入江陵介もレクチャー 日本競泳の飛躍には「ノウハウの継承」が重要

入江陵介もレクチャー 日本競泳の飛躍には「ノウハウの継承」が重要

  • AERA dot.
  • 更新日:2021/05/03
No image

平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長

指導した北島康介選手、萩野公介選手が、計五つの五輪金メダルを獲得している平井伯昌・競泳日本代表ヘッドコーチ。連載「金メダルへのコーチング」で選手を好成績へ導く、練習の裏側を明かす。第67回は、「ノウハウ」について。

【写真】2大会ぶりのメダルを目指す入江陵介選手

*  *  *

7月24日から競泳が始まる東京五輪まで3カ月を切りました。第1次合宿で始動した33人の五輪代表は、厳しい選考会を突破してきただけあって確かな自信を感じさせます。

第1次合宿の目的は、コミュニケーションを密にして、全体の把握と今後の日程を確認することです。五輪本番での出場種目の決め方など選手が知りたい情報をできるだけ伝えるようにしました。前回の五輪まで日程案などはヘッドコーチの私がほぼ作っていましたが、今回はリレーチームの強化など意識的にほかのコーチに任せる部分を増やすようにしています。

前回書いた通り、地元開催の東京五輪のレガシー(遺産)は「人」であるべきだと思っています。

「複数の金メダルと全員の決勝進出」の目標達成を目指して、チーム一丸で戦っていきます。そして地元五輪を経験した選手、コーチが中心となって、日本の競泳をさらに発展させていってほしい。五輪の後がとても大切です。今をピークにしたくはありません。

日本の競泳は2000年シドニー五輪以降、「常にメダルが取れる国」として世界に認められてきました。この流れを継承して、次の10年、20年でさらに強い国に発展していくために、東京五輪を飛躍のきっかけにしたい。

私たちの世代の指導者が築いてきた選手強化のノウハウは、人から人へ「移っていく」ものではありません。はっきりと意識して「移していく」ものです。

代表合宿のミーティングなどを通して、五輪の経験を積極的に次の世代に伝えていくつもりです。

キャプテンに指名した31歳の入江陵介は4大会連続の五輪代表です。東京五輪は08年北京五輪以来の午前中の決勝となります。18歳で出場した北京五輪200メートル背泳ぎで5位に入賞した入江は、チームの中で唯一、五輪の午前決勝を経験しています。代表合宿のミーティングで、そのときの経験などを選手に話してもらいました。

入江のように長く日本代表で活躍するベテランの存在はチームにとって重要です。練習への取り組みを間近に見ることで若手が学ぶべきことがたくさんあります。入江は12年ロンドン五輪で背泳ぎとメドレーリレーで銀2個、銅1個を獲得。2大会ぶりのメダルを目指して努力する姿を見ると、「メダルを取ってほしい」と思います。

五輪の大舞台でメダルを取るためには「周囲から応援されるような選手にならないといけない」と言ってきました。アテネ、北京両五輪の平泳ぎで2大会連続2冠の北島康介、バタフライ、リレー種目でリオ五輪まで3大会連続メダルの松田丈志ら結果を残した選手は、自分のために泳ぐことが自然とチームの雰囲気を良くして、鼓舞することにつながっていました。

「チームのために頑張ります」という段階はまだ発展途上で、それぞれが個人の目標を突き詰めていくことで、結果としてチームの力が上がっていく。それが競泳の目指すべき方向だと思います。

ジャパンオープン(6月3~6日、千葉県国際総合水泳場)の前に代表の2次合宿があります。それまで所属チームでの練習が中心になりますが、オンラインなどを活用してコミュニケーションをとっていきます。(構成/本誌・堀井正明)

平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる──勝負できる人材をつくる50の法則』(朝日新聞出版)など著書多数

※週刊朝日  2021年5月7-14日合併号

平井伯昌

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加