「払いすぎたおカネ」を取り戻すために必要な「家にある28の書類」【完全保存版リスト】

「払いすぎたおカネ」を取り戻すために必要な「家にある28の書類」【完全保存版リスト】

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/06/11
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「一円を笑う者は一円に泣く」という言葉を思い出そう。ちょっとした無駄の積み重ねが破綻を招く。取り戻せるおカネを一銭も取りこぼさない「ずぶとさ」がないと晩年は乗り切れない。

誰も教えてくれなかった

固定資産税と都市計画税が、計1億5361万1900円も過大徴収されていた―。

4月28日、茨城県ひたちなか市が衝撃的な発表をした。'81~'00年度に改築された住宅や店舗などについて、正しい課税がされていなかった。市は対象の市民に還付金を支払うという。

だが、こうした形で課税ミスが発覚しただけ、ラッキーかもしれない。固定資産税だけでなく、所得税や相続税、さらには医療費や介護費まで「払いすぎたおカネ」があっても、誰も教えてはくれないのがふつうだからだ。

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それどころか、払いすぎていることに気付かず、損をし続けている人がほとんどと言っても過言ではない。老後資金に余裕なんてないのに、無駄なおカネを垂れ流していいわけがない。

では、何をすれば「払いすぎ」があることに気付き、おカネを取り戻す手続きができるのか。

ーー書類を探すのだ。

固定資産税の払いすぎを確認したいなら、令和3年度の固定資産税課税明細書を取り出そう。この紙をじっくり見ることが「払いすぎたおカネ」に気付く一歩目となる。

都内在住の酒井貴子さん(64歳・仮名)の例をもとに、どれだけの税金が戻ってくるのかを見ていこう。

「4年前に親から家を相続し、固定資産税を毎年50万円払っていました。

しかし友人から都内にしても高すぎると言われ、課税明細書をチェックしてみた。すると、『摘要』に本来使えるはずの軽減措置が書かれていないことが判明しました」

本来、住宅が建っている土地は200平方メートルまで「小規模住宅用地」という軽減措置により、固定資産税がかかる課税標準額が6分の1になる。

ところが酒井さんの家では、それが適用されていなかった。建物の分も含めた固定資産税は、年10万円が正しかった。

「役所の総合案内窓口に行き、固定資産評価審査委員会の事務局へと案内してもらいました。ここで審査請求をしたところ、過去5年分を遡って約200万円の払いすぎたおカネを取り戻すことができたのです」(酒井さん)

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本誌は専門家の協力のもと、「払いすぎたおカネ」を取り戻すために必要な書類を厳選し、本記事最終ページの表にまとめた。

完全保存版リストを参照しつつ、おカネを取り戻す具体的な方法を見ていこう。

身近な医療や介護でも、おカネを払いすぎるケースが発生しがちだ。失ったおカネを取り戻す鍵となるのは、領収書だ。

まず、「1ヵ月分の医療費の領収書」を集めておくことで「高額療養費制度」が使える。

手術を受けるなどして、月の医療費の自己負担額が20万円にのぼったとしよう。高額療養費制度を使えば、年齢や所得に応じた上限額を超えた分が戻ってくる。

70歳以上の一般的な年金世帯の場合、上限額は5万7600円だ。つまり20万円の医療費を払っても、14万2400円が戻ってくる。

注意が必要なのは75歳以上の人だ。後期高齢者医療制度に加入すると、窓口での支払いの時点で「高額療養費の上限額が適用されますので」と言われ、自動的に支払額が割り引きされる。

申請の手間がなくなるので得かと思いきや、思わぬ落とし穴がある。

「整形外科のクリニックと総合病院の内科というように、複数の医療機関にかかっている人も多いでしょう。

医療費の上限が5万7600円の人が、病院Aで4万円、病院Bで5万円を使ったとします。この場合は、医療費の合計が9万円になったことを自分で申請しないと、払いすぎた3万2400円は戻ってきません」(ファイナンシャルプランナー・風呂内亜矢氏)

あくまで自分が使ったおカネは、自分で把握しておく。その姿勢が重要なのだ。

年金受給者でも確定申告

さらに「1年分の医療費の領収書」をとっておけば、医療費に応じて所得税・住民税を減らせる「医療費控除」も使える。

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「世帯で医療費が年間10万円を超えた分、所得が差し引かれ減税になるというのが基本です。ただし所得200万円未満の人の場合は、所得の5%を超えた分の医療費を所得から引けます」(ファイナンシャルプランナー・井戸美枝氏)

年金世帯の場合、所得税・住民税が年金からの天引きになっていることが多い。夫が年240万円、妻が年78万円の年金を受給する夫婦では所得税が年約7150円、住民税は年約2万6500円が引かれる(社会保険料を30万円払った場合)。

しかしこの税金も、医療費控除などの各種控除を確定申告することで減らせる。ちなみに今年の12月31日までにかかったおカネについては、'22年の確定申告(2月16日~3月15日)の対象となる。

医療費控除以外にも、使える控除はいくつもある。10~11月に生命保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を、部屋の片隅で埋もれさせていやしないだろうか。

「支払った保険料に応じて、所得税と住民税の課税所得から控除される仕組みです。ただし生命保険料なら所得税は4万円、住民税は2.8万円という上限があります。

この上限まで控除した場合、一番税率が低くても所得税と住民税で合わせて4800円が戻ってきます」(前出・風呂内氏)

会社員時代は、こうした控除も年末調整で簡単にできた。だが、定年退職後は保険会社から届く書類をもとに自分で手続きしなければならない。

毎日の生活にかかるおカネについても、「払いすぎ」がないかチェックしよう。

あなたは携帯電話代を月にいくら払っているだろうか。まずは料金明細内訳書で確認してほしい。人によっては紙ではなく、スマホでアクセスできるサイト上で明細が見られるはずだ。

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50代本誌記者も、加入しているプランを確認してみた。最大20GBまで使える「ギガモンスター」というプランだったが、通信量を見ると月2GBしか使っていない……。

「家でWi-Fiを使える場合、通信量が多いプランも無用の長物になりがちです。携帯会社によっては通信料が少ないと自動的に割り引きされるプランもあるので、そちらに切り替えたほうがいい」(前出・風呂内氏)

既に払ってしまった料金を返してくれるほど民間企業はお人よしではない。だが、せめてこの先、無駄なおカネを払わずに済むようにしたい。

「大手キャリア3社のユーザーは月8000円程度を払っています。オンラインでの契約に慣れているような方なら、格安SIMに替えて月3000円程度までスマホ代を抑えることもできます」(風呂内氏)

電気代やガス代についても、まずは「検針票」をチェックする。こちらも紙ではなくオンラインに切り替わっている場合が多いが、改めて確認をしておくべきだ。

「電気とガスを同じ会社で契約すると安くなるプランも登場しています。たとえば東京ガスで電気も契約すると、電気料金から約0.5%が割り引きされます。

『エネチェンジ』や『価格.com』といったサイトを使えば、地域に合わせて複数社の見積もりを一括で取れるので、乗り換えの参考にするといいでしょう」(風呂内氏)

こんな検針ミスまで

一方、水道代や公営住宅・特養の料金などはプランが選べるわけでもなく、「払いすぎ」は発生しにくい。しかし稀にではあるが、払ったおカネが返ってくるケースもある。

たとえば水道の使用量メーターの検針ミスがあった場合だ。'16年、岡山市水道局では22件の検針ミスが約2年半にわたり放置され、料金が多く徴収されていたことが発覚している。

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水道料金の過徴収があった場合、「過誤納金還付通知書」といった書類が届き、手続きをすることになる。

特養の利用料や公営住宅の家賃でも、たびたび過徴収が見つかる。'20年、大阪府堺市の養護老人ホーム10施設で、入所者徴収金を多く取っていたことが判明した。

長崎県佐世保市の市営住宅でも、'19年に市営住宅の家賃算定を誤り110世帯から約326万円を過徴収していたと報じられている。

「入所者徴収金過徴収のお知らせ」や「公営住宅使用料の還付通知」が届いたら、おカネが戻ってくると考えてよい。

ただし「おカネが戻ってくる」という通知がはたして本物なのか、注意も必要だ。

「もし『おカネが戻ってきます』という電話がかかってきても、まずは用件だけ聞きましょう。そのうえで役所の担当課などに電話をかけ、届いたハガキや通知が公的なものかを確認する。

急かされたり、即答を求められた場合は、詐欺の可能性が高い」(風呂内氏)

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自宅を「終の棲家」にするために、改修工事を行う人もいるだろう。こうした場合も、払った工事費に応じて、取り戻せるおカネがある。ここで使うのは、「住宅耐震改修証明書」や「増改築等工事証明書」だ。

「住宅のリフォームでは、耐震・省エネ・バリアフリー・多世帯同居の4ジャンルについて国の住宅ローン減税が使えます。

また条件によっては、ローンを組まない場合でも所得税の控除を受けられる『投資型減税』も使えます」(前出・井戸氏)

老親や連れ合いが亡くなってから手続きをすることで、戻ってくるおカネもある。

亡くなったタイミングによっては、健康保険料が過払いになっているケースがある。役所からは「後期高齢者医療保険料過誤納金・充当通知書」が届くので、必要事項を記入して、忘れずに役所に送りかえそう。

葬儀にかかったおカネも、葬祭費という形で取り戻せる。喪主を務めた人が「葬儀の領収書」を役所に持って行って申請すると、自治体によっては最大7万円を受け取れるのだ。

70万円が戻ってきた

相続税についても、「払いすぎ」になっている場合がある。5年前に父親を亡くした岩田潤一さん(66歳・仮名)は語る。

「母もすでに亡くなっているので、私一人で実家を相続しました。路線価をもとに計算した相続税評価額は約5000万円で、約160万円の相続税を納めました」

ところが、岩田さんは大きな間違いを犯していた。実家がある土地は、付近の宅地と比べて高低差があったことを見落としていたのだ。

税理士の岡野雄志氏によると「高低差のある土地の場合、評価額を約10%減額できる可能性もある」という。

だが、すでに相続税は支払ってしまった―。

そんなときに使えるのが「相続税の更正の請求」だ。故人が亡くなってから5年10ヵ月以内であれば、税務署に相続税を申告しなおすことで、払いすぎた相続税を取り戻せる。

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「土地の高低差があることを証明するために、『地積測量図』などを添付して、更正を請求しました。実家の評価額は4500万円に減額され、支払った相続税から約70万円も戻ってきました」(岩田さん)

がけ地や旗竿地といった特殊な形の土地は、評価額が下がることが多い。

騒音がうるさい場所なら騒音計の数値をレポートにまとめ、墓地と隣接している場合は現地の写真を資料として税務署に提出する。

審査には約3ヵ月を要し、約1ヵ月後に通知書が届いて口座に還付金が入金される。前出の岡野氏は語る。

「私の税理士事務所では、査定を依頼された方の約7割に相続税の過払いが見つかっています」

まずはそれぞれの書類を探し出して、戻ってくるおカネがないか確認してみてほしい。なにもせず数百万円を失うのはあまりにもったいない。

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『週刊現代』2021年6月5日号より

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