バルセロナ、最悪だった負け方。メッシ不調よりも深刻な問題とは? 優勝争いから脱落も...【分析コラム】

バルセロナ、最悪だった負け方。メッシ不調よりも深刻な問題とは? 優勝争いから脱落も...【分析コラム】

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  • 更新日:2020/11/22
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【写真:Getty Images】

右ひざ負傷のピケ、長期離脱は避けられず?

現地21日にラ・リーガ1部第10節が行われ、バルセロナはアトレティコ・マドリードに0-1で敗れた。この試合では結果以上に大きなトラブルが発生してしまった。それはジェラール・ピケの負傷である。もし長期離脱となれば、それはリオネル・メッシの不調以上に深刻な問題となるかもしれない。(文:舩木渉)

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まだシーズンの3分の1程度を消化しただけで気が早いかもしれないが、率直に言って、バルセロナのリーグタイトル奪還は相当に厳しいだろう。

10月の国際Aマッチウィーク直前にレアル・マドリードとのエル・クラシコを1-3で落としていたバルサは、その後徐々に復調傾向にあると見られていた。しかし、現地21日に行われたラ・リーガ第10節でアトレティコ・マドリードに敗れたことで、再び現実を突きつけられることとなった。

負け方も最悪だった。ラ・リーガの上位を争う戦いの中で、あのようなミスが2つ続けば簡単にゴールを割られてしまうのは明らかだ。

前半アディショナルタイムの48分、ハーフウェーラインを超えて前に出て相手の起点を潰そうとしたジェラール・ピケがアンヘル・コレアに入れ替わられ、さらにそれをカバーしようと飛び出してきたGKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンがコレアからのパスを受けたヤニック・フェレイラ・カラスコにあっさりかわされた。

もちろんカラスコは無人のゴールにシュートを流し込むだけ。この1点が勝敗を分け、0-1でバルサは敗れた。

さらに痛恨だったのは2人の負傷者が出てしまったことだろう。しかも、離脱者が出てはいけないポジションの選手たちである。

1人はセルジ・ロベルトだ。終盤にミドルシュートを打った直後、右足の付け根を抑えて顔を歪めた。すでに交代のタイミングを3度使っていたバルサは、1人分の交代枠を残していたものの、新たに選手を投入できなかった。

正確な診断はまだだが、バルサはクラブ公式ホームページを通じてセルジ・ロベルト が右太ももを痛めたと発表。貴重なマルチプレーヤーは数週間の離脱が見込まれる。ただ、彼に関してはセルジーニョ・デストもおり、しばらくは今季新加入の若手右サイドバックの起用で乗り切れるだろう。

より深刻な問題になりかねないのは、ピケの方だ。後半にジョルディ・アルバと衝突したコレアがピケの右足に倒れてきた。この接触でバルサのディフェンスリーダーは右ひざを痛め、交代を余儀なくされることに。こちらも正確な診断は検査結果を待ってから出るようだが、長期離脱は避けられそうにない。

地元メディアは「4〜6週間の離脱」と予想するところもあれば、一方で「半年以上の離脱」を危惧するところもある。いずれにしろ、ピケの負傷はバルサにとってリオネル・メッシの不調以上に大きく響くかもしれない。

バルサはCBの人材不足に喘ぎ…

そもそも今季のバルサはシーズン開幕当初からセンターバックの人材不足という大きな課題を抱えていた。

ひざに問題を抱えるサミュエル・ウンティティは復帰のめどが立っておらず、今季は一度もベンチ入りすらしていない。古巣復帰を熱望していたマンチェスター・シティのエリック・ガルシア獲得にも失敗し、信頼できるセンターバックはピケとクレマン・ラングレのみという状況だった。

Bチームから昇格したばかりながら控えの一番手だったウルグアイ代表のロナルド・アラウホも、現在は負傷離脱中。ロナルド・クーマン監督は「次の試合には間に合わない」と語っており、しばらく起用でいない見通しだ。

すると本職のセンターバックはラングレのみである。アトレティコ戦は途中からフレンキー・デ・ヨングがポジションを下げてディフェンスラインに入ったが、彼は本来セントラルMFの選手で、センターバックとして全幅の信頼を置くのは難しい。

Bチームが主戦場ながら今季は継続してトップチームの公式戦に帯同しているオスカル・ミンゲサも、ラ・リーガやUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の重要な試合で起用するには心もとない。

安部裕葵らと共にプレーするBチームの試合を見ると、いかにも「バルサ」なセンターバックという印象を抱くが、悪い言い方をすれば「バルサ以外では厳しい」というプレースタイルだった。ビルドアップ面の貢献度は高いものの、身長はそれほど高くなく、線も細いため対人戦で脆さを露呈する。現状ではラ・リーガ1部の下位クラブでも主力としての働きを任せるのは難しい。

クーマン監督がピケの負傷時に交代選手としてミンゲサではなくセルジーニョ・デストを呼び、デ・ヨングのポジションを1列下げさせたことも、ミンゲサに対する現時点でのチーム内評価を物語っているだろう。

バルサのセンターバック問題をより深刻なものにするのは、負傷離脱者の続出だけではない。現在クラブには意思決定の中枢を担い、今後数年間の指針を示していく存在でもある「会長」がいないことも補強全般に大きな影響を及ぼす。

ピケの離脱が深刻な問題になる理由

この夏に勃発したメッシの去就問題やルイス・スアレスの放出によって、ファンから猛反発を受けて不信任投票まで実施されようとしていた10月末、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は突如辞任を表明した。

加えて理事会も総辞職しており、現在はカルレス・トゥスケツ氏が暫定的に会長職にある。とはいえあくまで「暫定」であって、次の会長選挙は来年1月末に行われる見込み。それまでの空白期間にクラブとして大きな意思決定を下すことは難しい。

つまり冬の移籍市場でビッグネームを補強するのも困難な状況なのだ。

例えば来年夏にシティとの契約が満了を迎え、フリーでバルサに戻ってくるはずだったエリック・ガルシアを、予定前倒しで冬に獲得することも可能だろう。だが、そういった移籍取引の最終決裁権を持つ正式な会長がいないのである。

バルサは敗れたアトレティコ戦から、週2試合ペースで年末まで10連戦が組まれている。リーグ戦7試合、CLが3試合と重要な試合が続く。さらに年明けにはコパ・デル・レイも入ってくるだろう。

このシーズン中盤の過密日程をピケ抜きで戦うのは、自殺行為に近い。来年2月で34歳を迎えるベテランながら、いまだに圧倒的な存在感を放つディフェンスリーダーの長期離脱は最も避けたかったトラブルなのだ。

メッシは本調子に程遠く、大ブレイクの予感を漂わせていたアンス・ファティも長期離脱中。セルヒオ・ブスケッツはまもなく復帰予定とはいえ、ピケの負傷によって信頼できるセンターバックの頭数は明らかに足りなくなる。冬の補強もままならないとなれば優勝争いどころか来季のCL出場権確保も難しくなるような最悪の事態もよぎる。

ジョアン・フェリックスが絶好調でルイス・スアレスという新たな得点源も手にし、ポゼッションを採り入れた新しい戦い方をものにしつつあるアトレティコが、1試合消化の多い暫定首位のレアル・ソシエダに勝ち点差ゼロまで詰め寄っている。

最大のライバルであったマドリーも波に乗り切れない中、いまやアトレティコが今季の優勝候補本命と言っても過言ではない。バルサは8試合を消化して3勝2分3敗、たった11ポイントしか稼ぎ出すことができず暫定10位に沈んで上位争いから蚊帳の外に置かれている状態だ。逆風しか吹いていない。

この難局をクーマン監督はいかにして乗り切ろうと試みるだろうか。メッシとともに戦う最後の1年とも囁かれる今季、バルサはタイトルを争うどころか中位をさまよう泥沼にはまりつつある。

(文:舩木渉)

舩木渉

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