『SPY×FAMILY』<黄昏>が所属するWISEとは? 元ネタになった組織を考察

『SPY×FAMILY』<黄昏>が所属するWISEとは? 元ネタになった組織を考察

  • マグミクス
  • 更新日:2022/06/29
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TVアニメ『SPY×FAMILY』MISSION:1より、ロイド (C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

WISEのモデルはふたつの組織?

現在TVアニメが絶賛放送中の『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』のメインキャラクターのひとりであるロイド・フォージャーを名乗る男は、精神科医としての表の顔を持ちながら、裏ではコードネーム<黄昏(たそがれ)>の異名を持つ敏腕スパイとして活動している人物です。

【画像】ほほえましい!本物の家族よりも家族らしいフォージャー家(6枚)

そんなロイドは西国(ウェスタリス)の諜報機関「WISE(ワイズ)」に所属し、東国(オスタニア)に潜伏しながらさまざまな任務をこなしています。果たして「WISE」とはどんな組織なのでしょうか。

作中の描写で分かっていることは、かつて戦争で大きな被害を受けた東国・西国の間の平和を維持するための活動を行っているという点です。密輸組織の壊滅や外相の暗殺計画阻止など直接的な行動に加え、重要人物の情報収集の任務にも当たっています。現在、ロイドに与えられている最重要任務は東国国家統一党総裁であるドノバン・デズモンドに近づき戦争計画を探る「オペレーション<梟(ストリクス)>」であり、結果として仮そめの家族を作るはめに陥っています。

このような情報機関は現実の世界でも主要先進国であればたいていの国が保有しています。日本にも「内閣情報調査室」や「防衛省情報本部」など多数の情報機関が活動しており、日夜情報の収集や分析に当たっているのです。

WISEについても、間違いなくモデルとなった組織が存在しています。その内のひとつが、ドイツの「連邦情報局(BND)」と思われます。『SPY×FAMILY』の東国・西国の元ネタはほぼ間違いなく1949年に分断された東ドイツ・西ドイツであることからも、ある程度影響を受けているでしょう。

連邦情報局は1956年に西ドイツが創設した情報機関で、第二次世界大戦中に対ソ連諜報を担当していたラインハルト・ゲーレンがアメリカの後押しで初代長官に就任、ソ連や東欧諸国にスパイ網を張り巡らせ、冷戦下においてNATO諸国の主要情報源となりました。現在では約7000人の職員が所属しており、内2000人ほどが国外での諜報活動を行っています。

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TVアニメ『SPY×FAMILY』MISSION:1より、組織の無茶振りに黄昏もキレる!? (C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

黄昏はジェームズ・ボンドと同僚?

しかし『SPY×FAMILY』は過去のスパイ映画から多数のオマージュを受けた作品ですが、実のところスパイ作品華やかなりし時期にも、連邦情報局が登場する作品はあまりありません。おそらくWISEの描写に最も大きな影響を与えたのは別の組織である可能性が濃厚です。

フィクションにしばしば登場する情報機関としてはアメリカの中央情報局(CIA)や連邦捜査局(FBI)などが挙げられますが、WISEの元ネタとなっているのは、イギリスの秘密情報部ことMI6であると思われます。理由としてはWISE本部の建物とMI6の建物は、水辺に建てられている点や角ばった形状、窓の形など酷似している部分が多数あるためです。

また、ロイドのキャラクター性や作中での活動などには「007」シリーズの主人公であるジェームズ・ボンドの要素が強い影響を受けているフシが多々見受けられますが、ボンドが所属している組織こそがMI6なのです。

MI6は国外の政治・経済及びその他の情報収集や工作を任務とする組織であり、第一次世界大戦勃発時に組織され、当初はMI(c)と呼称されていましたが、1930年代後半にMI6の名称が割り当てられています。「007」シリーズの著者であるイアン・フレミングは元MI6の諜報員であることを公表していましたが、イギリスは公式にその存在を認めてはおらず、1994年にようやく公表しています。東西冷戦下において、MI6が持つ重要性を物語るエピソードです。

組織の概要については不明な点も多いのですが、2500名の人員を擁しているとされています。組織を統括する本部の下に「地域課」と「連絡課」が存在しており、地域課が現地情報の収集及びエージェントの発掘・育成を行ない、連絡課が集積された情報を本部に伝える形で役割分担がなされています。

東西冷戦の時期には数多くのスパイ作品が登場し、多くの人を楽しませていましたが、近年ではあまり姿を見なくなっています。『SPY×FAMILY』のようにスパイ要素を抽出し、作品を彩るエッセンスとして効果的に使用した作品の登場が、また新たなスパイ作品を生み出す原動力になってくれるのかもしれません。

(早川清一朗)

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