企業も世界一「長寿大国」のニッポン。100年以上の歴史がある会社は3万3,000社以上も【国際金融ストラテジストが解説】

企業も世界一「長寿大国」のニッポン。100年以上の歴史がある会社は3万3,000社以上も【国際金融ストラテジストが解説】

  • 幻冬舎ゴールドオンライン
  • 更新日:2022/09/23
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世界経済は大きく変動し、日本で長らくつづいた「デフレ」の時代は終焉、インフレと円安が同時に進行する時代が到来しました。シティバンクの東京支店及びニューヨーク本店の要職として活躍した、香港在住・国際ストラテジスト長谷川建一氏の著書、『世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書』(扶桑社)から一部を抜粋し、世界の富裕層を取り巻く経済環境変動と彼らの海外投資術を解説します。

香港、シンガポールには「相続税」が存在しないが…

日本は社歴1,000年以上の会社が7社もあり、100年以上の社歴がある会社が3万3,000社を超える世界一の“長寿企業大国”です。一方で、人口が14億人もいる中国には100年を超す長寿企業は非常に少なく、香港を含めても社歴世界トップ10に入る長寿企業は見当たりません。

そんな中国ですが、中華圏の富裕層の間では、現在、事業・資産承継への関心が高まっていると言われています。特に、事業をどう承継するかは、彼らの最大の関心事になっています。

● 中国のことわざには富不過三代

● 西洋のことわざにClogs to Clogs in three generations

というものがありますが、これは「初代が築き上げた資産は3代目まででなくなる」との意味で、奇しくも同じことを意味しています。やはり、事業や資産の承継は大きな悩みの種なのです。

日本では最大55%にもなる相続税と贈与税ですが、香港やシンガポールなどでは相続税や贈与税は課されません。これらの国・地域では相続税や贈与税が課せられず、富を引き継ぐことに政府が関与しません。

したがって、資産そのものの承継は大きな問題にならないのです。それにもかかわらず、3代目以上にわたって富や事業が続くことは稀であるというのは、どういうことなのでしょう。

アジアの富裕層ファミリーを観察してみると、相続税の有無ではなく、もっと別の次元で資産承継の問題に取り組んでいることが見えてきます。

日本と毛色が異なる中国圏富裕層のファミリービジネス

香港を含む中華圏富裕層の第1世代の頃は、家族が主体となって経営してきたファミリー経営でビジネスでの成功を収めるケースが多くあります。

しかし、ビジネスの規模を拡大する過程で、事業の多角化や国際展開に向かい、家族ではなく組織としてのビジネスに成長していきます。この段階にいたると、事業を創業した家族は、企業や財閥を運営する事業家ファミリーへと変貌を遂げることになります。

第1世代は、出身国や地域の中で成功を収めて富を築いたケースが多いのですが、第2世代、第3世代になると、国外での留学や就学の機会を与えられ、国や地域にとらわれずに学び、生活も営むようになり、結果として海外に出て事業などを立ち上げるケースが増えています。

特に、ミレニアル世代(1980年から1995年の間に生まれた世代)の富裕層の承継者は、成長に伴って起業家精神が高まり、投資とともに新しい事業を立ち上げる傾向が強く見られます。

最近の中華圏富裕層ファミリーでは、「2世」といわれる創業者の次の世代の80%が「ファミリービジネスを承継したいと思っていない」という調査結果も出ています。

多くの「2世」たちは欧米での勉強の機会を与えられることが多く、そこで西洋的な考え方を身につけ、結果として自分の力で欧米の企業に勤務したり、起業したりする機会を見つけたりして、ファミリービジネスからむしろ遠ざかってしまうのです。

ファミリービジネス承継を望まない、現代的な2世の姿

『クレイジー・リッチ!』(原題:“Crazy Rich Asians”)という、シンガポール中華系大富豪を題材にした映画があります。

この映画に登場するシンガポール中華系大富豪の御曹司は、ニューヨークに留学し、そこでアメリカのライフスタイルやビジネススタイルに惹かれ、ファミリービジネスには戻らないと言い始めて、ファミリー内でのドタバタ劇が展開されるというストーリーです。

この映画では、息子に事業を承継して欲しい家族や家長と、ファミリービジネスには縛られずに自分の道を進もうとする次世代との葛藤が描かれていました。

富裕層ファミリーは子どもの教育に熱心で、教育には投資を惜しみません。創業者は不幸にして学業を諦めた人も多く、教育を一番の子どもへの投資と考える傾向が強く出ています。

少しでも幅広い経験を積ませようと、早くに国外に出して教育を受けさせようとする傾向もあります。

一方で、より国際的な環境や多様性に触れ、合理的な発想に慣れ親しむ機会を得た次世代は、先代とは異なる発想や考え方をするようになります。

「次世代」にとっては、先代には敬意を払いながらも別のビジネス機会への憧れを抱くようになり、世代間のギャップを生じさせるという結果に陥ることも多いようです。

筆者は、アジアにあるボーディングスクール(全寮制の学校)を訪問して、実情を見たことがあります。そこに集まるアジアの富裕層の子息の数には、大変驚きました。

日本人の子息は少数ですが、中国人は華僑系も多くいますし、中国本土から来た子息がやはり多数を占めます。まだ、あどけなさの残る小学生でも、寮生活をするという現実は複雑な思いを持ちましたが、それだけ本当に教育への関心が高いことには感心しました。

十数年後には、彼らもまた承継・後継問題の渦中にいることになるのでしょう。

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO 国際金融ストラテジスト

長谷川 建一

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