小山田圭吾さんの問題からイジメについて鈴木おさむが思うこと 見て見ぬフリも罪

小山田圭吾さんの問題からイジメについて鈴木おさむが思うこと 見て見ぬフリも罪

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  • 更新日:2021/07/22
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放送作家の鈴木おさむさん

放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、イジメについて。

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イジメについて思うこと。以前、この連載でも書きましたが、小山田圭吾さんの件をきっかけに、過去のいじめのことがいろいろと書かれているので、今回、書きたいと思います。

僕が中学1年の時にクラスでいじめがありました。A君と言う男の子が、気づくと、ある日突然イジメられていました。プロレスごっこと言っては、背の高い生徒がA君に思い切りラリアットをしたり、A君の上に生徒が5人6人と乗ったり、2階の教室の窓際からA君を落とすふりをしてビビらせたり。ある生徒はバケツを持ってきてA君の葬式ごっこをしたり。

ある日、隣のクラスのB先生がいじめに気付きました。僕たちのクラスの担任は女性の先生でした。B先生はかなり気合の入ってる背のデカイ体育会系の先生。B先生は担任の先生じゃ手に負えないと思い、代わりに職員室に生徒全員を呼び出しました。

そこにはA君がいました。事前にA君から誰がどんなイジメをしたか細かく事情聴取していたのです。

最初に僕がみんなの前に呼ばれました。僕は学級委員長でした。B先生に呼ばれ「おさむ、お前学級委員長だよな?」と言われて、思わず僕は「僕はイジメしてません」と言ってしまったのです。僕はイジメには「参加してなかった」。だけどイジメには気づいていた。

するとB先生が言いました。「学級委員長でありながら、見て見ぬフリするのが一番の罪なんだよ!」と叫んで僕の右頬を強い力で張りました。先生の言うとおりだと思いました。

気づいているのに見て見ぬフリ。一番の罪。最低です。

そのあと、生徒が一人ずつB先生の前に呼ばれて、A君にしたイジメと同様のことを先生は生徒たちにしていきました。ラリアットをした生徒にはラリアットがどれだけ痛いものかをわからせるために、その生徒にラリアットをしました。吹き飛んでいきました。恐怖と罪悪感で、生徒全員が教室で泣いていました。

そしてイジメは止まりました。

僕は先生による体罰を推奨しているわけではないし、今の時代に体罰はダメです。

でも。うちのクラスでイジメが止まってから数か月後。他の学校でイジメられて、葬式ごっこを行われた生徒が自殺したというニュースが新聞に出ました。

それを見て、本当にゾっとしました。あの時、B先生が止めてくれなかったら、A君は自らの命を殺めてしまったかもしれないと。

今でも思い返すと汗が出る。もし、あの時イジメが止まらず続いていて、A君が亡くなってしまったら、僕らは一生その思いを背負って生きていかなければいけない。子供を抱いているときもそのことは胸によぎるはずなんです。

妻と結婚して19年。妻は学生時代にイジメを受けていました。芸人さんの中にはイジメを受けていたという人、たまにいます。そのイジメから抜け出すために、人を笑わせて芸人さんになった。芸人さんになってその話をしているから、傷は癒えているだろうと思う人も多いかもですが、僕は妻と結婚して気づいたのは、イジメられた側はその傷は一生残る。そして「イジメられた側は、イジメた人のことを一生覚えている」と教わった。

イジメが止まっても、傷をつけた人はずっとその人の心の中にも残る。

今回、小山田さんのことをきっかけに、改めてイジメについて考える人も増えているかもしれない。

イジメた方は忘れていても、イジメられた方はずっと覚えている。「いじめを見て見ぬフリした」最低の学級委員長のこともきっと覚えているだろう。

忘れてない。だから自分も忘れてはいけない。ずっと。

■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。毎週金曜更新のバブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」と毎週水曜更新のラブホラー漫画「お化けと風鈴」の原作を担当し、自身のインスタグラムで公開中。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。作演出を手掛ける舞台「もしも命が描けたら」が8/12~22東京芸術劇場プレイハウス、9/3~5兵庫芸術文化センター阪急中ホール、9/10~12穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホールにて上演。

鈴木おさむ

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