「もうだめです...」途切れた無線、カズワン船長は最後に言った

「もうだめです...」途切れた無線、カズワン船長は最後に言った

  • 朝日新聞デジタル
  • 更新日:2022/09/24
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"波しぶきを上げるオホーツク海。奥はウトロ漁港=2022年4月28日午後4時45分、北海道斜里町、関田航撮影"

あの日聞いた、船からの最後の無線。事故から5カ月たった今も、男性の耳から離れない。

「船を出したらダメだ」3日連続の忠告 それでも船長は港へ向かった

「船の前から浸水してきて、エンジンが止まっている」

「そのうちに、バッテリーが落ちるかもしれない」

無線はいったん、そこで途切れた。

26人を乗せて航行していた観光船「KAZUI(カズワン)」が4月23日、北海道・知床半島沖で沈没した。豊田徳幸船長と最後まで無線でやり取りした男性が、当時の詳しい状況を初めて明らかにした。

男性は、カズワンの運航会社「知床遊覧船」(北海道斜里町)で、乗客を案内していたアルバイト。交信が途絶えた無線機の前で一人、連絡を待ち続けた。

数分後、再びカズワンから無線が入った。豊田船長は男性の名前を呼んだ後、こう続けた。

「もうだめです。もうバッテリーが落ちると思います」

バッテリーが使えなくなれば船は電源を失い、無線も使えなくなる。船長の口調は多少の焦りこそあったものの、淡々としていた。男性には、観念しているかのように感じられた。

「豊田さん! 豊田さん!」

男性は、無線機に向かって声をかけた。応答はなかった。その後、何度も呼びかけたが、返事が返ってくることはなかった。(佐野楓、島崎周)

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