「夜に駆ける」再生4億回、給料アップ YOASOBI「ぶっちゃけて言うと...」

「夜に駆ける」再生4億回、給料アップ YOASOBI「ぶっちゃけて言うと...」

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  • 更新日:2021/04/10
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YOASOBIと林真理子さん(中央)  [撮影/写真部・高野楓菜、衣装協力/HATRA、Christian Wijnants、スタイリング/藤本大輔(tas)]

デビュー曲「夜に駆ける」が、ストリーミング再生回数4 億回を突破した音楽ユニット「YOASOBI」。コンポーザーのAyaseさんとボーカルのikuraさんの2人の出会い、音楽制作の舞台裏、そして気になる収入まで、作家の林真理子さんとの対談で語りました。

>>【対談1:YOASOBI「ここまでヒットするとは…」社会現象化に戸惑いも】より続く

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林:Ayaseさんは以前バンドをやってたんですね。どのぐらいやってたんですか。

Ayase:16歳から始めて、解散したのが去年の春なので、10年近くやってましたね。僕、今年27歳なんで。

林:10年前は、作曲はギターでやってたんですか。

Ayase:ギターを持ってつくることもありましたけど、自分の頭の中で何となく思ったメロディーをそのままスタジオに持っていって、バンドのメンバーと共有してつくることが多かったです。非常にアナログ的なつくり方でした。

林:それが変わったのが何年ぐらい前ですか。

Ayase:パソコンで楽曲をちゃんとつくり始めたのは、YOASOBIを始めるのとほぼ変わらないタイミングなので、2年前ぐらいです。だから楽曲制作歴としては長くないです。

林:ボカロっていうので曲をつくるんでしょう? ボカロって高価なものなんですか。

Ayase:ぜんぜんそんなことないです。ボーカロイド(パソコンに歌詞とメロディーを入力し、キャラクターに歌を歌わせて曲をつくる音声合成システム)のソフト自体はほんとに安くて……。

林:ああ、ボーカロイドを略して「ボカロ」っていうんですか。「ボカロ」って可愛い名前だなと思って、何を指すのかわからないながらに覚えてたんですけど(笑)。

Ayase:ソフトとしては1万円ぐらいの安価なものです。高校生でもちょっとバイトすれば買えるぐらいの値段なんですけど、それを動かすために、中古のパソコンを9万円ぐらいで買いました。作曲のソフトとボーカロイドのソフトを一つずつ買って全部で12万、13万ぐらいでしたから、2、3カ月バイトすれば買える額でしたね。

林:へえ~。いま、ほかにもそういうことをやってる人、いっぱいいるんですか。

Ayase:いっぱいいますね。今、自分の音楽を世に提案することのハードルが、低くなったと思います。今までは音楽というと、しっかりお金をかけてレコーディングして、事務所に属して、いろんな人に力を貸してもらってCDをつくり、それを流通に流すというやり方で、それでやっと自分の音楽を聴いてもらえるというパターンでした。ですが今はパソコンで自分で楽曲をつくって、ボーカロイドに歌ってもらえば、ボーカルをレコーディングする必要もないし、それをSNSとか、ユーチューブとかの動画投稿サイトにアップすれば、誰かが見てくれるという時代ですね。

林:ふーん、なるほどねえ。

Ayase:ネットを通じて広がるという意味では、このご時世も拍車をかけてると思うんです。現に僕らの音楽も、自粛の中で多くの人に聴いていただけるようになったので。

林:お二人が出てきたのは、天からの暗示のような気がする。いろんなものが大きく変わるんだというときにあらわれたような気がしてしょうがないです。お二人は昔から親しいのかと思ったら、Ayaseさんが「夜に駆ける」のためにユーチューブを見てボーカルを探しているときに、偶然ikuraさんを見つけたんですって?

Ayase:はい。彼女がSNSにアップしていた動画を見て、「この人いいんじゃないか」と思って声をかけたんです。それがまだほんの1年半ぐらい前の話で。

ikura:私はまだデビューもしてなくて、ギター一本で弾き語りをしてました。渋谷だったり新宿だったり、いろんなところで。

林:ikuraさんの声は一度聴いたら忘れられないような透明感がありますよね。Ayaseさんから声をかけられたときはどうでした?

ikura:「小説を音楽にするって何をするんだろう」と最初は思いました。私はシンガー・ソングライターとして自分で曲をつくってライブをしていたので、ほかの人が曲をつくって、自分はボーカリストとしてだけ参加することに少し葛藤があったんですけど、Ayaseさんの曲をユーチューブとかで聴いたときに、「素晴らしい方だな。これは一緒にやるべきだ」と思ったので、「やります!」って返事をしました。

林:ikuraさんはご自分の楽曲もつくってるわけですよね。それはYOASOBIと並行して発表しようと思ってるんですか。

ikura:はい。最近も曲を出させてもらって、並行して頑張ってます。Ayaseさんはボーカロイドプロデューサーとして、私はシンガー・ソングライターとしての顔を持ちつつYOASOBIをやっているので、どちらの活動もぜひ楽しみにしていただきたいと思います。

林:このあいだ、オンラインライブをやったら、これもまた記録的な数字になったみたいですね。

Ayase:初のライブとして4万人以上の方が見に来てくれました。今まで僕らが出してきたものは基本的に無料で手に取れるものが多かったんです。ユーチューブに公開するのもそうですし、配信されている音源を聴くのも、月額制で登録すればどんな音楽でも聴けるので、YOASOBIに対してお金を払うという経験がなかったんです。オンライン配信は、有料でチケットを販売してどれだけの人がライブを見に来てくれるのかという不安と興味がありましたが、一ついい結果が出せたなと思っています。

林:お金の話をして恐縮ですけど、再生回数が天文学的な数字になると、お二人の収入も相当なものに……。

Ayase:そこはそれほどでもないんです。でも、給料ははるかにアップしました(笑)。ただ、めちゃくちゃぶっちゃけて言うと、「意外とこんなもんなんだ」と思いました。

林:だって再生回数が4億でしょう。これがCDで4億枚だったら、スタジオ付きの豪邸を……。

Ayase:という話になってきますよね。配信の音楽の世界だと、いろんな要素が絡んでいて、もっと複雑なんです。僕もいまだに完璧には理解できてないぐらいです。

林:Ayaseさんがわからないなら、私なんか絶対わからない世界ですよ。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

YOASOBI/コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraによる2人組の音楽ユニット。小説・イラスト投稿サイト「monogatary.com」に投稿された小説を音楽にするプロジェクトから2019年に誕生。星野舞夜の小説「タナトスの誘惑」を原作としたデビューシングル「夜に駆ける」がストリーミング再生回数4億回を突破、Billboard Japan 総合ソングチャート“HOT100”2020年年間チャート1位をはじめ、配信チャートを席巻。最新CD「怪物/優しい彗星」が好評発売中。

※週刊朝日  2021年4月16日号より抜粋

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