大谷翔平はどこへ? 本人はもちろん代理人も“貝”になって、ますます激しくなる条件闘争

大谷翔平はどこへ? 本人はもちろん代理人も“貝”になって、ますます激しくなる条件闘争

  • デイリー新潮
  • 更新日:2023/11/21

MVP受賞も、テレビ電話会見を拒否

渦中の人、大谷翔平(29)が久々に公の場で発言した。2度目のア・リーグMVP受賞が決まり、その発表を生中継したメジャーリーグ専門TV局にリモート出演し、手術した右肘の状態や、今季の自己評価などを語ったのだ(現地時間11月16日)。しかし、日米の野球ファンがもっとも聞きたかったのは、やはり去就問題。同番組では、

No image

愛犬とはよく話しているようだが~エンゼルスの公式X(ツィッター)より~

【写真を見る】大谷が入るのはどの球団か(各球団の公式インスタグラムより)

「(リハビリを)焦らずにやりたいと思う反面、しっかり来シーズンまでに間に合わせてプレーしたい」

と語っていたが、最後まで核心には触れずじまいだった。

「大谷を含め、各賞の発表が始まったのは午後7時前(現地時間)でした。それから30分ほど経過したら、『予定していたテレビ電話での会見を中止する』との連絡が入ったんです。専門TV局やMLB機構のスタッフは『中止の理由は大谷のコントロールを超えたもので、彼は決して悪くありません。申し訳ない』と説明していました」(米国人ライター)

すわ「取材拒否か?」とも思われたが、ナ・リーグMVP受賞者のロナルド・アクーニャJr.(25=ブレーブス)の会見も中止になった。何らかのトラブルがあったようだ。

「大谷は去就問題のことを質問されたくないからだとは思いますが、8月9日のジャイアンツ戦以降、記者との質疑に応じていません。ここまで徹底してマスコミ対応しないことについては違和感がありますね」(スポーツ紙記者)

この「質問されなくない」の状況を解明するヒントは、11月8日まで開催されていたゼネラルマネージャー会議(米アリゾナ州スコッツデール)にあった。その様子はMLB公式サイトでも紹介され、同2日にフリーエージェントとなった大谷の続報として、今後の行方をこう伝えていた。

<14人の球団編成トップが答えたところ、10人が移籍先にドジャースを予想していた>

残りの4人はほかの球団名を挙げたのではなく、明言を避けたのだという。

やはりドジャース有力?

10人の編成トップが答えた「ドジャース有力」の一報は大きな意味がある。これまで米国のさまざまなスポーツメディアが大谷の移籍先を予想し、そこにはドジャース以外の複数の球団名も挙げられていた。しかし、大谷の意中球団がどこなのか、球団編成のトップクラスになれば、かなり確度の高い情報を収集しているからだ。

「編成トップたちはドジャースが有力な移籍先だと認めていましたが、それは大谷獲得を諦めたという意味ではないんです。ドジャースと大谷が相思相愛だとしても、自分たちのほうに振り向かせるため、もっと良い条件を提示しなければならないとする決意表明とも解釈できます」(現地メディア関係者)

地域性やチームカラー、出身地など、選手が移籍する球団に求めるものはさまざまだが、獲得を目指す他チームは、さらに条件を加え、金銭面も釣り上げていくことになる。

今、大谷が何かコメントを出せば、その言葉の裏を探って、さまざまなオプションを加えてくるだろう。そうなれば、1回のヒアリングで終わると思っていた交渉も長期化し、判断も難しくなる。大前提として、大谷の意中球団がドジャースだとは断定できない。しかし、GM会議に集まった 編成トップたちはそう捉えている――大谷が“貝”になっているのは、こうした背景があると言われる。

「さすがにエンゼルス残留を予想する米メディアは少ないですが、MLBサイトがまとめたところではマリナーズ、ジャイアンツ、メッツ、フィリーズ、レンジャーズなども挙げられています。獲得を希望する球団が増えれば交渉の回数も増えるので、それだけ長期化します。ドジャースが大谷の意中であるという話が本当なら、12月4日スタートのウィンターミーティング中に即決、という展開もあるかもしれませんが」(前出・米国人ライター)

また、こんな情報も聞かれた。そもそも大谷は、日米のメディアに不信感を抱いているというものだ。

「2年前の21年、大谷は『ヒリヒリするような9月を過ごしたい』と発言しました。プレーオフ進出へ向け、シーズン終盤での個人的な思いを述べたのですが、この発言は“強豪チームへの移籍を考えている”と伝えられ、すぐに球団、代理人、大谷本人が否定しました。大谷が入団以来、エンゼルスは今シーズンまで6年連続でプレーオフ進出は叶わず。この事実を踏まえ、当時のこの発言をもとに、今でも大谷争奪戦のカギとして、『優勝争いができるチーム』が挙げられる根拠になっています。でも、当時の大谷はヒリヒリ発言が一人歩きしたことを嫌がり、試合後の囲み会見でも慎重にゆっくり、考えながらしゃべるようになりました。去就問題で騒がれている今、うかつな発言はできないと思っているのでしょう」(前出・同)

代理人、GMは何を思う?

大谷の代理人、ネズ・バレロ氏(60)もここに来てコメントを出さなくなってしまった。実は9月に、“ウッカリ発言”があった。

大谷の右肘の靭帯損傷が判明したのは、8月23日のレッズ戦後だった。違和感を訴え、2回途中で先発マウンドを下りたが、大谷は同3日のマリナーズ戦で右手中指がつり、4イニング目の登板終了後に自ら交代を申し出ている。その流れを指して、エンゼルスのペリー・ミナシアンGM(43)が、「球団がMRI検査を提案したが、選手側に拒否された」と発言。この時の「選手側」発言には、大谷はもちろん、バレロ氏も含まれている。

バレロ氏はエンゼル・スタジアムを訪れた9月4日、記者団に囲まれ、ミナシアンGMの「選手側に拒否された」発言の真意について問われ、右手中指がつったマリナーズ戦をさして、こう言った。

「ショウヘイは登板後も盗塁し、同点ホームランを打った。大丈夫だった。肘や肩に問題はなかった」

この発言が軽率だった。「もっと慎重になっていればよかったのでは」と、記者団は繰り返しバレロ氏を追求した。

「8月9日のジャイアンツ戦で、大谷は6回、97球を投げています。バレロ氏はそのことも挙げて、検査をしなかった選択の正当性を訴えていました。大谷とエンゼルスの関係悪化説を懸命に否定していたミナシアンGMも悪気があっての発言ではないと思います。選手側の検査拒否が明るみに出なかったら、エンゼルスの医療スタッフがバッシングされていました」(前出・同)

以後、バレロ氏もコメントを出さなくなってしまった。

「エンゼルスは大谷にクオリファイング・オファー(以下=QO)を出しましたが、11月6日午後5時に独占交渉期間の終了を迎えました。QOはFAになった選手に対し、元の所属球団が1年契約でのオファーをできる制度。年俸額はその年のMLBの上位125人の平均年俸額です。今季、3000万ドル(約40億円)だった大谷が、QOの2032万5000ドル(約30億5000万円)を受け入れるはずがなく、全30球団との交渉解禁となるのは避けられませんでした」(前出・同)

6日、エンゼルスはGM会議に備え、開催地のスコッツデールのホテルでトップ会談も行っていた。オーナーのアルトゥーロ・モレノ氏や球団社長のジョン・カルピーノ氏も同席したが、会議は2時間以上に及んだという。この時点では新監督人事も抱えていたが、最優先事項は大谷の慰留交渉であり、

「午後からGM会議が始まるのに、その日の午前中に長時間の会議とは」

と、ミナシアンGMに同情する声も聞かれたそうだ。

「穿った見方かもしれませんが、大谷と代理人が『貝になったこと』でかえって条件が釣り上がったのではという見方をする人もいます。とにかく各球団、最大限の誠意を見せなければ相手にしてもらえないということでしょう」(前出・米国人ライター)

QOと言えば、“本命ドジャース”が今季3番を務めた指名打者のJD・マルティネス(36)にそれを提示しなかった。JD・マルティネスは33本塁打、通算315発を放った大砲だ。QOを拒否してから再交渉して元の鞘に収まるケースも少なくない。QOは「慰留交渉をしますよ」のシグナルとも言えるが、地元紙のロサンゼルス・タイムズ、米スポーツ局ESPN、MLBネットワークなどは「指名打者を空けたのは、大谷獲得の布石」と報じている。

デイリー新潮編集部

新潮社

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加