へ 市場縮小で苦戦 本体をタイ工場へ 専門家「ミラーレス台頭 出遅れた」

デジタルカメラ大手のニコンは、一眼レフカメラ本体の国内での生産を年内で終了する。スマホのカメラの性能向上やコンパクトなミラーレス機の需要拡大などで近年苦戦を強いられてきた。現在宮城に残っていたプロ向け機種の生産をタイの工場に移管。

デジカメ市場全体の落ち込みは激しく、2012年に1兆4681億円だった国内外への出荷実績が、20年には4201億円と3分の1以下に縮小。コロナ禍の影響もあって、ニコンの売上高は前期比23.9%減(20年3月期)。営業損益は650億円の赤字になったという。

ニコンに固有の問題は、ミラーレスカメラへの対応が遅れたこと。キャノンとニコンは世界の二大巨頭だったのが、ソニーがミラーレスで台頭。2020年のデジカメ国内シェアで、1位キャノン(36.8%)に続くのはソニー(19.5%)で、ニコンは2社の後塵を拝してやっと3位(12.6%)に。

●uttiiの眼

一眼レフ本体の生産をタイに移管するのは、コストを削減するためだという。労賃が安いということなのだろうが、一眼レフが新しい技術開発の対象ではなくなったことの証左であり、やがて縮小を経て消滅していく可能性が高いように思う。それとも、何か大方の好奇心を刺激して、それこそワクワクさせてくれるようなカメラを、一眼レフの世界で新たに作りだしてくれるのだろうか。

【サーチ&リサーチ】

*この45件の中には、一眼レフへの拘りから次第に苦しくなっていくカメラ業界、とりわけニコンが悪戦苦闘する悲喜劇が詰まっているように感じられる。

2016年8月4日付
熊本地震の影響で「部品調達先の被災でデジタルカメラの生産が滞り、2017年3月期の営業利益で70億円のマイナス影響が出るとの見通しを示した」とされている。

*このときはまだ「利益率の高い一眼レフの生産を優先している」と言えた。

*ミラーレスカメラが本格的に売れ始めるのは2017年頃のようだ。「女性に人気」、「小さくても本格撮影」と。対抗するかのようにニコンが登場させるのは「1秒間に8コマ連写できる一眼レフ」のような高機能のものや、医療用の高精細のカメラで、そうしたものに注力する「構造改革」に向かう。牛田社長曰く「デジカメは高精細の「8K」に対応した製品の開発を進め、スマホと差別化する戦略」と。さらに…。

2017年10月10日付
スマホに押されて売れなくなったため。「中国・江蘇省にあるコンパクトデジタルカメラの工場を閉鎖すると発表」。

*ミラーレスカメラの進化が加速。パナソニックはピントが世界最速0.04秒というミラーレスカメラを発売。

2017年11月30日付
一眼レフのプロ向け市場にソニーが参戦。ニューヨークで発表会が開かれ、「α9」は部品を極力電子化してシャッター音も振動もない、秒間20コマ連写可能なカメラ。「ゲームチェンジャー」と言われる。

*キャノンはフィルムカメラの販売を終了(18年5月)。

2018年7月26日付
ニコンはようやく高級ミラーレスを投入。しかし、「昨年11月に中国工場でのミラーレスの生産を終了し、しばらくミラーレスを生産していないが、戦略を転換する。上級者向けの高級機種を年内にも発売する見通しだ。ニコンは主力の一眼レフカメラの売れ行きに悪影響が出ないように、ミラーレスではより小さめのセンサーを搭載した機種を投入。一眼レフとのすみ分けを狙ってきたが、今年2月、大型の「フルサイズ」センサーを搭載したミラーレスを今年度中に投入する意向を示していた」

*上記記事は、ニコンの逡巡ぶりがよく出ている。高級ミラーレス市場にはまもなくキヤノン、パナ、そしてソニーも参入。

●uttiiの眼

私もニコンの一眼レフとスマホのカメラを主に使いながら、次第に一眼レフを使う機会が減っていくのを実感していました。私のスマホカメラはまだそれほど高性能でも高精細でもないですが、それでも、大半の用途には足りてしまう。プロ用は別として、一眼レフの時代は終わってしまったのかもしれませんね。それにしても、ニコンが心配です。

image by:Por Pratya/ Shutterstock.com

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内田誠『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』

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