犬と猫へのマイクロチップ装着、6月から義務化...目的や健康面の影響は?

犬と猫へのマイクロチップ装着、6月から義務化...目的や健康面の影響は?

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  • 更新日:2022/05/17
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6月1日から、犬と猫にマイクロチップを装着することが義務付けられる。2019年に公布された「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第三十九号)」(以下、改正愛護法)に定められたもので、当初の計画通り3年を経て施行される。

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◆マイクロチップとは? その目的は?

マイクロチップ(MC)は、「直径2mm、長さ12mm程度の円筒形で、外側に生体適合ガラスを使用した電子標識器具(環境省;以下略)」とある。

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獣医師が専用の器具を使用して、注射の要領で犬や猫の首周辺の皮下に挿入する。

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装着後は、専用の機械をかざすとマイクロチップに記録された15桁の番号を読み取ることができる。埋め込み型のIDカードのようなものだ。その番号を環境省のデータベース(実際の運営は日本獣医師会)に照合することで、飼い主などの情報が得られる。

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迷子になったり、災害ではぐれたりした場合や、盗難にあった時などにペットの発見につながるメリットがある。また、無責任な遺棄がしづらくなることで、動物の福祉低下を防止する狙いもある。

◆義務を負うのは繁殖業者

改正愛護法でマイクロチップの装着義務が課せられるのは、主に繁殖業者(ブリーダー)などの事業者。犬・猫を入手した日から、30日以内に獣医師に依頼して行う。装着後は、住所、氏名、電話番号や電子メールアドレスなど所有者の情報と、犬種・猫種や雌雄の別、被毛の色など動物の特徴を登録。手続きには獣医師が発行する「マイクロチップ装着証明書」が必要で、無資格者によるマイクロチップの装着はできない仕組みになっている。

子犬の場合は「生後90日を経過した日から30日以内」に装着すること、とされている。ただし、譲り渡し、つまりペットショップや個人に引き渡す日には装着と登録が済んでいる必要がある。繁殖業者が子犬・子猫を「出荷」する時には、週齢にかかわらずマイクロチップの装着と登録が終了していなければならない。

登録手続きが終わると「登録証明書」が発行される。犬や猫を販売・譲渡する場合、この証明書も一緒に引き渡さなければならない。マイクロチップの装着から装着証明書の受領、データベースへの登録、登録証明書の取得までが事業者の義務となる。

◆ペットショップの義務

こうした犬や猫を取得したペットショップは、30日以内に登録変更をしなければならない。会社名や所在地など、新しい所有者であるペットショップ運営会社に関する記録を変更し、新たな登録証明書を取得する。一般の飼い主がペットショップから子犬・子猫を迎える場合、所有者など必要な情報がきちんと変更された最新の証明書を必ず受け取るよう注意したい。

◆飼い主の義務

マイクロチップが装着された犬・猫を購入したり譲渡されたりした場合、一般の飼い主にも義務が生じる。お迎えの時点では、登録証明書に前の所有者(ペットショップや繁殖業者など)に関する情報が記録されている。これを、自分の氏名や住所等に変更することが、改正愛護法で飼い主の義務となる。

30日以内に変更手続きを行い、新しい登録証明書の発行を受ける。引っ越しなど、登録内容に変更があった場合も同様に手続きが必要だ。情報を最新の状態に保つことは、法的義務だけでなく、迷子など“もしも”の時の安心にもつながる。

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なお、何らかの事情で、愛犬・愛猫を別の飼い主に譲渡する場合には、この証明書と一緒に引き渡すことが必要になる。

◆以前から飼っている犬または猫

6月1日からマイクロチップの装着が義務付けられるのは事業者であり、一般の飼い主に義務は生じない。「犬猫等販売業者以外の犬又は猫の所有者は、その所有する犬又は猫にマイクロチップを装着するよう努めなければならない」(改正愛護法、第39条の2-2)とされており、いわゆる努力義務である。したがって、5月31日以前から家庭で飼っていた犬・猫にマイクロチップ装着を行う法的義務はない。

ペットショップやブリーダーの方針で、既にマイクロチップが装着されている犬・猫もいる。その場合、新たなマイクロチップを装着する必要はない。一部の例外を除き、既存のマイクロチップは通常、民間事業者が運営するシステムに登録している。この機会に、新しく構築される環境省のデータベースにも登録することをお勧めする。

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指定登録機関である日本獣医師会が運営する「移行登録サイト」では、5月末まで無料で登録手続きができる。6月1日以降は有料となり、オンラインで行うと300円、紙申請の場合は1000円の手数料がかかる。

◆健康被害の心配は?

このように、犬と猫へのマイクロチップ装着は法的義務となるが、健康面で何らかの問題が生じ得るなど、やむを得ない事情があると専門家が判断した場合は免除される。装着が進んでいる国では、マイクロチップが特に腫瘍の発生など健康上のトラブルにつながることを心配する声もある。

これに関しては、アメリカ獣医師会やイギリス小動物獣医師会など世界中の専門家団体が調査を行っている。世界小動物獣医師会によれば、イギリスには10年以上にわたって集めた約370万のペット(犬・猫以外も含む)に関するデータが蓄積されているそうだ。その中で、マイクロチップ周辺での腫瘍形成に関する報告は2例のみ。そのうちの1例は、偶然にマイクロチップの挿入箇所と場所が一致したに過ぎないとの専門家による診断も下されたという。

椎間板ヘルニアなどMRIによる検査が必要となった場合、患部が首などマイクロチップ装着部位に近い場合は取り出しが必要になる場合もあるようだ。そのほか、マイクロチップが体内を移動してしまい読み取りができなくなるケースも稀に生じるとされている。そうしたレアケースがあることを認識しながらも、マイクロチップの装着には動物福祉を中心にメリットが大きいというのが日本を含めた各国の判断のようだ。

◆動物福祉向上への期待

日本では、マイクロチップのデータベースに繁殖犬の出産回数なども記録することを義務付けるべきだとする意見がある。2023年6月からは、改正愛護法によって犬の出産回数の上限が6回に決められるなど繁殖に関する規制が行われる。環境省は昨年、「マイクロチップの装着が義務化され、年齢の確認及び台帳による繁殖回数の確認に対する実効性を担保できる」と、マイクロチップのさらなる活用方法についてもコメントしている*。

俗に言う「数値規制」が守られているかどうかの確認にも、マイクロチップを活用することが検討されている。そうした点においても、マイクロチップ装着の義務化が犬や猫たちの福祉向上につながることが期待される。

マイクロチップは、迷子になったり盗難にあったりした際、飼い主のもとに戻る手掛かりとなる。災害時に生き別れになったような場合にも役立つだろう。さらに環境省は、「管理責任の明確化を通じて所有者の意識向上等につながり、動物の遺棄の未然防止や適正飼養の推進に寄与すること」も主な目的としている。

基本的には、犬と猫の福祉および飼い主の安心を主な目的として決められた施策である。6月1日以降に犬・猫を迎える場合は、登録証明書の受領と登録情報の変更を必ず行いたい。

* 第3次答申「動物愛護管理法の飼養管理基準に関する省令」の概要より

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