急成長のゲーム業界、ジェンダーバランスの改善が急務に

急成長のゲーム業界、ジェンダーバランスの改善が急務に

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2020/09/15
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ゲーマー人口の46%は女性が占めているが、ゲーム業界を牛耳る面々を見てもそれは分からないだろう。

ゲーム業界は、新型コロナウイルスの世界的流行によるロックダウンの影響で活気づいた産業のひとつだ。2020年の市場規模は1600億ドル(約17兆円)に達すると見られ、人知れず文化に多大な影響を与える存在になっている。予想市場規模は音楽や映画をはるかに上回るため、ゲーム業界のジェンダーに対する姿勢は私たちの将来に多大な影響を与えるようになるだろう。

筆者が最高経営責任者(CEO)を務める国際コンサルティング企業20-FIRSTがまとめた報告書「国際ゲーム業界ジェンダーバランス・スコアカード」2020年版では、ゲーム業界の経営幹部の大半を男性が占めていることが浮き彫りとなった。これを考えると、ゲームの世界ではセクシーな女性と筋骨隆々の男性という露骨なステレオタイプが標準となっていることも不思議ではない。

大手14社の経営陣144人のうち、男性は121人で、女性はわずか23人だった。女性経営幹部の割合は16%で、ゲーム人口全体の女性比率を大きく下回っている。

中国の習近平国家主席は「オンライン依存や流血、虐殺、胸や尻に対する取り締まり(女性アバターの肌の露出度を制限する規制もある)」(英紙エコノミストより)を進めているものの、ゲーム世界に根付いたジェンダーのステレオタイプは巨大な中国市場を含む世界中に影響を及ぼすだろう。映画業界ではジェンダーバランスの取り組みが始まったばかりだが、今度はそれに代わってゲーム業界が文化を決定する支配的地位に立とうとしている。

大手14社のうち、ジェンダーバランスの取れた企業はグーグルのみだった。同社経営陣の男女比は男性が59%、女性が41%。女性がCEOを務めるのはワーナー・ブラザース・エンターテインメントのみで、同社経営陣の9人が男性、アン・サーノフCEOを含む4人が女性だ。しかしグーグルとワーナー両社の事業や収益にゲームビジネスが占める割合はわずかであるため、両社のジェンダーバランスは業界全体に影響を与える可能性は低い。

男性の比率が最も高いのはアジア企業だ。日本企業がこの点で後れを取っていることは驚きではない。一方の中国では、テック企業の女性経営幹部の割合が米企業よりも大きい傾向にあるが、ゲーム業界は例外となっている。ゲーム業界をけん引し、最大の市場シェアを占めるアジア太平洋地域の状況は憂慮すべきであり、より大きな注目と懸念を集めてしかるべきだ。

トップ14社のうち、経営陣に女性が一人もいない企業は中国のゲーム大手テンセント(騰訊)を含め5社あった。これがなぜ問題なのかというと、ゲームでの女性と男性のユーザーの好みが異なるからだ。男性はシューティングゲームを好み、女性は戦略ゲームやシミュレーションゲームを好む傾向にある。

女性幹部のいない企業では、女性消費者を理解しようとする能力や関心が企業文化によって妨げられている可能性がある。だが、ゲーム市場が爆発的な成長を遂げている今、こうした企業は果たしてジェンダー問題を気にかけるだろうか? ロックダウンでテレビの前に延々と座るようになった数十億人が、数十年前に脱却したはずのステレオタイプにどっぷりと浸かることを、私たちは気にかけるだろうか?

この巨大業界は密かに文化の主要な担い手になりつつあり、今後は広く世界的な影響力を持つようになるだろう。映画業界では作品内のジェンダーバイアスを測る「ベクデル・テスト」が役立ってきたが、映画よりもはるかに広く普及しているゲームにはまだ十分な注意が向けられていない。今は、私たち全員が画面に映るものについて、そしてゲーム企業の経営陣についてもっと関心を寄せるべき時にある。

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