「ひざの痛み」にサプリメントは有効?【整形外科医が解説】

「ひざの痛み」にサプリメントは有効?【整形外科医が解説】

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2021/10/14
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「ひざの痛み」は放置すれば歩行困難にもなりかねない危険な症状です。初期から進行期であれば運動によって症状を改善させられますが、コロナ禍により身体を動かす機会がめっきり減ってしまったという人も少なくないでしょう。足を動かさなくなるとひざ周りの筋力が低下してしまい、関節の安定性が悪くなり、ひざの負担が増えて痛みが強くなるという悪循環に陥ります。ひざ痛が悪化しやすい状況だからこそ押さえておきたい知識を見ていきましょう。

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「ひざに溜まった水」は放置禁物だが…

Q1. ひざに水が溜まったら抜いたほうが良いのでしょうか?

⇒A. ひざに水が溜まった状態を放置しているとひざの曲がりが悪くなるうえ、大腿四頭筋が委縮してしまうという報告が出ていますので、放置するのは良くありません。

ただ、水を抜くときにはひざに注射針を刺すことから感染のリスクが高まるため、頻繁に抜くのも良くありません。水が溜まっていても生活に困らないという場合は無理に水を抜くことはありません。

何事も塩梅が大事で、水を抜くか抜かないかは患者さんの状態に応じて判断します。

<そもそも「ひざに水が溜まる」とは?>

関節液はひざの中で分泌と吸収を繰り返していますが、なんらかの原因で関節が炎症を起こすとそれを抑えようとして、関節液が多量に分泌されるようになります。また、変形性膝関節症などの疾患によって軟骨どうしがぶつかり合うことで、そのかけらが関節液に混じったときにも異物を察知し、洗い流すために関節液の分泌が増えることもあります。

こうして分泌と吸収のバランスが崩れて必要以上に関節液が増え、過剰分がひざに溜まった状態を「ひざに水が溜まる」といいます。

ひざに水が溜まると、関節内の圧力が高まって関節が不安定になります。また、関節液に圧迫されて血流が悪くなり、ひざの曲げ伸ばしをするたびに痛みが走るようになります。そのため、ひざを動かさないようにすることで筋力が衰えたり、血流がさらに悪くなったりします。すると、ますます関節が不安定になり、軟骨が破壊されたり炎症が起きたりします。それを察知して関節液がますます増える、という悪循環に陥る可能性があります。

「サプリでひざがラクになった!」はプラセボ効果

Q2. ひざに良いというサプリメントがたくさん出ていますが効果はありますか?

⇒A. サプリメントを飲用して軟骨ができるとか、痛みが治まってラクになるかというと、医学的には証明されていません。そもそも関節軟骨の中には血管も神経も通っていないので、飲んだサプリメントが食道・胃を通って腸で分解されて体内を巡り、それが関節の中にも入ってきたとして、軟骨にサプリメントの成分が届くとは考えられません。

確かに、グルコサミンやコンドロイチンは軟骨にとって良い成分ではありますが、それが関節の中に入る確率は非常に低いといえます。ただ、患者さんにとって「これを飲んでいるから大丈夫」という安心感が、プラセボ効果となって実際にひざの調子が良くなったと話す患者さんはいるのです。

今のところはサプリメントを治療に使うことはありませんが、科学的に有効性が明らかになれば、将来的に厚生労働省が薬として認めることとなると思われます。

ひざ治療の目的は「ひざの痛みを取ること」ではない

Q3. 処方された痛み止めで痛みが取れたら治ったということでしょうか?

⇒A. 痛みが取れることと、治ることは違います。痛みは、ひざの中で異常が起こっているのを知らせるサインではありますが、本当の原因は関節軟骨がすり減ったことなので、根本的な解決にはなっていません。

痛みをコントロールする目的は、痛みでひざを動かさなくなって筋力が低下し、症状が進行するという悪循環を断ち切るためなのです。したがって、痛みが取れたらひざを動かすようにしてひざの周囲の筋肉を鍛えるようにしましょう。

ひざ治療の最終手段は「人工関節」だが…

Q4. 人工関節をひざに入れる場合、金属アレルギーの人に影響はありますか?

⇒A. 手術前のアレルギー検査で金属アレルギーが判明した場合は、一般的な人工関節は使えないため、金属ではないセラミックなどの素材の人工関節を使うようになります。

Q5. 骨粗鬆症の人でも人工関節の手術はできるのでしょうか?

⇒A. 基本的に手術は可能です。手術前の画像検査や骨密度検査で、明らかに骨粗鬆症と分かる状態のときには、骨粗鬆症の治療を併用しながら手術を行います。また、術前の検査では大丈夫だと判断されたものの、手術中に思った以上に骨がもろくなっていることが分かった場合は、術式を変えるなどして慎重に手術を行うなど、臨機応変に対応しますので問題ありません。

Q6. インソール(足底板)を使用したほうがいいですか?

⇒A. 足底板(そくていばん)は靴の中に入れて使用するもので、足にあるアーチを足底板により調整し、足や体を効率的に働かせる作用があります。歩行や運動時の痛みを解消させるだけでなく、足がうまく機能することで、下半身のみならず上半身の動きを変化することもできます。体の使い方を変化させるので効率的な歩きやスポーツにおけるパフォーマンスの向上にもつながります。

私のクリニックでは入谷式インソールを取り入れています。これは単に足の形を採るだけでなく、解剖学、運動学を基に足や歩きを評価し、痛みの原因を解消するために、足をどのように誘導するのが最もいいかを確認しながら作成するものです。有資格者である理学療法士が作成し大きな成果を上げています。

人工関節は、患者によっては「再手術」が必要

Q7. 人工関節の耐久年数はどれくらいですか?

⇒A. 患者さんの生活スタイルによって変わってきますが、一般的には20~25年くらいといわれています。近年は人工関節の材質の改良や手術手技の向上によって人工関節の耐久年数が延びており、劣化による再手術の可能性は低くなっています。

しかし、60代で手術を行った場合は、計算上は再び手術が必要になる可能性があり、80代になったときに再手術となると体に負担がかかるため、体力や気力の面を考慮して慎重に判断する必要があります。

ただ、若い頃にケガをした人や関節リウマチなどで40~50代で手術を行うことがあり、そうなると高い確率で再手術が必要となります。

Q8. 人工関節を入れたときに日常生活で注意することはありますか?

⇒A. 退院してからしばらくの間は膝に強い負担のかかる動作は控えましょう。重いものを持ち運んだり、階段の上り下りなどをする際は手すりや杖を使用するのがいいでしょう。手術して3ヵ月も経つと多くの場合は日常生活動作に大きな支障は生じなくなります。それまでは無理せずにリハビリや運動療法を行いましょう。

痛みがなくなり、筋力も回復すれば軽めのスポーツは可能です。ゴルフなどを楽しむ方も少なくありません。ただ、テニスやスキーなど急に動いたり止まったりする動きは膝に大きな負担がかかりますので控えたほうが良いでしょう。

松田 芳和

まつだ整形外科クリニック 院長

松田 芳和

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