手術代は123万円...SNSで話題の“トランス女性”が語る、性転換のきっかけ

手術代は123万円...SNSで話題の“トランス女性”が語る、性転換のきっかけ

  • bizSPA!フレッシュ
  • 更新日:2022/05/14

女性が“エレベーターで男性と2人きりになる”ことに警戒感を抱くという心情が、4月にネットで話題になった。このシチュエーションに対する自身の体験を踏まえた見解をツイートし、2.2万リツイート、7万いいね(※2022年5月2日時点)を獲得し、注目を集めたのがトランス女性の山本ペリさん(@party_othman)だ。

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山本ペリさん(※顔はアイコンイラスト)

話題になった山本ペリさんのツイートとは、「私は20代前半に性別を変えて(男性→女性)手術して帰ってきた月に今まで入られたことない泥棒に入られた(中略)22時頃歩いて帰ってたら急に知らない男に抱きつかれてちゅーをせがまれた(中略)身長も体重も中身も全く同じ人間が、女性に見える恰好で生活するだけでこんなにも急激に犯罪に合う」というもの。

男の体に生まれたことに違和感を持ち続け、性転換するという類まれな人生を送っている山本ペリさん。そんな彼女に、性転換した経緯や男性から女性になるとはどのようなものか、話を聞いた。

スーツ姿の自分を見て「このままじゃ無理!」

――自分が男性であることに違和感を抱いたのはいつからですか?

山本ペリ:幼稚園の頃からです。テレビでカルーセル麻紀さんが出ていた時に漠然と「まぁ、自分もこうなるんだろうな」って思ってました。中高は男子校だったんですが、修学旅行でもお風呂とかは絶対、一緒には入りませんでした。理由はうまく説明できないけど、とにかく嫌でした。プールの授業も1回も出ていません。

トイレは男性用に入っていましたが、個室のトイレ以外使ったことないです、人生で。前に、船に乗った時に、トイレがなくって「ここでは立ちションするんだ」って言われて絶対に嫌で。病気になっても構わない覚悟で我慢しました。

(性転換しても)やっていけそうだな

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※画像はイメージです(以下同じ)

――男性から女性になろうと、手術を決意したのはいつですか?

山本ペリ:大学で就活をしていた時ですね。中学・高校は男子校だったので、それまでは女性がいないから相対化されないというか……。あまり不便を感じたことはなかったんですよ。だけど大学で就活を始めたら、スーツを着なきゃいけないし、髪も短くしなきゃいけない……。それで、最初の面接に行く時に「あ、もう無理だ」ってなりました。

その頃ちょうど、佐藤かよさんとか、大島薫さんとかが出てきていた時期で、セクシャルマイノリティの方が集まるイベントに行ったりして、色んな人と話す機会があったんですよ。そういう所に行くと、皆さん色々な活躍をされていて(性転換しても)やっていけそうだなと思うようになったんです。大学をダブらせることにして、在学中に手術を受けて女性になってから社会に出ました。

前例がほとんどない性転換の実例に

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山本ペリさんSNSより引用(本人によるイラスト)

――いつどこで手術を受けたのでしょうか?

山本ペリ:手術は10年前です。ちょうどその頃に、日本で性同一性障害の性転換手術のガイドラインができたんです。だからそれに乗ろうと思いました。実例になってみようと思ったんです。そういう人が増えたほうが、今後若い子たちがやりやすいと思ったし、それに、もし手術で何かあった時にも、国が決めたものに沿ってやっていたほうが安心だと思いました。半年間、カウンセリングを受けて、それからホルモンを打って手術しました。

もっと昔だったら、お金を貯めてタイで……という感じだったと思いますが、当時だとかかった金額は123万6000円でした! いろいろなやり方があるんですが、私の場合は尿道を膣壁にするというやり方です。歯の矯正と同じくらいだと思うと安いですよね。

――ほかは手術されていないんですか? 例えば、声とか完全に女性ですが。

山本ペリ:声は自力で矯正しました。女性らしい声がでるように努力しました。最初はエルモみたいな声しか出ませんでしたが……(笑)。訓練ですね。

妹は次の日から「お姉ちゃん」呼び

――女性になる決意をして、家族や友人の反応はどうでしたか?

山本ペリ:最初は勝手に手術やっちゃおっかなとも思ってたんですよね。でもちょうどその頃、内定が決まった会社がつぶれて、そのことで親と電話で喧嘩したんです。「これから先どうするの!」みたいな。その時に親に「言わせてもらうけど」って(女性になろうと思っていることを)言ったんです。そしたらビックリして電話を切られちゃって……。

それからすぐまた電話がかかってきて「夢かと思った……」って言われました。最初は受け入れられなそうな感じもありました。でも1回実家に戻って、ちゃんと話しました。ちょうどその頃、上戸彩さんが性同一性障害の役を演じるドラマとかもあったし、それに関する本とかも出ていて。

両親もそういうのを見たり読んだりして学んで、理解するように努力してくれました。妹は、電話で(女性になりたいことを)話した次の日からLINEで「お姉ちゃん」呼びになってて、「はや過ぎ!」って(笑)。

親が気づいていないケースは意外と多い

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――ご両親は気がついていなかったんですか?

山本ペリ:全然気がついていませんでした。結構多いみたいです。親が気づいていないケースって。でも部屋に小池徹平のポスターとか貼ってあったのに(笑)。周りの友達は、全然変わらなかったですよ。女性になる前に10人くらいで旅行に行った時も、女の子の部屋と男の子の部屋に分かれる時に女の子の部屋に入れてくれたり。「あ、女性になるんだ! じゃあそうしよう」みたいな。

でもMtF(※MaletoFemaleの略。男性という性に生まれたものの女性として生きることを望む、トランスジェンダーの人のこと)の友達の中には、(家族に)縁を切られたって方もいます。それでも、ほとんどは好意的な家庭が多いみたいです。そういう人たちって、小さい頃から女性的な部分が多いので、母親ともと仲が良かったりするんです。

男性の時と同じ生活で危険な目に

――Twitterにも書かれていましたが、女性になってから何度も危険な目に遭遇されたようですね。

山本ペリ:もともと家に鍵をかけないで生活していたんです。それで、ちょうど手術後に泥棒に入られました。女性宅だけを狙う泥棒で、私の他にも100件くらい(泥棒を)していたみたいです。私がお金をATMから下ろすのを見られたみたいで、目星をつけられてたようです。

寝ていたら人の気配がして、めっちゃ怖くって。しばらくして「カチャ」ってそっとドアが閉まる音がして、恐る恐る起きたらサイフがないんで「やられた!」って思いました。その人は1年後に捕まりました。怖かったけど、ムカつきました。

あとその頃、居酒屋でバイトしていたんですけど、深夜1時とかに帰ることが多くて。夜中に歩いていたら知らないおじさんに後ろから抱きつかれたり、目出し帽を被った人に後をつけられたり……。どちらも思いっきり叫んだら逃げて行きましたが。

しばらく知らない人が家に入ってくる夢をみたり、トラウマになってしまいました……。それで、怖すぎて、その時、付き合ってた人と同棲しました。もう人と一緒じゃなきゃ暮らせない! と思って。

「性転換した」が冗談にとられたことも

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――付き合っている人には性転換したことは伝えているんですか?

山本ペリ:私は伝えます、最初に。でも伝えない(MtFの)子もいます。私の場合は、前に付き合ってた人が、性転換したことを言ってたのに冗談だと思っていた……ってことがあって。

そこからプロポーズされた時に、「(いまだに性転換したこと)分かってないな」と思って、ちゃんと説明したら、その日のうちに振られたんです。そんな出来事があってから、ちゃんと言わないとこっちがダメージを受けると思ったんで。それからは絶対に言っています。

<取材・文・撮影/まなたろう>

【山本ペリ】
23歳の時大学在学中に性転換手術を受ける。現在は会社員として働いている。
Twitter:@party_othman

【まなたろう】

多岐にわたって興味があるアラフォーライター。コーヒーが好きで資格を取得中。海外に12年ほど住んでいたため、英語はそこそこ堪能。Twitter:@kawamura_the3rd

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