参院選 宮城選挙区に秘めたそれぞれの思惑 自民は3年後の連勝 立民は野党の大同団結

参院選 宮城選挙区に秘めたそれぞれの思惑 自民は3年後の連勝 立民は野党の大同団結

  • 産経ニュース
  • 更新日:2022/06/23
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参院選の候補者の演説に耳を傾ける人々=22日午前、仙台市青葉区(奥原慎平撮影)

参院選(7月10日投開票)が22日公示された。候補者5人が1議席を争う宮城選挙区は自民党現職と立憲民主党新人の対決が軸となっている。両陣営は候補者の当選を至上命令としながら、選挙後に照準を合わせた思惑も秘める。自民県連幹部は、次期参院選の内定者の知名度向上を並行させ、連勝を期す。立民県連の安住淳代表は次の衆院選を見据え、国会で溝が深まる野党の大同団結を図るための素地を作ろうとしている。

「しっかりとした陣立てができた。しかし、選挙は勝たねばならない」

22日朝、自民現職の第一声の場となった県庁前広場。必勝コールの音頭を取った県議の石川光次郎氏はこう声を張り上げた。

石川氏は無念を押し殺し、陣営の結束を働きかけてきた。

石川氏を巡っては、県連が昨年12月、参院選の公認を党本部に求める方針を決めた。ただ、現職も出馬の意向だった。共倒れを回避するため、党本部は4月の情勢調査で出馬の順番を決めるとし、結果、県連が後押しした石川氏は3年後に回ることになった。

現職は当時無所属で自民県連との関係が薄い。4月まで県連側と競っていた経緯もあり、県連には冷ややかな声も漏れていた。

情勢調査で敗れた石川氏は、現職と二人三脚の〝ニコイチ〟となって各地の会合を回る。「私の選挙だと思い、現職を支援してほしい」と党の決定に理解を求めている。

西村明宏県連会長が石川氏に対し、現職のサポートを依頼しており、西村氏は周囲に「石川氏が頭を下げないと、県連はまとまらない状況だった」と振り返る。

石川氏は県議当選5回。県連幹事長や県議会議長を歴任した。

一方で、全県的な知名度に欠く。県連には、石川氏が現職と県内各地の演説会場を回ることで、3年後の候補としての顔と名前を広め、自民の連勝につなげたい思惑もある。4月の情勢調査に向け、各地に掲示された石川氏と県選出国会議員らの2連ポスターは3年後まで撤去しない方針だという。

石川氏に誰よりも感謝しているのが現職だ。第一声の冒頭、切り出したのは石川氏への思いだった。

「石川氏が訴えてくれたからこそ、自民として一つにまとまれた。この選挙は3年後に石川氏が当選して完結する。そのために何としても勝利する」

立憲民主新人が22日に仙台市内で第一声を終えた直後。安住氏は記者団にヤレヤレといった表情で、こう語っていた。

「中央の政治状況が状況なだけに、宮城でどう態勢を構築するか。相当なエネルギーを使ったよ」

「中央」では国会対応を巡る野党の足並みが乱れ、平成27年成立の安全保障関連法案への反対運動に端を発した野党共闘にきしみが生じている。

先の国会で立民が提出した岸田文雄内閣への不信任決議案に共産党と社民党は賛成したが、日本維新の会に加え、国民民主党も反対に回った。れいわ新選組は欠席した。

立民と共産も距離が広がる。昨年10月の衆院選に合わせ、両党が合意した政権構想の枠組み「限定的な閣外からの協力」について、昨年11月に就任した立民の泉健太代表は「白紙」の立場を貫いている。

安住氏は宮城選挙区で、共産と政策協定こそ結ばなかったが、全面協力を得ている。中央の情勢が動くたびに、共産の地元幹部には経緯を説明し、信頼関係を維持しているためだ。

今回、国民民主は参院選で他党の所属議員に推薦は出さない方針。このため、安住氏は立民、国民民主の両党を支持する連合宮城に仲介を頼み、国民民主県連の支援を取り付けた。

安住氏は次期衆院選で、こうした「方式」を全国展開し、政権に対峙(たいじ)する大同団結を目指している。

立民や国民、連合などの地元組織が野党連携の枠組みを作る地域は山形や福島などにもある。一方、安住氏は野党連携の構想を描き、仕掛けられる数少ない野党議員と目され、立民幹部職員は「野党結集推進の絵を描ける人は安住氏以外にいない。うちは大局的に考えられる議員が少ない」と〝自虐的〟に解説した。

国民民主の参院選の結果次第で、岸田文雄政権と足並みを合わせつつある方針に連合が離反しかねない。日本維新の会も来春とされる松井一郎代表の政界引退後はスタンスが変わる可能性はゼロではない。なにより旧民主党出身者も少なくない─

安住氏は産経新聞の取材に、こうした情勢を説明した上で、こうつぶやく。

「維新から共産、れいわを含めて‥はあり得ないだろうが、一本化したら、自公は相当苦しい。それをいう位までやらないと、自民の壁を超えるのは容易ではない」

安住氏は無所属議員とも参院選を通じ、足並みをそろえようとしている。

今月18日、立民新人が仙台市で開いた決起集会には、水戸市を地盤とする無所属の福島伸享衆院議員が駆けつけていた。旧民進党出身で、国対で当時、安住氏と働いた緑で招かれたという。

「提案型野党がいいなんて、全く思わない。われわれは何のために国会にいるのか。野党政治家の役割は政権を奪い取るためだ」

福島氏は昨秋の衆院選で約4年ぶりに国政に復帰したが、野党連携のちょうつがい役になろうと政党には入らず、衆院会派「有志の会」で活動する。福島氏も宮城に招いた安住氏の意図を理解しているといい、周囲にこう語る。

「現状で野党再編はチマチマやっても無理。立民が代表選を繰り返しても小さくなるだけ。大胆にやらないと意味がない。維新にまで手を突っ込むことができるのは安住氏だけだ」

安住氏の〝策謀〟を成就させる上での第一関門は7月10日に控えている。(奥原慎平)

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