<平生 長夏を畏(おそ)れ、一念 清秋を願ふ>...

  • 西日本新聞
  • 更新日:2020/10/18

<平生 長夏を畏(おそ)れ、一念 清秋を願ふ>。長くて暑い夏はうんざりだ、早くすがすがしい秋にならないかなあ-と詠んだのは中国・南宋時代の詩人楊万里

▼待ちわびていた秋の到来。うれしいけど、ちょっと寂しげでもある。さて、何をしようか。詩人はこう続ける。<書冊 秋に読むべく、詩句 秋に捜すべし>。古来、秋の夜長は灯火の下で本に親しみ、創作に励む時候だったのだろう

▼「読書の秋」の声を聞くと、自然と足は書店へ。気になっていた本を探したり、思いがけない新作に出合ったり。スマホの画面とにらめっこばかりという人も、ぜひ秋の「読活」を

▼けれど、本をただ読むだけではだめ、と言った人もいる。ドイツの哲学者ショーペンハウアーだ。著書「読書について」の中で<読書するとは、自分でものを考えずに、代わりに他人に考えてもらうことだ>

▼<生徒が習字のときに、先生が鉛筆で書いてくれたお手本を、あとからペンでなぞるようなものだ>とも。本から得た他人の知識で分かったような気になるのは、むしろマイナスだというのだ

▼知識は書物よりもネットで、という昨今の風潮。そこには玉石混交、真偽不明の情報があふれている。他人の考えをうのみにして事実無根の情報を発信すれば、デマや中傷になりかねない。「まず、自分の頭で考えよ」。先哲が残した読書の心構えは、現代のネット社会でより重く響く。

西日本新聞

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加