コロナ禍で5か月休業したホテルの従業員「休む良い機会だった」

コロナ禍で5か月休業したホテルの従業員「休む良い機会だった」

  • 日刊SPA!
  • 更新日:2020/09/17

新型コロナウイルスの影響でインバウンド業界は大打撃を受けた。ホテルもそのひとつだ。坂本さん(仮名)は、東京都内のホテルに勤務して約5年になる。以前は客の9割が外国人で、90%以上の稼働率を誇るホテルであったが、今年2月に入ってから客足が遠のき、上層部の判断で4月から8月まで丸々5か月間に渡って休業になったという。

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写真はイメージです(以下同)

ホテルはようやく9月から再開された。この間、ホテル従業員である坂本さんはどのように過ごしていたのだろうか。また、今後の見通しはいかがなものか。

◆保証や手当てが振り込まれたので「休む良い機会になった」

「最初はショックでしたが、保証や手当などで給料とそれほど変わらないお金が振り込まれました。ずっと働き詰めだったので、良い機会だと思ってゆっくりしようと。僕は小説も書いているのですが、それに時間を割くことができた。

また、上司の許可をもらってトルコに3週間、旅行に行っていました。宿は安いし、観光地はガラガラだし、すごく楽しかったですよ。ああ、もちろん帰国の際、成田空港でPCR検査を受けて陰性でしたし、その後2週間は自宅待機していました。僕の場合、独り身なのでなんてことなかったです」

コロナ禍での海外旅行については是非もあろうが、坂本さんにとっては良い休暇となったらしい。ともあれ、9月に入って坂本さんが勤めるホテルは再開されたが、今どのような状況になったのだろうか?

「僕は夜勤なんですけど、通常その時間帯は二人体制なんですよ。でも当面、日によってはワンオペです」

いくらなんでも夜22時から朝8時までワンオペはキツいのでないか。二人体制の場合は、交代で仮眠を4時間はとれたはずだ。

「いま現在、稼働率は5%程度なので楽だし、睡魔との戦いだけですね」

坂本さんは笑いながら言う。

◆新規採用はストップ、経費節減も

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だが、5か月間の休業中、ホテルの従業員は先行きが見えない不安に苛まれていたはずだ。退職や転職した人はいないのだろうか?

「うちのホテルでは辞めた社員はゼロです。待遇が良かったからなのか、外国人スタッフが多いからなのか、はっきりした理由はわかりません。みんな、僕みたいに5か月間ノンビリしていた人がほとんどで、一人だけ2か月間、地方の旅館に住み込みでアルバイトしていたようですね」

思ったよりも深刻ではないようだが、ホテルの経営的にはヤバイと思うのだが……。

「やはり大変ですよ。周りのホテルは閉めるところが多いし、うちはグループ会社なのですが、他の社員は別の系列ホテルにヘルプに行ったりしています。本社がお洒落な場所にある某有名オフィスビルから雑居ビルへ移転予定になったみたいですね。会社全体でも新規採用はストップし、新店舗の新規採用スタッフは自宅待機中になっています」

東京オリンピックを見越して宿泊施設を増やしていたのに、コロナのおかげで裏目に出てしまったといえる。だがホテルも生き残らないといけない。

「今のところ、9月の稼働率は2~5%。客は日本人か在住外国人のみです。経費節減のために毎日やっていた客室清掃は週1回まとめてやることになり、リネン(客室のタオルやシーツ)の回収・納品も毎日から週2回になりました」

◆最悪の状況は終わった

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ホテルが再開した初日は、手指の消毒用サーバーの設置、ソーシャルディスタンスの距離を示すシールを床に貼り付ける、フロントには飛沫感染防止のために透明のアクリル板を取り付けるなどの作業をしたという。

坂本さんはこのような状況下でも非常に明るく、未来に希望を持っている。他のスタッフも同様で、「すでに最悪の状況は終わり、あとは良い方向に向かうだけ。来年には外国人観光客も戻ってくるはず」と楽観的に見ているようだ。

「今から仕事に出かけますが、今日の客は2組だけなのでワンオペです。今回の新型コロナは仕方ないし、もっと苦労している人もいます。ホテルのほうは、タイと台湾との往来が戻れば光が見えてくると考えています。それまでは精一杯に頑張るしかないですね」

<取材・文/浜カツトシ>

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