グリーンオンしたときにタオルでボールを拭くことをやめた
新型コロナウイルスの流行をきっかけに屋外で密にならずに楽しめるゴルフが注目を集め、ゴルフブームが到来しました。その勢いはとどまることなく、2023年も加速しそうです。
一方で、ゴルフ場の来場者が増えたことにより、コースの渋滞が慢性化していることが議論の対象になっています。
初心者の増加が渋滞の原因だと指摘する声があります。確かに初心者は経験者に比べて打数が多いうえ、乗用カートの運転やリモコン操作も不慣れなためプレーに時間がかかります。でも、そのことを批判してもゴルフ界の将来のためにはなりません。
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多少の汚れはパッティングにほとんど影響がない!? 写真:unsplash
日本のゴルフ界は長年にわたって高度経済成長期にプレーを始めた団塊の世代(1947~1949年生まれ)が牽引してきましたが、この世代は2023年に74~76歳になります。その年齢になっても元気にゴルフをしている人たちはたくさんいますが、10~20年後もゴルフを続けているかと言えば、次第に数が減っていくのは間違いありません。
そうなると、この1~2年でゴルフを始めた人たちが10~20年後もゴルフを続けてくれるように、ゴルフの面白さとルールやマナーを伝えていく必要があります。
それを伝えるのは先輩ゴルファーの役目というのが昭和のゴルフの教えでしたが、今の時代は先輩からゴルフを教えてもらう人たちばかりではありません。その役目を担うのはゴルフ場だと感じています。
ところがゴルフ場は人手不足が深刻ですから、それどころではありません。渋滞の原因がいつまで経っても解消しないという悪循環が続いています。
スロープレーを解消するにはどんなことに気をつけたらいいのでしょうか。筆者は2021年に取材したプロゴルファーから聞いた話の中で、2022年から時間短縮のために取り入れていることが2つあります。
それはグリーンオンしたときボールを濡れタオルで拭くのをやめたことと、パッティングの際にグローブを外すのをやめたことです。いずれもステップ・アップ・ツアー(女子下部ツアー)に参戦している女子プロから聞いた話を参考にしました。
ステップ・アップ・ツアーは専属キャディを帯同することができず、1組3人の選手に対してハウスキャディが1人つくというのが基本スタイルでした。
それがコロナ禍でキャディの行動が制限され、選手のクラブやボールに触ってはいけなくなりました「今まではクラブを持ってきてくれたり、グリーン上でボールを拭いてくれたりしたのに、そういうことが一切できなくなったので、単なる乗用カートの運転手という感じ」とのこと。
そうすると選手はクラブを自分で持ち運びしなければなりませんから、ボールを拭くための濡れタオルまで持ち運ぶのはわずらわしく、ボールを拭かずにパットをするようになったそうです。
「ボールに泥がついていたら、グリーン周りのラフにこすりつけて落とします。それでも意外とキレイになります(笑)」
賞金がかかったプロの試合でもボールを拭かないのであれば、アマチュアのラウンドでボールを拭く必要はないのではと思い、それ以来ボールを拭くのをやめました。するとプレー時間が大幅に短縮されました。
ただし、年上の人とのラウンドで、その人がボールを拭くことを好む場合、自分が濡れタオルを使うかどうかにかかわらず持っていきます。また、同伴者が濡れタオルを持ってきてくれた場合はありがたく受け取ってボールを拭きます。
パッティングの際にグローブを外すのをやめるのも時短になる
ボールがグリーンオンしたらグローブを外して素手でパットを打つのも、プロがみんなそうしているから、アマチュアも同じようにしなければならないと思い込んでいました。
ところが女子プロはパッティングの際にグローブをつけたままの選手もけっこういます。その理由を聞いてみると「支障がないから」と極めてシンプルでした。そこでグローブをつけたままパッティングをしてみたところ、本当に支障がありませんでした。

グローブをつけたままパッティングをすることも、プレー時間の短縮につながる 写真:AC
パッティングのたびにグローブを着脱していると、自分の番が来て慌てて外したり、次のホールのティーイングエリアで慌ててはめたり、汗をかいていて着脱に時間がかかったりと、わずらわしさを感じていました。
今はスタートホールのティーショットから18番ホールのカップインまでグローブをつけたままですから(ハーフ休憩とトイレ休憩は外しますが)、グローブの着脱で時間をロスすることがなくなりました。
スロープレーをなくすには前の組と間隔が空きすぎないように適度な距離感でプレーするのが基本的な心構えですが、間隔が空いてしまってプレーのペースを速めなければならないときは、こういった手順をはぶいて時短につなげる方法もあります。
保井友秀