市川大祐はタジキスタン戦のSBをどう見たか? 山根、佐々木共通の課題は逆サイドからのクロス対応だ!

市川大祐はタジキスタン戦のSBをどう見たか? 山根、佐々木共通の課題は逆サイドからのクロス対応だ!

  • サッカーダイジェストWeb
  • 更新日:2021/06/10
No image

サイズもある左利きのSB小川。タジキスタン戦では多くの見せ場は訪れなかった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

No image

タジキスタン戦でスタメンの左SB佐々木(左)と右SB山根(右)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

タジキスタン戦は、各選手が一生懸命に自分の特長を活かそうとアピールしていましたが、連係やコミュニケーションのところも含めて少しスムーズにいっていないようでした。それぞれのプレーの状況と自分のやりたいことが、ちょっと合わないシーンが目立っていました。

では何が問題だったのか。私は現役時代、サイドバックを務めていたので、今回のSBの選手たちの気になる点を挙げてみます。

今の代表では長友佑都選手、酒井宏樹選手の能力、経験値が抜きん出ている状況で、「後継者は?」と聞かれても、パッと思い浮かばないのが率直なところです。今回招集された選手たちも代表の舞台に立てば、“ふたり”との差が見えるようになります。

まずは右の山根視来選手ですが、1点目、2点目、そして3点目の橋本拳人選手へのアシストと得点に絡むシーンは非常に良かったと思います。背後へのボールの質も非常に高く、FWの浅野拓磨選手や、ひとつ前の古橋亨梧選手の特長を生かすボールを出せていたのは、攻撃面での良い点でした。

一方で失点の場面ですが、まず自陣の右サイドでボールを奪われて、そこからクロスを上げられました。その場面で山根選手はクロスを上げられた瞬間に、中に素早くポジションを修正できていませんでした。

その後に左サイドまでボールが流れて、またクロスを上げられます。それに対して、山根選手のスライドが遅れていたので、中央で右CBの中谷進之介選手との間にギャップが出来ました。

そして自身の前に相手選手に入られて、ヘディングで合わせられるという失点でした。そのシーンでは、裏にもう一人相手選手が走ってきています。タジキスタン側は、もしも山根選手の前で合わせられなかったとしても、その背後でも合わせられるシーンになっていました。
この場面でのベストな対応としては、まず右サイドを攻められた際に素早くポジションを修正する。さらに左サイドからのクロスに対しては、マークしている相手よりも良いポジションで対処することです。

まず良いポジションを取っていれば、そもそも相手があそこまで入り込む選択や、意志を持てなかったかもしれません。だから、ポジショニングの遅れによって相手が走り込むスペースを作ってしまったとも言えるでしょう。

さらに走り込んでいた選手に対しては、古橋選手にコーチングしてマークに付かせるべきでした。自分でディフェンスしながらも、味方を動かすという複数のことを同時に行なう作業が、この場面では必要だったわけです。

結局、ポジションが遅れてしまったことで、自分のマークだけになってしまい、背後を見てはいても、古橋選手にコーチングすることまではできなかった。その結果、相手が入り込めるスペースができてしまい、相手に行けると思わせてしまった。そこが今回の失点の要因であり、修正するべき点でしょう。

また攻撃面では、左右両サイドに言えることなのですが、クロスが抜ける場面が目立ち、もったいなさを感じました。十分に人数をかけられる状況でもあったので、そこにもう一枚加われていればというシーンが目に付きました。

タジキスタンがかなり引いていて、押し込んでいる状況で、例えば、右サイドのクロスに対して、左の佐々木選手が、後ろに味方が残っている状況で、逆サイドのクロスに対して入っていけなかった。

相手が9枚、10枚引いている状況で、逆サイドのクロスに対してもう少し高い位置を取っていれば、セカンドボールを高い位置で拾えたり、押し込むチャンスをもっと作れたりできたのかなと思います。

センターバックやボランチがフォローできていれば、「もっと前に行け」とか「ゴール前に入れ」とか声掛けすることで後押しもできます。個人の判断と周囲とのコミュニケーションがあれば、より厚い攻撃に繋がるはずです。

山根選手は、Jリーグではどんどん中に入って行く動きを見せますが、今回は思い切り行くべきか、リスクを考慮すべきかのバランスなど、いろいろと考えすぎてしまったかもしれませんね。個人の状況判断と周りのコミュニケーションによって、質はもっと高められると思います。
佐々木選手が担う左サイドは、前半はなかなかひとつ前の原口元気選手とのコンビネーションが上手くいきませんでした。原口選手も目の前の選手との駆け引きに終始し、カットインからのシュートという意識はもちろんあったのですが、ちょっと顔の上がる瞬間が少なかった。

あそこで、目の前の相手だけでなく、ひとつ奥の相手とも駆け引きできていれば、佐々木選手の状況も変わったのかなと思います。タジキスタン戦での原口選手は、目の前の相手との1対1が非常に多かったので、周りの選手の動き出しが、難しくなった面はあるかもしれません。

佐々木選手もオーバーラップを仕掛けたりはしていましたが、原口選手とのタイミングがちょっと合っていなくて、効果的な攻撃参加は出来ていなかった。敵陣深い位置でクロスを折り返すとか、そういった持ち味を活かす攻撃参加を見せてほしいです。
後半途中から出てきた小川諒也選手は、ボールを受けて前のスペースがそこまで空いていなかったので、アーリークロス1本を上げて引っかかったくらい。もう少し前でプレーする機会を増やしたい。足もとで受ける機会が多くて、そこからひとつ前でのプレー、アタッキングサードに入るようなプレーをもっともっと増やしたかった。

多くの選手に当てはまることだと思いますが、代表に呼ばれている以上、プレーのクオリティはみなが持っています。その自分の特長をどこで活かすかというのがこれからは重要になるんじゃないでしょうか。

やはり代表で主軸となるような、南野拓実選手や鎌田大地選手はそういった、「いつ」「どこで」自分の力を発揮するのかが、よく分かっていたと思います。途中から出場した守田英正選手も同様です。

出場機会の少ない選手たちは、普段やっていない選手としっかりと話し合いをすべきです。どのタイミングでパスが出てくるとか、どのタイミングで上がるか、こんな場面でこの選手はこういうプレーをするという特長やクセを掴むなど、そういうところの意思疎通はここからまだまだ高められると思います。

次節のキルギス戦にはそこまで攻められるシーンがあるかは分からないので、守備面に関しては、その前のセルビア戦でどこまで守備を構築できるか。それぞれがどこまでやらないといけないのか、きっちりとディテールを詰めて、アバウトな部分を作らないという意思が重要になってくるでしょう。

【PHOTO】日本 4-1 タジキスタン|南野7戦連発弾!橋本・川辺の代表初ゴールなどもありアジア2次予選7連勝!

【著者プロフィール】
市川大祐(いちかわ・だいすけ)/1980年5月14日、静岡県出身。現役時代は日本代表の右サイドバックとして活躍したクロスの名手。1998年に17歳でA代表デビューすると、2002年の日韓W杯でも活躍sy。アカデミー時代から過ごした清水ではクラブ歴代3位となる325試合に出場した。2016年に現役引退後は指導者の道に進み、現在は清水エスパルスJr.ユースU-15で監督として活躍中。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加