その光沢や上質さはまるでシルク。アンゴラヤギの毛を用いた「モヘア」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.45】

その光沢や上質さはまるでシルク。アンゴラヤギの毛を用いた「モヘア」【お洒落さんのためのファッション用語辞典 vol.45】

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  • 更新日:2023/01/25
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連載『お洒落さんのためのファッション用語辞典』では、トラッドファッションから最新のファッションまで、FUDGEでおなじみのファッション用語についてわかりやすく解説します。第45回目は「モヘア」について。そもそも「モヘア」ってどんなものなのでしょう? そんな謎をひも解きます。この連載を読んでファッション用語の背景や起源を知れば、毎日のお洒落がより楽しくなること間違いなし!

【用語辞典】まずは「モヘア」を知ろう。

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出典:この冬は、モヘアの気分。初めてはVICTIMのニットでおでかけしたい。【FUDGENA SPECIALIST:kinokoのボーイズスタイル vol.80】

「モヘア」とはアンゴラヤギの毛のこと。トルコ、アメリカ、南アフリカなどで生産され、絹をしのぐ滑らかで白く美しい光沢が特徴です。

羊毛と混紡して、梳毛(そもう:毛足の長い羊毛を引き揃え、短い毛を取り除いて梳毛紡績して糸にすること)糸や紡毛(ぼうもう:粗雑で短い羊毛繊維を主として糸にすること)糸にされます。梳毛糸は夏服地に紡毛糸はニットウエアに、極太の差し毛(さしげ:動物の表面に生えている強い毛)はカーペットなどに使われることがほとんど。

刈り取るときの成長段階でキッド、ヤング、アダルトの3ランクに分けられ、中でも生後1年以内の仔ヤギからとれる「キッドモヘア」は最高級品で、繊維が細く、しなやかで美しい光沢があります。

【歴史】トルコから南アフリカへ、その後にアメリカやカナダに広まった「モヘア」

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出典:甘いモヘアニットと男前デニムがミックスアンドマッチ

その毛が「モヘア」となるアンゴラヤギは元来チベットやヒマラヤの高地などの寒冷地に生息していました。厳寒かつ寒暖の差が激しい土地でも体を守る被毛をもち、痩せた土地でも生き延びられるタフさが特徴です。数千年前、そんなアンゴラヤギを遊牧民がトルコへ運び、そこで家畜化されたのが、「モヘア」の始まりです。

オスマントルコは、アンゴラヤギがほかとは一線を画す上質な毛を持っていることをよく理解していて、18世紀の中頃までは、独占してアンゴラヤギの飼育、改良に努めていたと言われています。「モヘア」の取引を世界的に独占するために、オスのアンゴラヤギは虚勢を済ませてから輸出していたほどです。

しかしながら19世紀になって、南アフリカがアンゴラヤギの繁殖に成功します。彼らが輸入したヤギの中に、たった1頭だけ妊娠しているメスがいたからです。その後、アンゴラヤギが運搬、開墾用にアメリカに輸入されるようになると、徐々にアンゴラヤギはトルコだけのものではなく、アメリカやカナダにまで広まっていきました。

【雑学】シネマ「パリテキサス」に見る「モヘア」ニットの着こなし

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背中が大きく開いた「モヘアニット」を着たナスターシャ・キンスキーのこんなビジュアルを見たことがある人も少なくないのでは? これは映画『パリ・テキサス』の、いわゆる‟ノゾキ部屋”で1シーンをとらえたものです。

実はこのニット、モモに届くほどの丈のワンピース形。しかもVネックの「モヘアニット」を後ろ前に着ているのだそうです。1枚の「モヘアニット」を前開き&後ろ開きで着るアイデアは着こなしの幅を広げてくれ、参考にできそうですよね。レディ感の塩梅で、あるいはその日の気分で。もふもふとした「モヘアニット」の着こなしをあれこれ楽しんでみてはいかがでしょう。

監修:朝日 真(あさひ しん)

文化服装学院専任教授、専門は西洋服飾史、ファッション文化論。早稲田大学文学部卒業後、文化服装学院服飾研究科にて学ぶ。『もっとも影響力を持つ50人ファッションデザイナー』共同監修。NHK『テレビでフランス語』テキスト「あなたの知らないファッション史」連載。文化出版局『SOEN』他ファッション誌へ寄稿多数。NHK「美の壺」他テレビ出演。

illustration_Sakai Maori
edit & text_Koba.A

KobayashiAsa

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