『大豆田とわ子と三人の元夫』主演の松たか子 『ロンバケ』から25年たっても清純さをキープする“奇跡”のワケ

『大豆田とわ子と三人の元夫』主演の松たか子 『ロンバケ』から25年たっても清純さをキープする“奇跡”のワケ

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/05/03

松たか子という女優のすごさ。

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それは演技力の高さだけでなく、四半世紀たってもキャラ変(キャラの変更)せず、清廉性を保ち続けていることにあるんじゃないでしょうか?

そこで今回は、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーである筆者が、松たか子という女優の真のバリューを分析させていただきます。

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プライベートでは一児の母

歌舞伎役者一家の娘というブランドは強かった

3回離婚した主人公が元夫たちに振り回されながら、自分らしい幸せを探していくロマンティックコメディー『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)で、現在主演している松たか子さん。

彼女の名前を世に知らしめたのが、今から25年前の恋愛ドラマの金字塔『ロングバケーション』(1996年/フジテレビ系)でした。

木村拓哉さんが演じる主人公が片思いする、清楚で可憐なお嬢様というのが松さんの役どころ。芸大に通う将来有望な若手ピアニストで、恋愛にウブだったがゆえに、天然で主人公の気持ちを振り回していました。

そして、『ロンバケ』が社会現象化したことで松さん自身のプロフィールにも注目が集まります。父に九代目 松本幸四郎(現・二代目 松本白鸚)、兄に七代目 市川染五郎(現・十代目 松本幸四郎)を持つ歌舞伎役者一家の娘で、『ロンバケ』で演じた役どころ以上に松さん自身がお嬢様であることが認知されていったのです。

ブレイクのきっかけがお嬢様役で本人も生粋のお嬢様とあれば、清純派のイメージが定着していくのは自明の理。しかし松さんが驚異的なのは、その清純派像を崩すことなく、現在も清廉なパブリックイメージを保っているということにあると思うのです。

深田恭子や石原さとみは何度か“キャラ変”済

栄枯盛衰が著しい芸能界で、長年、第一線で活躍することが非常に難しいのは言わずもがなでしょう。

ブレイクしてドラマや映画の主演女優の座を射止めるのもすごいことですが、そこからランクを落とさずに5年、10年と活躍し続けられるかどうかはまた別の話。一時期スポットライトを浴びることと、10年以上スポットライトを浴び続けることは、ひとつ次元が違う話のような気がします。

ここで、20年以上メジャー作品の主演やヒロインを演じ続けている深田恭子さん、15年以上主演やヒロインを演じ続けている石原さとみさん、2人の現在までのキャラ変の足跡を軽く振り返ってみましょう。

実は深田さんや石原さんは、初めから現在のようなイメージで売っていたわけではなく、自身の年齢に合わせて何度かのキャラ変を経て、今の地位を築いています。

深田さんは、10代の頃は等身大ギャルキャラ、20代前半頃は不思議ちゃんキャラ、30代ではカッコかわいい大人キャラへと変えてきた歴史があります。

石原さんも、10代の頃は純真無垢な清純派キャラでしたが、20代の後半頃は天然風の小悪魔キャラ、30代ではモテのカリスマキャラと、年齢が上がるごとにキャラ変してきています。

深田さんや石原さんは、初期のイメージをそのまま維持し続けることに限界が訪れ、その都度アップデートすることで時代の流れに自身を適応させてきたのでしょう。

けれど松たか子さんはブレイク当時の清純派像を継承し、今なお、上品で清廉なパブリックイメージがありますよね。

優劣をつけられるものではないですし、キャラ変して第一線で活躍し続ける深田さんや石原さんもすごい才能ですが、四半世紀もキャラ変せずに第一線にい続ける松さんは、やはり驚異的です。

要所で汚れ役や毒のある役も演じ実力派女優に

では、松たか子さんはどうして、キャラ変せずに品のよいキャラクターをキープし続けることができたのでしょうか。

もちろん彼女の家柄が立派であることや、性格がもともと高潔であることは重要なファクターだったんでしょうが、彼女は出演する作品選びにも長けていたのではないかと考えています。

清廉性のあるイメージを保ち続けるためには、そういった役柄を定期的に演じるというのは当然必要でしょう。

松さんの場合、岩井俊二監督の1998年の映画『四月物語』で、『ロンバケ』で演じた清潔感のある女子大生と似た方向性の女子大生役で主演。2001年に放送されて大ヒットしたドラマ『HERO』では、主演の木村拓哉さん演じる型破りの検事に振り回されるバディ役として、生真面目で潔癖な検察事務官を演じたことも印象強いです。

また、太宰治原作で2009年に公開された映画『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』では、後に愛人と心中を図る小説家の旦那に尽くす気立てのいい美人妻を熱演し、翌年の日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞しています。

しかし、そういった清廉潔白な役どころばかり演じていたとしたら、イメージは維持できたとしても、一本調子の演技しかできない女優と思われ、世間にも業界にも飽きられてしまっていたかもしれません。

松さんはそういったマンネリを避けるために、要所要所で汚れ役や毒のある役を演じてきていたのです。

1997年の大ヒットドラマ『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ系)では、根は心優しいものの荒々しい粗暴な言動がある女性を演じています。

2010年の主演映画『告白』では、最愛の娘を生徒に殺された中学校教師の役を演じ、鳥肌が立つような静かなる狂気を見せました。2017年の主演ドラマ『カルテット』(TBS系)で演じたヴァイオリン奏者は、実は驚くべき重く暗い過去を背負った役どころでした。

“陽”の役柄ばかりでは演技の幅が狭い女優と思われてしまいますが、“陰”の役柄も説得力のある演技でこなす松さん。

ちなみにプライベートでは2007年にギタリスト兼音楽プロデューサーである佐橋佳幸さんと結婚し、現在は一児の母となっていますが、これまでに品位を貶めるようなスキャンダルは皆無。最近では情報番組などに出演した際、娘との日常のエピソードを明かしよき母としての顔も覗かせています。

“陽”と“陰”の演技をバランスよく演じ分け実力派女優という評価を確固たるものにしつつ、プライベートでも上品な清潔感を損なうようなことはしない。

こうして松たか子さんの足跡を振り返ると、ずっと清廉性の高いイメージでいつづける偉業に、改めて驚嘆するのでした。

(堺屋 大地)

堺屋 大地

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