生田絵梨花と松村沙友理「からあげ姉妹」ペアPVがもたらしたものとは【乃木坂46「個人PVという実験場」第20回2/4】

生田絵梨花と松村沙友理「からあげ姉妹」ペアPVがもたらしたものとは【乃木坂46「個人PVという実験場」第20回2/4】

  • 日刊大衆
  • 更新日:2021/06/10
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松村沙友理

乃木坂46「個人PVという実験場」

第20回 音楽作品と個人PVとのリンク 2/4

先週更新分でみた『孤独兄弟』や『制服のマネキン』は、楽曲MVの世界観を個人PVへと派生させ、「乃木坂46の映像作品」という豊かな土壌の中で自在に文脈を紡ぎながら遊んでみせるものだった。湯浅弘章が監督を手がけ、MVから個人PV、ペアPVへとドラマを接続させた『無口なライオン』三部作もまた同様といえる。

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生田絵梨花松村沙友理の「からあげ姉妹」

他方、その逆のベクトル、すなわち楽曲MVから個人PVへ派生するのではなく、個人PVの自由度ゆえに生まれたささやかなアイデアが、やがて楽曲へ、また継続的なユニットへと発展したのが、生田絵梨花と松村沙友理による「からあげ姉妹」であった。

https://www.youtube.com/watch?v=7DyO91jUvX4
(※生田絵梨花個人PV「からあげ姉妹(Ⅱ)」予告編)

10枚目シングル『何度目の青空か?』に収録された生田絵梨花および松村沙友理の個人PVでは、二作品ともに月田茂、山本篤彦、柴谷麻以らがクリエイションに参加し、双方の世界観をつなげてコラボレーションしている。

かたや祖父への思いやりを託した物語に仕上げ、かたや調理レシピを即席のラップ調にのせたそれら二つの作品は、いずれも個人PVと好相性のオフビート感を生んでいる。そして、ラストは両作品共通して、二人が歌い踊るオリジナル曲『食物連鎖』で締めくくられる。

この個人PVを起点に生まれた「からあげ姉妹」が、のちに乃木坂46の楽曲を担当するユニットに発展し、さらには「からあげ姉妹」名義で外部へと越境してTVアニメ『ポケットモンスター』のOP楽曲『1・2・3』を担当するに至るまでのストーリーはつとに知られている。

https://www.youtube.com/watch?v=ThUatkJODZM
(※からあげ姉妹「1・2・3」MV)

もっとも、10枚目シングル時点ではまだ継続性のあるユニットとして目されていたわけではなく、二人のコラボ楽曲も個人PVに頻出するノベルティソングのひとつという趣きが強かった。

■ノベルティソングから本格化

他方、基本的にメンバーそれぞれに独立した映像が制作される個人PVにあって、別々のメンバーの作品が世界観を通底させてコラボレーションするという着想は、次作11枚目シングル『命は美しい』で初めて試みられる「ペアPV」への助走ともいえるものだった。「からあげ姉妹」のみならず、この10作目シングルでは白石麻衣の個人PVにも、秋元真夏の個人PVとのコラボをみてとることができる。

そして、初のペアPV制作となったシングル『命は美しい』では、満を持して生田と松村のコンビで、再度月田、山本、柴谷が手掛ける「からあげ姉妹」の続編が制作される。

https://www.youtube.com/watch?v=qFfhLWnnWQg
(※生田絵梨花・松村沙友理ペアPV「からあげ姉妹(Ⅲ)(Ⅳ)」予告編)

前回の二作品がもつオフビートな雰囲気は保ちつつ、ここで幾分ドキュメンタリー風味に追尾されるのは、二人が身の回りの小物を使って音を鳴らし、それらをサンプリングして重ねてゆきながら、次第に独特のビートを生み出していく過程である。

それら一連のプロセスを経て、ラストに新たなオリジナル楽曲『サイダー』が披露されるに至る流れは、「からあげ姉妹」のユニットとしての性格を強めるものとしてある。幾年にもわたるユニットとして定着するうえで、このペアPVが果たした中継点としての役割は小さくない。

■日常の「音」をサンプリング

また、本作では二人が夜の公園などで音を鳴らす様子がややシュールな画とともに収録され、音声と同時に映像もサンプリングで重ね合わされることで、独特の空気感を生んでいるが、こうした日常の何気ない音/映像を収集し重ねていく過程は、個人PVの自由度および尺の長さとそもそも相性が良いようだ。

二度のペアPV制作を経たのち、13枚目シングル『今、話したい誰かがいる』で再度個人PVが制作された際には、永島聖羅の作品(監督:三枝友彦)でも同様の試みが行なわれている。

https://www.youtube.com/watch?v=0LXWjZolZyI
(※永島聖羅個人PV「永島聖羅」予告編)

やはりこの作品でも、永島が立てる日常音をもとにして、サンプリングを重ねていく。やがて楽器の音にサポートされるようにしてトラックが出来上がると、クライマックスでは永島が8小節のラップを披露して作品を締めくくる。

ハシダカズマ(箱庭の室内楽)が作曲し、当時lyrical schoolのマネージャーやDJを務めていた岩渕竜也が作詞した一曲は、乃木坂46楽曲と大きくテイストを異にしているのはもちろん、従来の個人PVにみられる楽曲とも手触りの違う、特有の空気をまとっている。永島にとってグループ在籍中最後の個人PVとなったこの映像は、音楽系の個人PV群にも一風変わった広がりをもたらしている。

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香月孝史

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