水辺の近くに住むことがメンタルヘルスや健康にメリットをもたらすとの研究結果

水辺の近くに住むことがメンタルヘルスや健康にメリットをもたらすとの研究結果

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  • 更新日:2021/05/03
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人口密度が高い都市の暮らしはメンタルヘルスに悪影響を与えることが知られており、都市には精神疾患の原因となり得るさまざまな環境要因があることもわかっています。こうした研究結果を受けて、近年では自然の中で過ごすことが心身によい影響を及ぼすと注目されていますが、新たな研究では「水辺の近くに住むこと」がメンタルヘルスにポジティブな影響を及ぼすことが判明しました。

Mechanisms of Impact of Blue Spaces on Human Health: A Systematic Literature Review and Meta-Analysis

https://www.mdpi.com/1660-4601/18/5/2486

Living near water can be beneficial to your mental health – here's how to have more blue spaces in cities

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https://theconversation.com/living-near-water-can-be-beneficial-to-your-mental-health-heres-how-to-have-more-blue-spaces-in-cities-150486

自然との触れ合いが健康や精神状態に与えるポジティブな影響が判明する中で、緑地にアクセスしやすい場所で育った子どもは精神疾患になりにくいという研究結果や、自然や公園の多い場所に住んでいると睡眠不足になりにくいといった研究結果も出ています。多くの研究が緑地に着目している一方、近年では「水辺の近くに住むこと」の利点についても注目が集まっているとのこと。

水辺と聞くと海に近い沿岸部を連想する人もいるかもしれませんが、内陸の都市であっても湖や池があるほか、運河や川という形で水辺に近接する都市も多数あります。そこで研究チームは、水辺に住むことが精神や身体の健康に及ぼす利点について調べるため、6つのデータベースから抽出した50件の研究について系統的にレビューとメタアナリシスを行いました。

分析の結果、家の近くに水辺がある環境は身体活動のレベルを著しく増加させ、人々の気分や心理的幸福を高める一方でストレスと不安を軽減することが判明しました。この研究結果は、水辺に住むことの影響を調べた過去の研究とも一致するものです。

また、VRを通じて構築した水辺の環境が人々に及ぼす影響を調査した研究では、人々がVR空間に再現された水辺について「元気が出る」「魅力的」「人工的に作られた環境より好ましい」と感じていることもわかっており、VRなどの最新技術を通じて水辺が影響を及ぼす可能性についても示唆されています。研究チームは次の研究分野として、水辺がどのように人々に影響を与えるのかを調査したいとしています。水辺は精神や健康によい影響を及ぼすだけでなく、気温の低下や大気汚染の削減といった方法で人間の問題を改善できるとも考えられているとのこと。

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多くの初期研究が水辺に住むことでもたらされる健康上のメリットを示していますが、都市が直面する問題は「どのようにして住民に水辺の環境を届けるのか?」という点です。多くの人々が沿岸部に移住することは現実的ではないため、研究チームはかつて都市をつないでいた「運河」を再生することに着目しています。

たとえば、イギリスの工業都市・バーミンガムには石炭輸送などに利用する運河が張り巡らされていますが、多くの場合は運河へのアクセスが高層ビルやフェンスで遮られていたとのこと。放置された運河はプラスチック廃棄物などの環境問題を引き起こし、生物多様性に害を及ぼす可能性も指摘されていました。

そんなバーミンガムでは、過去数年間にわたって市を挙げて運河の活性化に取り組んでおり、文化施設やスポーツ施設を運河周辺に配置するなど、運河に人を集める施策を行っているとのこと。このように見捨てられていた運河のネットワークを再生することで、健康や精神への好影響だけでなく、水位の制御や気候変動に対する都市の回復力も高めることができると研究者らは述べました。

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