
"「平和の礎」に刻まれた約24万人の犠牲者名を読み上げる取り組みが12日から続いている。「慰霊の日」の前日には、沖縄県内の高校生たちが礎の前に立ち、名前を読み上げた=2022年6月22日午後4時56分、沖縄県糸満市の平和祈念公園、吉本美奈子撮影"
沖縄は23日、沖縄戦の戦没者らを悼む「慰霊の日」を迎えた。今年は「平和の礎(いしじ)」(沖縄県糸満市)に刻まれた、犠牲者全ての名前を読み上げる取り組みが行われ、12日間にわたった24万人以上の名の読み上げがこの日午前に終わった。
私たちはまだ沖縄戦を知らない 報道の空白と教科書から消えた記述と
主催は県民らでつくる実行委員会。戦争体験者や遺族が高齢化するなか、戦争の記憶や慰霊の場を引き継ぐための新たな試みとして企画した。
礎に刻まれた戦没者は、今年追加刻銘された55人を含めて24万1686人。出身地は沖縄や日本全国、米国、英国、朝鮮半島などに及ぶ。
実行委によると、保育園児から80代以上の戦争体験者らが参加。米国やアイルランド、コロンビアなど海外からの参加者もいた。
あらかじめ戦没者名簿と配信時間を各参加者に割り当て、12日から毎日午前5時~翌午前4時半、それぞれが自宅やカフェ、学校などからオンラインで、1人あたり10~500人程度を順番に読み上げた。
22日からは平和の礎がある県平和祈念公園で夜通し読み続けられた。参加者は1500人以上、合計時間は約250時間にのぼった。
実行委の町田直美さん(65)は「ウクライナ侵攻もあり、平和について改めて考えなければいけない時期。名前を読み上げ、亡くなった人を悼み、戦争の悲惨さを感じるきっかけにしてほしい」と語る。(西岡矩毅)