手のひらに乗るくらい小さなミニ盆栽が流行しています。セレクトショップの店先や園芸店、ホームセンター等で見かけるようになりました。小さいので置き場所にも困らないし、樹木なので上手に育てれば、長年楽しめます。そこで、ホームセンターで購入したクロマツのミニ盆栽を盆栽師の廣田カンタさんに見ていただきました。
松柏盆栽(クロマツ)
樹高12cm 鉢の径9cm・高さ5cm

一目見た廣田さんは、鉢が松には合わないこと、土がダメなことなどを指摘し、松に合う焼き締めの鉢と用土を用意してくださいました。
長く楽しむためには、植え替えが必要なので、植え替えを教えていただきました。
鉢底ネットの使い方など、他の園芸植物に応用できる技もありました。
ホームセンターで買ったミニ盆栽を植え替える


売られているミニ盆栽の多くは、栽培地から掘り出されたままの土で、鉢もいろいろ。
松の盆栽は、化粧釉の鉢ではなく、焼き締めの鉢に植えるのが一般的。
花や実のものは化粧鉢に植えます。
植え替えに必要な用具
ワイヤー(径1mm、1.5mm)

割り箸

鉢底ネット

ペンチ

ハサミ

土入れ

用意する土
小粒の赤玉土
小粒は鉢底土に使う。水はけが良くなる。

用土
極小粒の赤玉土7:桐生砂3の割合で混ぜたもの。

植え替える鉢の準備
1.鉢穴より一回り大きく鉢底ネットを切る。1.5mmのワイヤー6cmぐらいをU字形に折る。


2.鉢底ネットの中心にワイヤーを内側から通し、外に出たワイヤーを折り曲げる。


3.ワイヤーでネットが固定できた。

4.1mmのワイヤー30cm2本、4cm1本を用意する。

5.長い2本のワイヤーを重ねて半分に折り、中央部分を短いワイヤーに巻き付ける。

左右に2本ずつ分かれるようにする。

6.鉢底から4本のワイヤーを内側に出す。


左右に2本ずつ出るようにする。

植え替える
1.土が落ちやすいように、植え替える前は水を控えて乾かしておく。鉢底に指を入れて株を抜き出す。

2.割り箸で根に付いた土をほぐし、根から土を除く。


3.出てきた根の3分の2から半分を切る。

4.用意した鉢に小粒の赤玉土をネットが見えなくなるくらい入れる。水はけが良くなる。


5.さらに同じくらいの量の用土を入れる。


6.根を切った株を鉢に入れる。鉢を正面に向け、松の樹形が良く見えるように植えつける。

7.右に出ているワイヤー2本を交差させて松の根に巻き、固定する。もう一方の2本のワイ
ヤーも反対側から同様に固定する。

ワイヤーで株が固定された。

8.ワイヤーと根に隙間ができないようにしてワイヤーをねじる。


9.余分なワイヤーを切る。

10.割り箸でワイヤーを下に向ける。植え替えのときにケガをしないため。

11.用土を根の間に入れる。


12.入れた土を割り箸でつつきながら、根の中にまんべんなく入れる。土の量は鉢の縁ギリギリまで。

13.最後に鉢底から出る土を含んだ茶色の水が透明になるまで、水やりをする。


植え替え完了

ミニ盆栽の管理
置き場所...日当たりの良い戸外に置く。
水やり...表面の土が白くなって乾いてきたら。1日1~2回。夏場は日に数回与えることも。
肥料...植え替え後、1カ月はそのままで、春、秋の2回、固形の油粕などの有機肥料を置き肥する。化成肥料や液肥はNG 。
いつかは育ててみたい
花・実のミニ盆栽
マユミ
樹高12cm。樹齢約10年。春に花が咲き、秋に実がなる。12月ごろまでが見ごろ。

長寿梅(ボケ)
樹高8cm。樹齢約30年。一年中花がつく。

金豆(きんず)
樹高27cm。樹齢約20年。幹に縦にしわが入っているほど古い樹。

ピラカンサ
樹高18cm。樹齢約20年。赤い実が長くついている。

大宮盆栽村と盆栽のお手入れ
埼玉県さいたま市にある大宮盆栽村は、関東大震災後に東京から移り住んだ盆栽業者によって生まれました。
いまは6つの盆栽園があり、名品盆栽の聖地として、日本だけでなく世界各地から多くの愛好家が訪れています。
盆栽は、松柏類、雑木類、草物類と、仕立てられる植物は多種多様です。
これを手がける盆栽師の技と美意識によって、一鉢ごとに異なる世界が創り上げられます。
盆栽の手入れは、日々の水やりなどの他に、剪定、植え替えなどがあります。
専門知識が必要なので、盆栽教室に通うことをおすすめします。


※大宮盆栽村へはJR大宮駅から東武アーバンパークラインに乗り、大宮公園駅下車、徒歩5 分。
撮影/原 務
若手盆栽師
廣田カンタ(ひろた・かんた)さん
埼玉県大宮盆栽村の藤樹園で盆栽師として活躍中。各所の盆栽イベントで自作の盆栽を展示し、来場者に盆栽の手ほどきをする。藤樹園でも盆栽教室を開催。
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