セオリーを凌駕する的確な状況判断 「つながる猛虎打線」を象徴した糸原の適時二塁打

セオリーを凌駕する的確な状況判断 「つながる猛虎打線」を象徴した糸原の適時二塁打

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  • 更新日:2021/04/20

◇セ・リーグ 阪神10ー7ヤクルト(2021年4月18日 甲子園)

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<神・ヤ>3回無死一、二塁、阪神・糸原は左中間に適時二塁打を放つ(撮影・北條 貴史)

【畑野理之の理論】阪神打線の強さの一端が垣間見えた。1―0の3回無死一、二塁での糸原健斗の打席だ。考えられる作戦はバントで送って中軸に任せるか、それとも好調・糸原に賭けるか…。矢野燿大監督が選択したのは後者だった。一、二塁はバントには最も難しい状況で、しかも二塁走者が投手のジョー・ガンケルだったのも理由かもしれない。

右方向へゴロを転がせば少なくとも三塁には進められる…と考えるのがセオリー。しかし糸原はフルカウントからの6球目、やや外寄りの144キロ直球を左中間を深々と破る適時二塁打にした。強引に引っ張りにいかなかったことでビッグイニングになった。

初球の外角チェンジアップ(ボール)を見逃し、2球目の内角カットボールを空振りしたのをみても、最初は右方向へ意識があって「最低限の仕事はしよう」の意図はあったと思う。一方のヤクルト捕手・中村悠平も3球目以降はすべて外角に構えていた。三ゴロ、遊ゴロ、左飛で仕留めようとする狙いは予想通りだった。

03年につなぎの打線でリーグ優勝した時の島野育夫ヘッドコーチの言葉を思い出した。なぜ打線が驚異的につながるのか、のヒントだった。「例えば一、二塁では相手バッテリーは右方向に打たせたくない配球をしてくるやろ。そんなボールを無理に右方向に打とうとするから難しいんや。二ゴロを打って1死二、三塁にするよりも、大きく空いた三遊間を破ってヒットにした方がもっといいやないか」

中軸打者には自由に打たせていたが、7番矢野輝弘、8番藤本敦士らにも制限をかけなかったという。コースに逆らわずにヒットを打てと指示していた。その年に両選手とも打率が3割を超えていたのは無関係ではないはずだ。

もちろん結果的に相手の術中にハマってしまうリスクもある。打席の中で糸原がどれほど打球方向にこだわっていたかは明かしていないが、少なくとも仮に遊ゴロでも矢野監督から厳しく叱責される雰囲気はないと推測する。進塁打からの1点、2点…だけで終わらなかった。糸原が適時打で好機を最大限に拡大してから、打線がさらにつながり一気に5得点した攻撃は見事だった。

=敬称略=

(専門委員)

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