ハワイが挑む日本人旅行者復活への取り組みをホノルル現地で取材した、旅行中にコロナ感染した時の措置も

ハワイが挑む日本人旅行者復活への取り組みをホノルル現地で取材した、旅行中にコロナ感染した時の措置も

  • トラベルボイス
  • 更新日:2022/06/23

ハワイ州観光局が、2022年6月6~8日ホノルル市で日本の旅行業界向け商談会「ジャパンサミット」を開催した。そこでは商談会のほか、日本の海外旅行市場の回復に向け、現地の観光関係者が日本の旅行会社向けに各種の情報提供を行った。ハワイの旅行市場や最新事情、今後のプロモーションの方針や課題など、その内容をレポートする。※写真は改装を終えたコナ空港(ハワイ島)

コロナ期は米国市場が落ち込みをカバー

ハワイ州観光局(HTJ)日本支局長のミツエ・ヴァーレイ氏は、現在のハワイの旅行市場について説明した。2020年10月にアメリカの国内旅行再開後、アメリカ本土からの旅行者が順調に戻り、コロナ前の2019年と比較して遜色ないところまで旅行者数が回復している。リピーターに加え、リベンジ旅行で初めてハワイを訪れる旅行者も多く、2021年5月以降は毎月、2019年を上回る状態が続いている。ホテルの稼働率もほぼ回復しており、客室単価においてはコロナ前を越えている状況だという。

一方で、日本市場はまだ動きが小さい。2019年にハワイを訪れた日本人旅行者は約157万人を数え、ハワイの旅行者総数の15.39%を占める国際市場最大のマーケットだったが、2021年は約2万4000人まで減少。隣島においては、もともと日本人のシェアが低かったため(ハワイ島は10%、マウイ島、カウアイ島は各2%)、その減少分をアメリカ人旅行者がカバー。日本人のシェアが25%を占めていたオアフ島では、日本人客向けのサービスを提供する観光事業者が多いこともあり、日本市場の回復が急務となっている。

日本では4月にJATA(日本旅行業協会)視察団のハワイ渡航が大きく報道され、また入国時の水際対策も徐々に緩和されてきたことから「海外旅行再開」のムードが醸成されつつある。加えて8月にはJAL、ANA、ハワイアン航空(HA)がハワイ路線を拡充し、航空座席供給数も格段に増えることから、急ピッチでハワイ旅行の需要を回復させる必要もある。

「今年4月にハワイを訪れた日本人旅行者は6749人だったが、ゴールデンウイーク期間だけで6571人がハワイを訪れている。まさに、ここからが日本マーケットのリカバリー。HTJでもイベントやあらゆるメディアでの露出を行い本格的なキャンペーン、プロモーションを展開していく。旅行業界の皆さまと一丸となって頑張っていきたい」(ミツエ・ヴァーレイ日本支局長)。

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ハワイ州観光局 ミツエ・ヴァーレイ氏

8月の成田/コナ線再開に期待、コナ空港が改装

元々、アメリカ人旅行者にはオアフ島を離れた隣島の人気が高く、なかでもマウイ島はアメリカ人旅行者のシェアが高い。だが、コロナ後に最も早くアメリカ人旅行者が戻ってきたのはハワイ島だったという。ハワイ島観光局のロス・バーチ局長によると「特にコハラ地区においてホテルのリノベーションや新しいプロダクトが増えていたため、それらのプロモーションと旅行者が戻る時期が重なり、相乗効果が得られた」。

また、コロナで利用者が激減している期間にエリソン・オニヅカ・コナ空港のリノベーションが始まり、2021年9 月に新設エリアがオープン。コロナ禍のロックダウン期間を有効に使えたという。

同空港のリノベーションでは税関施設を改良。入国時の顔認証システムが導入されたほかバゲージクレームも新しくなり、利便性がアップした。また新たに空港の3レター「KOA」のモニュメントが設置され、ターミナルを繋ぐ部分には、ハワイ文化に根付いた壁画が設けられるなど、旅行者に好印象を残す仕掛けが施されている。

「さらに新設されたゲート11は周辺の風景と馴染むよう全面ガラス張りのデザインで、サンセットの時間は素晴らしい眺めが楽しめる。また飛行機からタラップを降りてターミナルに進む点は変わっておらず、コナ空港独特の素朴な雰囲気も残されている」(ロス・バーチ局長)。

8月3日から再開を予定しているJALの成田/コナ線にも期待が高まる。「島をあげて日本との直行便の再開を歓迎している。アメリカ人のリベンジ旅行の需要は徐々に落ち着きを見せているため、夏以降に日本人旅行者が戻り、バランスのよいマーケットになることを期待したい」とバーチ局長。ちなみにハワイ火山国立公園では火口にマグマが上がった状態が続いており、バーチ局長曰く「史上最高の条件で火山の見学が楽しめる」そうだ。

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ハワイ島観光局のロス・バーチ局長

「第50回ホノルルマラソン」、従来の規模で開催予定

ハワイの12月の風物詩「ホノルルマラソン」も、12月11日に例年通りに開催される予定だ。コロナ前は参加ランナー約3万人のうち約1万人を日本人が占めていたほど、日本でもよく知られたイベントだが、2020年はコロナ禍により大会が中止。21年は9200人の規模で開催され、ハワイ渡航をあきらめたランナーのためにオンラインによるバーチャル大会が実施された。今年の大会は第50回目の記念大会であり、パンデミックを克服しての開催となることから、海外旅行再開の象徴となるイベントとなりそうだ。

ホノルルマラソン事務局のプレジデント/CEOで、医師でもあるジム・バラホル氏は、従来通りの開催を決めた経緯について、「2021年のホノルルマラソンではスタート時間をずらして密を避けるなどの感染対策を行なったが、結果として参加者の感染はゼロだった。また今年4月に開催された『ホノルル・ハーフマラソン・ハパルア2022』には約6700人が参加したが、こちらも感染者はゼロに抑えられている。これらにより、アウトドアでのイベントにおける感染リスクは非常に低いことが実証された」と話す。

第50回大会には、6月上旬時点で既に日本人ランナー2200人を含む1万5000人がエントリーしているが、「最終的な参加人数がどれくらいになるかは、海外旅行需要の回復の度合いによるところが大きく、どの程度の規模になるか予測ができない」とバラホル氏。50回記念大会に合わせた特別なイベントの開催も期待されるところだが、今後の情勢をみながら準備を進める必要もあり、イベントの詳細はまだ未定だ。

自身もランナーとして参加した経験のあるバラホル氏は「マラソン大会に参加して、長い時間走ったり歩いたりする、その目的やストーリーはランナーによって異なる。昨年も開催に対して反対する声はあったが、無事に実施できたことは我々の大きな自信になった。ハワイは医療機関もサポート態勢も充実しており、旅行者の受け入れ態勢も万全の状態。日本人ランナーの皆様に安心してお越しいただき、マラソンを心から楽しんでいただきたい」と話す。

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ホノルルマラソン事務局のプレジデント/CEOジム・バラホル氏

航空座席が倍増、誘客プロモーションへ本腰

HTJのプロモーションは既に始まっている。6月上旬時点でテレビ、オンラインメディア、雑誌など45媒体もの取材を受け入れていることから、今後いっせいに多くのメディアでハワイの情報が露出される予定だ。また東京、大阪、名古屋などではハワイ関連のイベントが開催されるほか、セブン‐イレブンやバスキン・ロビンスなどさまざまな企業とのキャンペーンも実施。またYouTubeや TVerでもCMを投下するなど、あらゆる方面からハワイの露出を上げていく。

さらに、7月末にはトップエグゼクティブによる日本の姉妹都市への訪問を実施して姉妹都市間交流の再開を促すほか、旅行業界に対しては11月に東京と大阪で「マハロレセプション」を復活させ、商談会を開催するなど、フェイス・トゥ・フェイスの交流も行っていく。

日本旅行業協会(JATA)でも今夏に向けて海外旅行のプロモーションを計画している。稲田正彦海外旅行推進部長は、7月に実施予定の大々的なプロモーションの内容や9月に開催するツーリズムEXPOについて紹介。また日本入国時の水際対策緩和に向けて、JATAとしてさまざまな提言を行っていく旨が伝えられた。

また稲田部長はハワイに限らず海外旅行が抱える課題について触れ、「円高、ランドコスト(地上手配費)の高騰に加え、一番の問題はコロナ禍で日本、ハワイ共に旅行業界の人的不足が起きていること。旅行者が戻ってきた時にいかにその部分をカバーするかが大きな課題となる。各社共通のプラットフォームを作り、集約することもひとつの策になるのではないか。また多くの人が気兼ねなく海外旅行に行けるようにするには、海外旅行に対するポジティブなパブリックオピニオンを作っていく必要がある。今後は旅行者増加に伴いコロナ感染者が増えることが予想されるが、それに対してどう対応するかが重要だ」と訴えた。

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日本旅行業協会の稲田正彦海外旅行推進部長

旅行会社に求められる「安心の提示」

在ハワイのツアーオペレーター10社を中心に航空会社、ホテル、ホスピタリティ業界各社などで構成されるハワイ旅行業会(JHTA)の久保哲也会長は、ハワイのコロナ感染対策について説明。既にハワイにおいては屋内におけるマスク着用義務はなく、陰性証明の提示も必要ない。またバス乗車時やイベントなどの人数制限、ソーシャルディスタンス、検温などのルールもないが、JHTAとしては安心安全のためのガイドラインを策定し、会員各社に推奨しているという。

また、滞在中にコロナ感染した旅行者への措置も紹介された。

軽症の場合は利用している宿泊施設でそのまま自主隔離となり、5日ごとにPCR検査を実施、陰性になるまで自主隔離が続けられる。(陰性にならない場合は、総領事館に相談となる)。パッケージツアーや団体旅行でハワイを訪れている旅行者の場合は旅行会社がケアを行うことになるが、個人旅行者へのケアは限定される。またホテル延泊の費用もかかるため、旅行者にとってはコロナ感染時の諸経費がカバーされる海外旅行保険への加入が必須だ。

久保会長は「コロナ前には、ともすればさまざまなサービスをそぎ落とし、個人旅行的な旅行手配に流れる傾向があったが、ウィズコロナの旅行では旅行者が旅先での安心安全な対応を求めている。旅行会社がしっかりとしたサービスや対応策を提示することで、パッケージ旅行や団体旅行の満足度、安心感が上がっていくと信じている」と話した。

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ハワイ旅行業会(JHTA)の久保哲也会長

また、HTJのミツエ・ヴァーレイ支局長もニューノーマル後の旅行の在り方の変化を強調。特にハワイ州観光局(HTA)では「マラマ」の名称のもと、自然保全や文化継承のためのツーリズムを促進していることから、昨年4月からはハナウマ湾が、今年5月からはダイヤモンドヘッドが事前予約制での入場となるなど、コロナ前とは異なる点もある。

「以前のように大人数で観光バス移動というツアーは感染対策の面で旅行者に望まれない。多少単価が高くても少人数で内容が濃く、満足度の高いツアーに移行していくと予想される。個人旅行では手配できないニッチな企画をツアーとして出すことで、旅行会社の存在価値も高まるはず。今回参加された皆様には今のハワイを体感し、より多くの情報を持ち帰っていただき、新たなツアー造成に役立てていただきたい」と話した。

ハワイ特派 吉田千春

トラベルボイス編集部

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