吉崎御坊550年 蓮如の里価値高め再興へ

  • 福井新聞ONLINE
  • 更新日:2021/10/14

【論説】2024年春の北陸新幹線県内開業を見据え、あわら市の「吉崎御坊」を観光の拠点にしようとする動きが活発化している。関係機関が結束し、かつてにぎわいをみせた「蓮如の里」の再興を目指したい。

浄土真宗中興の祖・蓮如上人が北陸布教の拠点として吉崎御坊を開いて今年、550年を迎える。新幹線開業機運も重なり、市は吉崎地区に注目する。

ただ、現在の吉崎御坊跡は、浄土真宗本願寺派と真宗大谷派が共同管理する国指定史跡となっているものの、長く往時のにぎわいは影を潜めているのが現状である。

地元では開山550年を記念し実行委員会をつくり、記念講演や東西合同法要、子ども歌舞伎、吉崎参りウオークなど多彩な計画を立てた。しかし新型コロナウイルス禍で計画の多くが中止を余儀なくされた。記念法要など来年に延期される事業もあるが、この機会を逃さず蓮如の偉業を全国に発信してほしい。

吉崎地区は変わろうとしている。吉崎御坊蓮如上人記念館がリニューアルされるほか、再興のかぎを握るのが23年春オープンを目指す道の駅「蓮如の里あわら」の整備だ。想定では年間利用者数を36万人と見込む。市にとって大きな事業である。

観光案内や特産品販売、飲食の機能を持った施設を建設。北潟湖周辺を楽しむレンタサイクルなどの拠点にもなることから、周辺施設との一体的な利用を促すことも構想にある。最後は地区全体での盛り上がりが必要になってくるだけに、北潟湖を活用した体験ツアーの実現など市民グループを巻き込んだ新しいアイデアに期待したい。

吉崎御坊では今月2日、「この地が日本経済を支えるトップ企業のルーツだった」として、市と本願寺文化興隆財団(京都市)が「経済会議」を開いた。

市によると吉崎御坊は日本最初の寺内(じない)町で、蓮如は自ら功徳を積んで他人の救済に尽くす「自利利他(じりりた)」の心による商いを説いた。会議では吉崎が“商いの出発点”と位置付け、近江商人の「三方よし」を育んだ蓮如の精神を伝え、地域活性やビジネスの芽を育てようと発信した。あわらの産業や県内経済の活性化につなげたい。

ただ、吉崎地区には地理的な課題がある。県内最北の石川県境にある地区のため、綿密な誘客戦略が求められよう。蓮如の精神を伝える観光地としての価値を高め、県内外の名所と差別化して観光客の受け入れ態勢を整えてほしい。

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