なぜ沖縄で新たな国際映画祭を作るのか?「Cinema at Sea」映画祭・黄インイク氏が語る新しい価値

なぜ沖縄で新たな国際映画祭を作るのか?「Cinema at Sea」映画祭・黄インイク氏が語る新しい価値

  • WEBザテレビジョン
  • 更新日:2023/11/21
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※提供写真

映画監督でもあり、Cinema at Sea-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル エグゼクティブ・ディレクターの黄インイク氏

「第一回 Cinema at Sea-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」がいよいよ11月23日(木・祝)に開幕を迎える。環太平洋地域の海や島をテーマにした作品が沖縄・那覇市の複数の会場で上映される、今年スタートする映画祭だ。台湾出身の映画監督であり、本映画祭のエグゼクティブディレクターを務める黄インイク氏に、なぜ新しい国際映画祭を作ったのか、なぜ沖縄の地なのか、映画祭への想いを語ってもらった。

2018年から続けて今年規模を拡大

――新しい映画祭、「Cinema at Sea-沖縄環太平洋国際フィルムフェスティバル」を作ろうと思ったのはいつ頃で、作るきっかけとなったことは何だったのでしょうか。

元々ドキュメンタリーの制作をしていたのですが、2018年に、石垣島で音楽祭を主催していたリゾートホテルの方から「ビーチで映画祭をやってみたい」と相談があったことがきっかけです。

2019年11月にプレイベントとして、小規模の野外上映イベントを4日間にわたって行いました。石垣で映画祭をやるならと、<航海民族><島のアイデンティティ><海を通して島々をつなぐ>といったコンセプトを考えて、メンバーを集めました。その時のメンバーが中心となって今に至ります。

コロナ禍になって一度は途絶えてしまいましたが、中心メンバーは続けていきたい想いがあり、2021、2022年の11月にも小さく開催を続けていました。2023年の今年は沖縄に観光がもどってほしいという気持ちもあり、NPOを改めて設立し、今年は石垣ではなく沖縄本島(那覇)での開催を決めました。2018年にスタートした小さいイベントを発展させたのが、Cinema at Seaなのです。

将来的には、フェスのような楽しみ方ができる映画祭にしていきたい

――「Cinema at Sea」だけでしかできない体験とはどんなものでしょうか。

沖縄には大小様々な映画祭がありますが、その中でも国内外の映画人が集まる本格的な国際映画祭を目指したい。環太平洋地域の日本未発表作品を上映する、映画業界にとっても意味のあるものにしたいと考えています。

開催は11月末です。2023年のラストシーズンであり、旅行も合わせて楽しめる映画祭であると思います。将来的には、沖縄の地を活かして、ビーチ、キャンプ、BBQなどアウトドアアクティビティや音楽ライブも取り入れて、アウトドアフェスのような楽しみ方ができる映画祭に育てていきたいですね。今年の野外上映はあざまサンサンビーチで行い、11月24日(金)に『大海原のソングライン」、25日(土)には『一秒先の彼』を上映します。

VRの最新技術に触れることができる

――黄監督の出身国である台湾サイドからの期待もありそうですが、そのほか、外国からどのような期待の声をいただいていますか。

台湾はVR映画文化と技術が発達しています。映画祭でVR部門がまだ少ない理由には、機材や費用の問題があり、先端技術を体験いただくハードルが高いのです。今回「Cinema at Sea」では、VR機器でアジア最大シェアで世界2位のメーカー・HTC社さんの全面協力を得ているので、機材も台湾から運んできています。台湾と距離が近いのも沖縄を会場にした利点でした。総合的な映画祭でVR部門があるのはまだ珍しいと思います。

――VR映画を扱うのが本映画祭の特徴のひとつなのですね。

大きな国際映画祭にはVR映画部門があり、特にヴェネチア国際映画祭が有名ですね。カンヌ映画祭の併設マーケットもXR部門がありますがまだそこまで有名とは言えないです。VRの技術は毎年革新されていて、スマートフォンよりも早いスピードで進化しています。毎年飛躍的に技術革新されているので、映画祭で取り入れるのはとても複雑で困難なんですね。

「Cinema at Sea」は、「フェス的な楽しみ方」ができる一方で、「VRの最新技術にも気軽に触れてもらえる」のが特徴だと思います。日本未公開映画を多数上映するので、映画ファンの方はもちろん、映画を普段ご覧にならない方でも、気軽に遊びにきていただきたいですね。26日(日)にはVRの最先端のプロを招いた「VRフォーラム」(会場:那覇文化芸術劇場 なはーと)も実施予定です。

映画が観光に、観光が映画につながる映画祭にしていきたい

――今後、映画祭を大きくしていくために、どういった課題がありますか?

まず資金面です。まだ不足していますので、出資・協賛を増やさないといけないですね。そのためにも、市町村とも協力しながら「公共性」がある映画祭にしていかなければならないですね。

日本語、英語、中国語の3言語で世界に発信していますが、沖縄の地まで足を運んでいただくハードルはありますが、「映画祭に行きたい」「沖縄に行きたい」という想いが相乗効果となって観光にもつながればいいなと。今年の第一回は、那覇市に共催をいただいていますが、地元の方にも楽しんで参加いただいて、広げていきたいですね。

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