「相続税の税務調査」調査官は“いつ、なにを”見てやってくる?【税理士が解説】

「相続税の税務調査」調査官は“いつ、なにを”見てやってくる?【税理士が解説】

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2021/11/25
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相続対策として生前贈与をしていても、調査によってひっくり返されてしまうことがあります。税務署の方の着眼点を抑え、正しく贈与をし、指摘されないようにしていきましょう。ここでは、辻・本郷税理士法人の山口拓也氏が、相続の「税務調査の概要」について解説していきます。

【後編】「税務調査が自宅にやってきた…」1日の流れや“ペナルティ”を税理士が詳しく解説

「相続税として申告してください」といわれる財産

●調査の対象

亡くなった方の通帳などだけをチェックしておけばよいと思いがちですが、相続税の税務調査は亡くなった方だけではなく家族や親戚も一緒にチェックされます。配偶者やお子さん、お孫さんの通帳なども、事前に税理士に確認してもらった方が安心です。

●調査官のチェックポイント

対象が亡くなった方であるか、相続人である家族の方であるかによって、調査官が見ているポイントは若干異なります。

まず、亡くなった方については過去の所得税のデータをチェックし、所得税から財産を推測します。また不動産売買の履歴なども税務署の方は知っていますので、そのお金がどこにいっているのか、といったところもチェックされます。

不動産を売却したお金を通帳に入れずに、手元に持っておく方がいらっしゃいますが、それも知られているので、きちんと申告しておいたほうが安心です。

そして家族については、働いているのか、所得がどれくらいあるのかをチェックします。専業主婦の方については所得がありませんので、財産がある場合には「どうやってつくったのですか?」と問われます。

実家の相続、もしくはパートで働いた分、年金でもらった分…そういった情報を踏まえて、適正であれば問題はありません。しかし、これは夫が亡くなった妻の場合ですが、あまり所得がないにもかかわらず多額にお金を持っていると、亡くなった夫から流れてきたのではないか?と見られ、相続財産として申告してくださいといわれる可能性があります。

●調査官は何年前からチェックするのか?

銀行には通帳のデータが10年間残っているので、基本的には10年間通帳の流れをチェックされます。

ただ、専業主婦である妻が30年前から持っている通帳に1億円ある、といった場合があります。そして1億円は「昔からへそくりで貯めていた」となると、10年以前も考慮されることになります。

夫から渡された生活資金があまって貯まったものなのであれば、原資が夫ですから、「これは相続財産です」といわれてしまう可能性があります。

相続対策をするなら…「残しておきたい書類」

●書類を残しておく

生前贈与をおこなっている方の場合、贈与契約書は残しておきましょう。不動産の売却をした方については、譲渡をしたら所得税の申告をして、その証拠を手元に残しておくことが重要です。

税務調査のときは通帳をざっとチェックされます。「この出金なんですか?」と聞かれた際に、きちんと「贈与」でもらっているという証拠を出すことができれば、この人はしっかりしているなと調査官に伝わります。

出金はあるがなにも証拠がない場合、怪しい…と思いますよね。もし調査官だったら、そのお金はどこへいったんだ?と探すはずです。

証拠を残しておき「ちゃんとやっている!」とわかってもらうことも、大事なことのひとつです。

●割合は?

年間約130万人の方が亡くなっていて、相続税の申告が10万件あるので、申告割合自体は8%だといわれています。

そして10万件の申告があるなかで、調査のある割合は約1万1000件といわれています。約10%の確率で調査がきているということですね。さらに1万1000件のうち、約1万件が調査を受けて修正しているというデータがあります。80%の確率でなにかが修正されていることになるので、ある程度目星をつけて調査にきているのだと思われます。

調査の対象には、ある程度の財産をもっている方がなるのではないかといわれています。当然それもひとつの目安になりますが、財産の規模だけで選ばれているわけではないようです。

財産の規模を問わず、明らかになにかが漏れているケースにもやってきますし、相続人である家族の財産が大きい場合には「どうやってつくったんですか?」と調査がきたり、亡くなった方に不明の出金がたくさんあればその使途の確認にきたりします。

●税務調査がやってくる時期

税務調査は、秋にくるといわれています。会社は3月決算のところが多いかもしれませんが、税務署は6月に事務年度が締まります。そして7月に引継ぎがあり、秋に調査がくるのが一般的です。9月、10月に調査がやってきて年末に修正をするケースが多いです。

また、たまに春に来る税務調査もあります。3月までは確定申告で税務署も忙しいためこの時期になるのですが、引継ぎの時期まであまり時間もないため、明らかに何か漏れている場合に来ることがあります。

■動画でわかる「【相続税の税務調査】概要とポイントを解説!~税務署から何をしに来るの?~」

辻・本郷税理士法人 シニアパートナー 税理士

山口 拓也

山口 拓也

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